FOMC、3月利下げ開始の可能性遠のく?
4会合連続政策金利据え置き、利下げのタイミングは?
FRB(米連邦準備理事会)は2024年1月30~31日に開催していたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利のFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を5.25~5.50%で据え置きました。政策金利の据え置きは4会合連続となり、2023年12月会合で示された利下げ方針については、時期尚早との姿勢が示されました。
12月会合では、2024年中に0.25%の利下げを3回程度実施する可能性が示されたことで、市場ではFRBがいつ利下げに踏み切るのかが焦点となっていました。
しかし、FOMCの声明文では物価情勢について、「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている」と指摘しています。確かに、1月11日に発表された2023年12月の米消費者物価指数(CPI)は、総合CPIが前年同月比で3.4%の上昇、食品とエネルギーを除いたコア指数でも前年同月比で3.9%の上昇と再び上昇傾向を示しており、高止まりが顕著となっています。
こうした状況から、声明文には、「2%の物価目標達成に向け、より確かな自信を得るまで利下げは適切ではない」との表現を追加され、「経済の見通しは不確実で、委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している」としています。
ただ、FOMC声明発表後の記者会見でパウエルFRB議長は、「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークにある可能性が高い」と述べ、「今後の米経済の動きが予想と一致すれば年内に政策金利の引き締めを弱めることが適切だとみている」としています。
3月利下げ予想の否定を嫌気し、NYダウは下落
市場では、3月のFOMCで利下げが開始されるとの見方が強まっていたが、パウエル議長は、「3月を利下げ開始の時期と特定するような確信のレベルに委員会が同月会合までに達しそうだとは考えていない」とした上で、「(3月の利下げは)最も可能性の高いケース、ないし基本シナリオと呼ばれるものでは恐らくないだろう」と述べています。
FOMCの結果、FRBが3月利下げを否定するような見方を示したことで、1月31日のNYダウ平均は前日比317ドルの下落となり、3万8,150ドルで取引を終えました。
もっとも、3月の利下げ開始の可能性は低くなりましたが、FRBが利下げの可能性を否定したわけではなく、「今年のある時点で利下げに踏み切る可能性が高い」とも述べていることから、引き続き、米国市場では利下げが相場の材料となるでしょう。
FOMCでも、「金融緩和の開始がデータで裏付けられるかを見極めるには時間がかかる」としているように、今後は、経済指標の結果など、利下げ開始を裏付けるデータが注目されることになりそうです。
特に、消費関連指標と雇用関連指標の結果をもとに、今後、いつ利下げが実施されるのかが最大の焦点となり、しばらくは利下げ開始時期を巡った相場展開が続くことになりそうです。
記事作成日:2024年2月1日