米国株
金利引き下げのタイミングをにらむ展開
5月の米国株式市場は、重要経済指標の発表に影響を受けながらも、インフレ鈍化の兆候とFRB(連邦準備理事会)による年内利下げ期待が継続、好調な企業決算も意識されてNYダウは史上初の4万ドルの大台に乗せました。また、ナスダック総合指数や機関投資家の多くがベンチマークとするS&P500指数も史上最高値を更新しています。
6月の米国株式市場は、引き続き、重要経済指標の発表を注視するなか、日本時間13日のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果発表とパウエルFRB議長の会見が相場の転換点となり、NYダウなど主要株価指数に影響を与えることになりそうです。
政策金利は7会合連続で据え置かれる見込みですが、焦点は年内利下げの実施とその時期です。利下げ期待の環境を整えるためにも、5日のISM非製造業景気指数と7日の米国雇用統計の発表に株式市場は敏感に反応してくることが予想されます。
このほか、中東の地政学的リスクは緩和の方向にありますが、その動向には警戒が必要となります。また、11月の米国大統領選挙に向けて、候補者のテレビ討論会が月後半にも開催される見込みですが、今のところ株式市場への影響は未知数です。
参考銘柄:「もしトラ」関連銘柄
6月後半は、11月に行われる米国大統領選挙のテレビ討論が開催される見込みです。現バイデン政権では、クリーンエネルギー政策に関連する銘柄が注目されました。一方で、「もしトラ」(もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら)の可能性が高まるようだと、エネルギー関連や防衛関連などに注目が集まる可能性も考えられます。
<6月:米国の主要スケジュール>
・6/5:購買担当者景気指数(非製造業PMI)確報値、ISM非製造業景気指数
・6/7:米国雇用統計
・6/11:FOMC(連邦公開市場委員会・12日まで)、アップルがイベント(WWDC)開催
・6/12:消費者物価指数(CPI)
・6/13:政策金利発表、パウエルFRB議長会見、生産者物価指数(PPI)
・6/19:米国市場休場(ジューンディーンス/奴隷解放記念日)
・6/21:購買担当者景気指数(製造業および非製造業PMI)速報値
・6/28:個人消費支出(PCE)
日本株
植田日銀総裁の会見が焦点に
5月の日経平均株価は4万円の大台回復を目前に上値が重い展開となる一方、下値抵抗も示してもみ合う展開となりました。
大手新聞社の集計では、東証プライム上場企業のうち前期と比較可能な約1,070社による2025年3月期の純利益を前期比4%減と5年ぶりの減益予想と試算したことが報じられました。円安進行などで高まっていた市場の決算期待が後退した形です。しかし、日本企業の期初の予想は保守的となる傾向があり、四半期ごとの決算発表時点の上方修正を経て増益期待が高まってくる傾向があります。
こうしたなか、6月の焦点は14日の日銀金融政策決定会合の結果を受けた植田日銀総裁の会見です。前回4月の会合後の植田日銀総裁会見では、全体としては追加利上げなど政策修正の実施を急がず、当面は緩和的な金融環境が継続する見込みを示しました。今回は、円安けん制を狙って追加利上げの観測を高めるような発言を行うかどうかに関心が移ります。仮に追加利上げが意識されるようだと、一時的な株式市場の下落もありそうですが、金利上昇のメリットを受ける銀行株や円高メリットを受ける輸入関連企業には追い風となりそうです。
参考銘柄:金利上昇や円高メリット株
追加利上げとなれば、全体相場にとってはネガティブ要因ですが、金利上昇で利ザヤが拡大する銀行株にはポジティブ要因となります。また、国内の金利が上昇することで米国との金利差が縮まるため、為替市場は円高に動きやすくなります。円高の恩恵を受ける輸入企業の株価にも要注目です。
<6月:日本の主要スケジュール>
・6/7:景気動向指数
・6/10:景気ウォッチャー調査
・6/12:国内企業物価指数
・6/13:日銀金融政策決定会合(14日まで)
・6/14:政策金利、植田日銀総裁会見
・6/19:日銀金融政策決定会合議事要旨(4月開催分)
・6/21:全国消費者物価指数
・6/24:日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月開催分)
記事作成日:2024年5月22日