「節分天井・彼岸底」は本当?
株式市場には、古くから伝わる相場格言があります。その多くが、過去の経験則に基づくもので、験を担ぐ(げんをかつぐ)人が多いマーケット関係者の間では、いまでも相場格言が注目されています。「節分天井・彼岸底(せつぶんてんじょう・ひがんぞこ)」もそのひとつです。これは、上昇した新年相場が節分の時期(2月上旬)に天井(ピーク)をつけ、春の彼岸の頃(3月20日頃)に底を打つ(下げ止まる)というものです。
特に今年の日本株市場は、年明け以降から急上昇し、日経平均株価は約34年ぶりとなるバブル崩壊後の高値を更新しています(1月23日現在)。2024年の節分は2月3日ですので、投資家としてはとても気になるところです。
下の表は、過去10年間の節分の日と、春の彼岸(春分の日の前営業日)の日経平均株価の終値を比較したものです。これを見ると、実際に節分からは春の彼岸にかけて下落したのは10回中6回となっています。なお、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって株式市場が大きく下落した年です。
この結果を見る限りでは、「節分天井」の傾向はさほど感じられませんが、今年は年初からの株価上昇ピッチが速く、相場の過熱感も高まっているため、楽観視は禁物です。この時期に限ったことではありませんが、常に冷静な目でマーケットをウォッチするように心がけたいものです。
なお、「節分天井・彼岸底」は、日本の米相場から言い伝えられてきた相場格言。諸説ありますが、米の需給バランスによる相場の変動を示したものとも言われています。昨今の日本株市場においては、3月が本決算の上場会社が多く、保有する株式を3月末に向けて売却して現金化する動きも見られることから、株式市場の上値が重くなりがちとも考えられています。
「ジブリの呪い」で相場が荒れる⁉
一方、米国には、「セル・イン・メイ」(株は5月に売れ)という相場格言があります。これは、米国株市場の上昇の勢いが5月頃から徐々に弱くなり、夏場にかけて閑散となるという過去の経験則に基づく格言です。
実は、「セル・イン・メイ」には、「セント・レジャー・デーまで戻ってくるな」という続きがあります。英語表記では、「Sell in May and go away, don’t come back until St.Leger day.」となります。セント・レジャー・デーとは、毎年9月の第2土曜日に英国で開催される競馬の重賞レースの名称。つまり、「株は5月に売って、9月まで相場に戻ってくるな」という相場格言というわけです。
これ以外にも、株式市場にはさまざまな相場格言やアノマリーがあります。アノマリーとは、理論的な根拠はないものの、なぜかそうなってしまう相場の傾向のようなものです。
最近では、「ジブリの呪い」というものもあり、日本テレビ系列の金曜ロードショーで映画のジブリ作品が放送されると、相場が荒れやすくなるとされています。ちなみに直近では1月5日(金)に「千と千尋の神隠し」が放映されています。その後、日経平均は33,000円台から1月23日には37,000円手前まで上昇しました。
もちろん理論的な根拠はなく、都市伝説的なものですが、投資家の間ではまことしやかに囁かれています。一度、相場格言やアノマリーをネットなどで調べてみると、興味深い発見があるかもしれませんね。
記事作成日:2024年1月23日