もうすぐ2024年です。マーケットは荒れましたが、2023年もあっという間でした。投資家の間では、来年から始まる新しいNISAへの話題で持ちきりです。最近のYouTubeやSNSの投稿を見てみると、新しいNISAは満額つみたて一択!のようなサムネイルがたくさん出てきます。
ちなみに紹介されている商品は全世界株式(いわゆるオルカン)またはS&P500連動のインデックスファンドがほとんどで、日本株型はダメ・・・という風潮。やや悲しい気もしますが、世間的には海外の方が魅力的のようです。
そのような流れとなっていますが、みんながそうだから自分もそうする!というのはちょっと危険です。海外には為替リスクがあるということを十分に承知していればよいのですが、知っている・知っていないで後々のメンタルに大きく差が出てくるかもしれません。今回は、新しいNISAを活用するにあたって、為替の影響を考えてみようと思います。
為替の影響はどのくらいある?
試しに、日本で買えるファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と、指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(米ドルベース)」を比較してみます。為替の影響を確認するため、ベンチマークとの比較ではありません。
※各種データを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成 算出開始日を100として指数化
指数化した期間は2022年初から2023年12月18日までです。無理やり指数化したため数%の誤差は出てくるかもしれませんが、その影響を除いても2つの指数には大きな差が出たことが分かります。
同じものに投資していたとしても、ファンドの方は2年間で20%上昇、一方で指数はマイナスです。この差は何なの?という答えが為替の変動によるものです。
出所:TradingView
上は米ドル円のチャートですが、2年の間に110円台から一時150円台へ上昇していますよね。ドルを持っていただけでも、2年間で大体30%値上がりしていたことになります。円についてはドルに限らずほかの通貨に対しても下落(円安が進む)しましたので、その影響を踏まえると、世界株価指数が冴えない状況だったとしてもファンドはプラスだったということです。
これから気を付けたいこと
2023年は未曽有の円安となりました。今後の為替相場がどのように推移するか、誰も正確なことは分かりません。各国の金融政策、経済動向などの予測できる要因もあれば、自然災害、紛争、感染症など不測の事態もあります。こういったさまざまな事象を織り込んで為替が動いていくので、今後も円安が続くという保証はないです。反対に円高になるとも言い切れず、正直なところ、結果的にそうなったという事実を受け入れるしかありません。
つみたて投資では長期に渡って買い付けを続けるため、購入単価が平準化されて一括投資よりもリスクを低減できる効果があります。ただ、絶対にプラスになるというわけではなく、つみたて開始時期が株価のピークで、その後低迷が続けばいつまで経っても含み益になりません。海外株式型インデックスについては、そのような中で円高が進むとさらに運用損益が悪化する可能性もあるため、株式・為替どちらのリスクも十分に理解することが大切です。
筆者も海外株式型インデックスファンドのつみたては良い手段だと考えていますが、前述の理由を踏まえて、これだけやっていれば絶対大丈夫!という先入観は持たない方が吉です。ちなみに評判の良くない日本株ですが、配当込みだと実はそこまで悪いというわけでもありません。
日経平均の最高値は1989年12月29日の38,915.87円で、現在に至ってもその高値を更新していません。一方で、日経平均を配当込みで見た「日経平均トータルリターン・インデックス」という指数の現値は58,184.36円(23年12月19日)です。バブル期に高値掴みした人であっても、配当込みの指数ベースだと実はプラス。昨今ではどうしても海外に目が行きがちですが、視野を広げてみると自分の投資スタンスにあったものが見つかるかもしれませんね。
記事作成日:2023年12月21日
(DZHフィナンシャルリサーチ)