FOMC参加者19人中12人が年内の再利上げを支持
FRB(連邦準備理事会)は、9月19~20日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利の指標となるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25~5.50%で据え置きました。一方、公表された政策金利見通し(ドットチャート)では、2023年末における政策金利予想の中央値は6月と同水準の5.50~5.75%となり、参加者19人のうち12人が年内に0.25%の利上げを支持していることが示されました。
パウエル議長は会合終了後の記者会見で、「インフレを確実に抑制するために一段の利上げを実施する用意がある。インフレ率が目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策金利を制約的な水準に維持する」 との姿勢を示しました。
FRBのインフレ率の目標は2%です。パウエル議長は、「インフレ率を目標の2%へと押し下げるうえで、十分に景気抑制的となるような金融政策スタンスを達成し、それを維持することにコミットしている」 と述べています。今回のFOMCでは、インフレ率は2024年に3%未満に低下し、2026年には2%に下がるとの予想を維持しています。
今回のFOMCでの政策金利の据え置きは、市場の予想通りでした。8月24~26日に開催された経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエル議長は「インフレを確実に抑制するためにさらなる利上げを実施する用意がある」と発言していますが、今回の9月FOMCでは、政策金利を据え置く可能性があることも併せて示唆しました。
ところが、FOMC終了後に米国株は下落し、為替相場はドル高・円安に動きました。上昇していたNYダウは急落して、前日比76.85ドル安まで下落。ドル円は1ドル=147円台半ばから148円台前半へ上昇しました。
株式市場は、金利の高止まりを警戒
これは、2024年末までの政策金利の中央値の予想が、6月の4.6%から5.1%に引き上げられたためです。 6月時点では2024年末までの政策金利の中央値は1.0%ポイント低下すると予想されていたのに対して、今回の予想では低下幅が0.50%ポイントに修正されました。これが市場では、高い水準の政策金利が長期化すると受け止められたためでしょう。なお、政策金利の中央値の予想は、2025年末までに3.9%、2026年末までに2.9%へ引き下げられると予想されています。
パウエル議長はFOMC後の記者会見で「金利が適切な水準に到達したと示す説得力のある証拠を見たい」とも述べており、今後も米国雇用統計や消費者物価指数(CPI)などの経済指標の結果が金融政策のカギを握り、株式市場や為替市場を動かす材料となりそうです。
基本的には、米国の金利引き下げは株式市場、特にITやハイテク企業が中心のナスダック市場にとってはプラス材料となります。一方、金利の引き上げや高止まりは米国株のマイナス材料となるため、今後も金融政策を決定するFOMCには要注目です。
なお、FRBはこれまでにインフレを抑制するため、2022年3月から利上げを開始し、2022年中に7回連続、2023年も4回の利上げを行ってきました。
記事作成日:2023年9月21日