マーケットの関心はFOMCに集中へ。
10月相場は年末に向けた買い場提供の側面も
<10月:米国の主要スケジュール>
(日本時間)
・10/2:ISM製造業景気指数
・10/4:ISM非製造業景況指数
・10/6:米国雇用統計
・10/11:FOMC議事要旨(9月19、20日開催分)、卸売物価指数(PPI)
・10/12:消費者物価指数(CPI)
・10/19:ブラックマンデーから36年
・10/24:製造業購買担当者景気指数(PMI)
・10/27:個人消費支出(PCE)
・10/29:欧州各国が冬時間入り
・10/31:FOMC(11月1日まで)
9月のNYダウは、大手格付け機関による米国債の格下げや、中国経済への懸念が強まったことなどをきっかけに、一時3万4,300ドル割れまで下落するなど月前半は調整しました。その後は下値を切り上げる展開でしたが、3万5,000ドルに接近する場面では、上値が重くなっています。
10月のNYダウは、FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策の動向をにらんで引き続き神経質な展開となりそうです。政策金利の決定はFOMC(連邦公開市場委員会)2日目の11月1日(日本時間2日)となります。金融政策に与える影響が大きい6日の米国雇用統計、12日の消費者物価指数(CPI)など重要経済指標の発表前後はボラティリティ(変動率)の高い展開となりそうです。
10月は米国の投資信託の節税対策の売りや、ヘッジファンドの解約に備えた換金売りが出やすい時期にあたり、例年、株式市場は軟調になりがちです。ただ、10月は米国で新年度がスタートする月で、11月から年末にかけては上昇する傾向があり、押し目買いのタイミングにあたる月とも考えることができます。
なお、主要企業の7-9月期決算発表は10月第3週から本格化します。このほか、中国市場は2日から6日まで国慶節で休場となりますが、経済動向に対する警戒感も強まっており、中国の経済指標の発表にも注意が必要となってくるでしょう。
バブル後高値の更新を伺う日経平均株価
<10月:日本の主要スケジュール>
・10/2:日銀金融政策決定会合の「主な意見」公表(9月21、22日開催分)
・10/20:全国消費者物価指数(CPI)
・10/26:「ジャパンモビリティショー」(旧東京モーターショー)開幕(11月5日まで)
・10/27:東京都区部消費者物価指数
・10/30:日銀金融政策決定会合(31日まで)
・10/31:植田日銀総裁会見、経済・物価情勢の展望(日銀展望リポート)
9月の日経平均株価は、8月高値の3万3,488円を更新し、月間では3カ月ぶりの上昇に転じました。バリュー株(割安株)を中心とするPBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄や為替の円安傾向を手掛かりとした自動車株、日銀の金融政策の変更を思惑視した金融株などが買い進みました。10月相場でもこうした物色の流れが継続し、日経平均はバブル後高値の更新を伺いそうです。
一方、今年4月に就任して以来、初めて報道機関の単独インタビューに応じた植田和男日銀総裁が、大規模な金融緩和策の柱である「マイナス金利政策」の解除を含め「いろいろなオプション(選択肢)がある」と語り、日銀金融政策決定会合の最終日となる10月31日の会見が関心を集めそうです。仮にマイナス金利政策の解除に言及した場合には、一時的に株式市場は調整する可能性もあり、注意が必要です。
このほか、海外投資家の動向にも注目です。海外の投資家や資産運用会社等を集中的に日本に招致し、日本政府の関連施策や日本の金融資本市場としての魅力等を情報発信する「Japan Weeks(ジャパンウィークス)」が9月25日から10月6日の日程で開催されています。過去に大手証券会社などが独自に海外機関投資家を招聘するイベントはありましたが、金融庁が主催するのは初の試みです。
10月相場は業績相場への移行が新たな手掛かりとして浮上してきます。8月期本決算・2月期第2四半期決算の発表が6日から活発化し、13日にピークを迎えます。インバウンド、リベンジ消費など人流の回復で、消費関連株などに関心が向かいそうです。また、3月期決算企業の第2四半期決算は、24日のニデック(6594)の決算発表を皮切りに本格化します。
記事作成日:2023年9月17日