先日、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、日本のメディアとのインタビューで、日本株への追加投資に積極的な姿勢を示しました。
これを受けて、同氏が率いるバークシャー・ハザウェイ(BRKB、保険業を主とし、顧客から拠出された資金を運用・管理する機関投資家)が保有する日本の商社株が大幅高となり、日経平均株価の水準を引き上げる場面がありました。
著名投資家の投資行動は、注目され、市場を動かすこともあります。
今回は、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏と英著名投資家のテリー・スミス氏を紹介し、その投資手法を見ていきます。
ウォーレン・バフェット氏
ウォーレン・バフェット氏は、米フォーブス誌が発表した2023年版の世界長者番付で資産額1060億ドルを持つ世界第5位の富豪で、「オマハの賢人」(バフェット氏がネブラスカ州オマハに居住しているため)と呼ばれる人物です。
今年8月に93歳を迎えるバフェット氏は、1965年に経営権を獲得したバークシャー・ハザウェイを通して事業投資や株式投資を展開し、財を成しました。
バフェット氏は、年に一度、「株主への手紙」という同社の運営状況を説明するレポートを発表しています。今年も2月25日に同レポートが発表されました。
同レポートには、1965年から2022年までのS&P500(米国の代表的な株価指数)とバークシャー・ハザウェイの収益率の対比が記載されています。
S&P500の58年間の年間平均収益率が9.9%(複利)なのに対し、バークシャー・ハザウェイは19.8%(複利)となっています。
株価が大きく下落した2022年も、S&P500(配当込み)が18.1%下落したのに対し、4.0%の収益率上昇となっています。
バフェット氏の投資手法は明確です。
「よい株を割安な時に買うこと」、そして「買った株を長期間保有すること(望ましい保有期間は永遠)」です。
バフェット氏はインタビューでよく「株式を選ぶのではなく、選ぶのはビジネスだ」と述べており、自分が理解できるシンプルなビジネスをしている企業に投資をすべきと語っています。
また、金融不安などから「人々が恐怖にかられ、私が望む価格で売りが出た場合は貪欲に対応する」としており、人が怖くて株を買えない時こそ、株を買う場面だと考えているようです。
なお、バークシャー・ハザウェイが保有する主な銘柄は、以下の通りです。
バークシャー・ハザウェイ保有の主な銘柄
アップル(AAPL)
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
アメリカン・エキスプレス(AXP)
コカ・コーラ(KO)
シェブロン(CVX)
伊藤忠商事(8001)
三菱商事(8058)
三井物産(8031)
住友商事(8053)
丸紅(8002)
テリー・スミス氏
テリー・スミス氏は、英国で人気の高い投資家です。
スミス氏は、2010年にロンドンで独立系投資運用会社ファンドスミス社を設立しました。
同社のwebによると、スミス氏が運用する同社の旗艦ファンド「ファンドスミス・エクイティ・ファンド」は、2010年11月1日の運用開始から2023年3月31日までの上昇率(パフォーマンス)が+518.0%となっており、同じ期間のMSCI指数(世界の先進国の株式に投資する際の運用指標)の上昇率+273.9%を大きく上回っています。
スミス氏は投資に対し、「良い企業を買え、高値では買うな。後は何もするな」を持論としています。
また、スミス氏は、「過度な分散投資を避ける」ことも重要だとしており、投資先を20-30銘柄に絞って運用していることも特長です。
ファンドスミス保有の主な銘柄
マイクロソフト(MSFT)
フィリップモリス(PM)
エスティ―・ローダー(EL)
ノボ・ノルディスク(製薬会社)
ロレアル
などです。
スミス氏は、今年1月10日に公表した投資家向けのレポートで、金利上昇やインフレ率の上昇を受けて、2022年の旗艦ファンドの運用が-13.8%と振るわなかったものの、「恐れはほとんどない」と述べていました。
実際、同社のwebによると、今年1月から3月31日までのパフォーマンスは+6.9%と好調のようです。
記事作成日:2023年4月17日