米国株
米金利引き下げ時期と中東情勢に注目
4月のNYダウは4万ドルの大台を目前に足踏み状態となり、3万7,700ドル台までの調整を強いられました。根強いインフレ傾向を示す経済指標や堅調な労働指標が相次ぎ、米国の利下げ時期の後退懸念が強まりました。これに中東における地政学リスクの高まりと半導体関連企業の決算の失望などが影響し、ナスダック総合指数も6カ月ぶりのマイナスに転じました。
5月はまずFOMC(連邦公開市場委員会)最終日となる1日(日本時間2日)のパウエルFRB(連邦準備理事会)議長の記者会見に注目です。6会合連続で金利は据え置かれる観測のなか、「3回」としていた年内の利下げ見通しが2回以下に修正されることが懸念されます。
その後は、3日の米国雇用統計、15日の消費者物価指数(CPI)などの重要経済指標をにらむ展開が予想されます。このほか、「セルインメイ」(Sell in May、5月に株を売れ)という米国の相場格言も意識されます。一方、中東情勢の緊張緩和が見られれば、戻りを試す場面も期待されそうです。
参考銘柄:注目企業の決算が続々の5月
5月前半は企業決算がピークを迎え、相場動向を左右しそうです。好業績企業やアナリストの事前予想を上回る決算を発表する企業は株価の上昇が期待できます。特に以下の企業は、全体相場の動向に影響を与える可能性がありますので要注目です。
<5月:米国の主要スケジュール>
・5/1:ISM製造業景気指数
・5/2:FOMC(政策金利発表)、パウエルFRB議長会見
・5/3:米国雇用統計、ISM非製造業景況指数、購買担当者景気指数(非製造業PMI)
・5/14:生産者物価(PPI)
・5/15:消費者物価指数(CPI)
・5/23:FOMC議事要旨(4月30日、5月1日開催分)、購買担当者景気指数(製造業および非製造業PMI)速報値
・5/27:米国市場休場(メモリアルデー)
・5/31:個人支出(PCEデフレータ)
日本株
海外投資家の売買動向と企業決算の動向が焦点に
4月の日経平均は4万円台から3万6,000円台と4カ月ぶりの大幅調整となりました。米国市場の下落と中東の地政学リスクの台頭、半導体関連株の調整が影響しました。
5月の日本株は引き続き米国市場と中東情勢、半導体関連株の動向がカギを握ることになりそうです。また、相場を下支えしてきた為替の円安傾向が日本株市場の材料として働きにくくなってきました。政府・日銀の為替介入が思惑視されて、とりあえずは一段の円安進行に歯止めがかかっています。
日本株の本格的な上昇が始まった昨年4月以降の日経平均上昇の原動力となってきたのが円売りと日本株買いを組み合わせた海外投資家の「ジャパン・トレード」でした。年初からの大幅な株価上昇と円安進行で海外投資家の「ジャパン・トレード」の持ち高は大きく膨らんだため、これが逆回転してくると調整に時間がかかる可能性もあります。日本株の動向は、海外投資家の売買動向が引き続き焦点となってきます。
ただ、最近の日経平均は下落が大きいだけにリバウンドもしやすい展開となることも期待されます。決算発表シーズンを通過する中旬までは、業績相場が展開されることになるでしょう。5月相場はゴールデン・ウイーク明けに上場企業の決算発表の後半戦が本格化します。決算発表は5月10日に約600社超の決算ピークを迎えて、15日でほぼ一巡します。
参考銘柄:バフェット関連銘柄が再注目されそう
注目されるイベントとしては、5月3日に米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの株主総会イベント(4日まで)が開催されます。バークシャー・ハサウェイは4月18日、円建て社債の発行条件を決定し、発行総額は2,633億円となりました。大手商社株など日本株への追加投資を期待する声が市場では高まっています。
<5月:日本の主要スケジュール>
・5/2:日銀金融政策決定会合議事要旨(3月開催分)
・5/3:日本株市場休場(憲法記念日)
・5/6:日本株市場休場(こどもの日の振替休日)
・5/9:日銀金融政策決定会合の「主な意見」(4月開催分)
・5/15:3月期決算発表一巡
・5/24:全国消費者物価指数
記事作成日:2024年4月25日