利上げサイクル終了か?金利すえおきで株式は上昇~FOMC最新情報
2会合連続利上げ見送りも、追加利上げの可能性あり?
FRB(連邦準備理事会)は、10月31日~11月1日に開催していたFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利の誘導目標を5.25~5.50%で据え置きました。インフレを抑制するために2022年3月に利上げ政策に転換して以降、2会合連続で利上げを見送ったのは、初めてです。
FOMCは声明文で、「最近の指標は経済活動が第3四半期に力強いペースで拡大したことを示している。雇用の伸びは今年初めより緩やかになってきているが、強さを維持しており、失業率は低水準にとどまっている。インフレは依然として高水準にある」としています。
なお、FRBでは、インフレ率の目標を2%としています。このため、今回のFOMCの声明文でも、「委員会の目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、委員会は必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある」として、追加利上げの可能性に含みを持たせました。
今後も、金融政策の適切な水準を見極めるために、金融政策が経済活動やインフレに与える影響に対して幅広く判断し、景気を冷やしすぎずに物価を鈍化させる金利の適正水準について、時間をかけて見極める必要があると判断しています。
これら声明文の内容は、前回の9月19~20日のFOMC会合の声明文とほぼ同じ内容でした。
10月19日にパウエルFRB議長がニューヨーク経済クラブで講演を行い、「長期金利の上昇は、金融引き締めの重要な原動力となっている」との見方を示しています。複数のFRB高官も同様の発言を行っており、最近の長期金利の上昇により、市場では今回のFOMCでは利上げが見送られると予想していたため、今回の利上げ見送りは予想通りの結果となりました。
市場は利上げサイクルの終了を見込み、株式市場は上昇
利上げ見送りは市場の予想通りだったにもかかわらず、FOMCの結果を受けて米国株式市場は、大きく上昇しました。これは、初めて2会合連続で利上げが見送られたことで、12月の会合でも利上げが見送られるとの観測が強まったことにあります。
FOMC終了後の会見でパウエル議長が、「複数ある要因の中でも特に長期債利回りの上昇により、ここ数カ月に顕著に引き締まった」と述べたことも、「12月も利上げ見送り」との観測を強めたようです。それ以上に、市場では利上げが終了したとの観測も出ています。
パウエル議長は会見で、政策当局者の過半数がなお年内の追加利上げを見込んでいるのかとの質問に対し、「われわれが答えを求めているのは『さらに引き上げるべきか』という問いだと言えよう」と答えています。
そして、会見の中では利上げについて、「今回の利上げサイクルでかなり遠くまで到達した。サイクルの終わりに近づいている」とも述べて、利上げの終了を示唆するような発言も行われています。
ただし、「金融政策が十分に景気抑制的かどうか、まだ判断に確信を持てない。引き締めの効果はまだ完全には感じられていない」とも指摘しており、今後も金融政策が経済活動やインフレに与える影響を注視していく姿勢に変化はありません。
このため、今後も米国の経済指標の結果や金利動向が注目されますが、米国の利上げサイクルが最終局面に近づいているのは確かなようです。