EV(電気自動車)世界一のテスラ
テスラはEV(電気自動車)販売台数世界一を誇る自動車メーカーです。同社は、2003年に米国のシリコンバレーのエンジニアたちによって、「テスラ・モーターズ」として設立されました。そして、2004年にイーロン・マスク氏がテスラに出資して会長に就任し、現在は同社のCEO(最高経営責任者)の地位に就いています。
テスラと聞くと、イーロン・マスク氏を思い出す方も多いでしょう。ただ、イーロン・マスク氏とテスラの関わりは、同氏が出資を行った2004年からです。
その後、2008年に初のスポーツカーモデル「ロードスター」の発売を開始し、一躍注目を集めました。勢いに乗った同社は、2010年に米国のナスダック市場へ株式を上場し、高級セダン「モデルS」、SUVの「モデルX」、比較的安価な「モデル3」を次々発売して海外展開を加速させました。2020年にはコンパクトSUV「モデルY」も発売しています。
テスラはその後、乗用車だけではなく、電動トラックの生産・発売にも進出し、電動トラック「テスラ・セミ」、さらに電動ピックアップトラック「サイバートラック」の生産・販売も開始しています。
EV(電気自動車)充電規格や自動運転技術で業界をリード
EVの充電規格では、テスラの充電規格「NACS」が世界の主流になりつつあります。日本の自動車メーカーでも、トヨタ自動車<7203>や本田技研工業<7267>などが「NACS」の採用を決めており、韓国の現代自動車も採用を決めています。
テスラは自動運転技術の開発にも積極的に取り組んでいます。同社の同じ車線内でハンドル操作、加速、ブレーキを自動的に行う自動運転支援システム「オートパイロット」は多くの自動車メーカーの中でも、いち早く実用化されました。ただ、このオートパイロット搭載後に、テスラ車がさまざまな事故を起こしたことで、訴訟が提訴されるなど、暗雲も立ち込めました。
同社では、完全自動運転技術の開発に向け、自動運転を学習しトレーニングする人工知能(AI)用にスーパーコンピューター「Dojo(ドージョー)」を投入して開発を進めています。
再生可能エネルギーやロボット開発にも進出
EVの開発でさまざまな技術を培ったテスラは、EV以外の分野にも進出しています。電池式エネルギー貯蔵システム、電力系統用のエネルギーシステム、商業・産業用のエネルギーシステムなどの大型蓄電システムもそのひとつです。
米国では、子会社の「ソーラーシティ」が太陽光発電システムを開発し、設置・販売を行っています。また、世界の人口減少による労働力の低下に対して、「オプティマス(汎用人型ロボット)」の開発を進めています。すでに完成した試作機が披露されており、テスラのEV工場などで活用し、労働力不足を解消する方針に加え、将来的には2万ドル未満での販売も想定しています。
今や、テスラはEVだけではなく、再生可能エネルギーの分野やロボット開発の分野でも注目を集めており、今後の動向から目を離せない企業の一つでしょう。
記事作成日:2023年10月26日