2022年4月より、成年年齢が18歳に引き下げられたことを受けて、18歳から親の同意がなくても証券口座の開設、証券投資ができるようになりました。大人への第一歩として、20歳前で投資デビューという方もいると思います。
今回は、これから投資を始める方に向けてのお話をさせていただきたいと思います。
時間が最大のアドバンテージ
投資を始めようと考えても、「なんだか難しそう」「お金がなくなったらどうしよう」とためらわれている方も多いのではないでしょうか。
投資でリターンを得るには、リスクが伴うのも事実です。しかし、このリスクをコントロールすることによって、お金を増やしていくことが可能になります。
リスクコントロールで重要になってくるのが、「時間」です。
株式市場で株を売買するのに、基本的にはプロも初心者も関係ありません。しかし、その目的は大きく違います。プロは単月、四半期、年間で成績を出すことを求められます。このため、頻繁にトレードを行います。日々が勝負の連続です。その中で、多くのトレーダーがドロップアウトしていきます。
しかし、個人投資家に時間の制約はありません。5年、10年、20年と長い年月をかけてお金を育てていきます。お金の成長を楽しむと言ってもいいでしょう。お金も人と同じで逆風が吹く時もあります。しかし、時間がそれを和らげ、そしてそれを糧として成長をもたらすケースが多くあります。
つみたて投資
時間を味方に付ける方法の一つが「つみたて投資」です。
つみたて投資のメリットは、3つあります。
一つ目は、少額から投資が可能ということです。
たとえば、PayPay証券でしたら、100円からつみたてができるので、無理なく投資をスタートすることができます。初めて投資をする際の怖さも和らげてくれます。
二つ目は、ドル・コスト平均法による、価格変動リスクの低減です。
ドル・コスト平均法とは、一定の金額で一定の期間をおいて、同じ投資対象を買い続ける手法です。これにより、価格が高い時は少なく、安い時は多く買い付けるため、一度にまとめて購入するのに比べ、結果的に平均購入単価は低下しやすくなります。
また、人は、モノを買う時は、いろいろ考えてしまい、ついためらってしまうことがあります。株価は刻々と変動するのでなおさらです。
株価が下落していればもっと下落しそうで怖くて買えない。株価が上昇していればもう下がるだろう思って待っているうちに、あっという間に上昇してしまって高くて買えない。そんな経験、株式投資家なら誰でもあります。
しかし、ドル・コスト平均法なら、機械的に買うので感情の入る余地はなく、コツコツと積み上がっていきます。
三つ目は、つみたて投資そのものの効果と株式市場がもたらす値上がり益です。
たとえば、毎月3万円ずつ、20年間つみたてをすれば、720万円になります。これを投資信託や株式で年3%の複利で運用すれば、20年後には、元本720万円に加え、運用益が264.9万円、合計で984.9万円にもなります。
ゼロ金利のご時世に3%の金利は無理だと思うかもしれませんが、米国の代表的な株価指数、S&P500の2002年から2021年までの過去20年の年間収益率は9.52%です。2002年1月から月々3万円ずつコツコツと20年間つみたて投資していたとすると、元金が720万円、運用益1,421.2万円で合計2,141.2万円になります。つみたて額の約2倍の運用益です。
2002年から2021年ということは、この間、ITバブルの崩壊とリーマンショック、そしてコロナ禍という大きなクラッシュを3度経験しています。時間がもたらしてくれるつみたてと複利の効果はとても大きいのです。
長期保有
つみたて投資と似た効果を生み出すのが、長期投資です。頻繁に売買を繰り返すのではなく、長期にわたって株なり債券なり、金融商品を持ち続けることです。
長期保有をすれば、受け取る配当金や株主優待の回数も多くなり、結果として利益を積み上げることが期待できます。また、配当金を再投資すれば、複利効果を得ることができます。
たとえば、年率3%を期待できる金融商品があったとします。これに10万円を投資して放っておけば、翌年には3,000円の利息が付き、総額10万3,000円になります。翌々年は投資元本10万3,000円に3,090円の利息が付いて10万6,090円になり、これが次の年の投資元本になり、投資元万本は毎年増えていきます。10万円の金融商品を購入し、10年後には投資元本が13万4,392円、そして、20年目には18万611円に成長します。
このように、つみたて投資にせよ、長期保有にせよ、時間がもたらしてくれる利益はとても大きいです。これから投資を始めようとお考えの方も、株を買ってはみたけど、なかなか上手く行かないなぁと思っている方も、10年、20年とまずは投資を長期的視点で捉えてみてはいかがでしょうか。得るものは少なくないと思います。
記事作成:2022年4月6日