2023年の米国株は主要3指数がそろって大幅高 ダウ平均が史上最高値を更新
2022年に大きく下落した米国株は2023年に大幅反発となりました。2022年に8.78%安となったダウ平均は13.70%高と反発し、S&P500も2022年の19.44%安から2023年は24.23%高となり、2022年に33.10%安となったナスダック総合は43.42%高と大幅に反発しました。
年初から7月までは人工知能(AI)関連銘柄が相場をけん引しました。AI分野での先導的な地位が評価された半導体大手のエヌビディアが大幅高となったほか、より進化したAIシステムを開発中と報道されたメタ・プラットフォームズや、高性能AIチップ開発や検索アプリへの対話型AI導入が好感されたアルファベット、AI機能を持つエクセルやワールドなどを発表したマイクロソフト、生成AIを利用したクラウドサービス開始を好感したアマゾン・ドット・コムのほか、セールスフォースやアドビも軒並み大幅高となりました。
その後は、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化懸念が強まり、米10年債利回りが一時2007年7月以来の高水準となる5.02%台まで上昇したことで、8月から10月にかけてハイテク株を中心に利益確定売りが強まりました。
しかし、米10年債利回りが低下に転じたことが追い風となる中、米国経済のソフトランディング期待、年末ラリーへの期待などを背景に景気敏感株などの出遅れ銘柄が物色され年末にかけて主要3指数がそろって大幅に反発しました。
ダウ平均は12月13日に1年11カ月ぶりに史上最高値を更新しました。S&P500とナスダック総合は史上最高値を更新することはできませんでしたが、S&P500は2022年1月4日に付けた史上最高値に1.01%に迫って2023年を終了し、ナスダック総合は2021年11月22日の史上最高値まで7.41%に迫りました。
セクター別ではIT、コミュニケーション、一般消費財がS&P500をアウトパフォーム
S&P500指数の業種別の年間騰落率を見ると、2023年はITが56.39%高、コミュニケーションが54.36%高、一般消費財が41.04%高となり、S&P500の24.23%高を大きくアウトパフォームしました。
このほか、資本財、素材が2桁高となり、金融、不動産、ヘルスケアも年間で上昇しました。
一方、公益が10.20%安と下落率トップとなり、エネルギーと生活必需品も2~4%下落しました。
11セクターの中で上昇率トップのITでは、AI向け半導体の成長期待を背景にエヌビディアが年間で238.87%高となり、S&P500の上昇率トップとなったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が127.59%高、ブロードコムが99.64%高、インテルが90.12%高、ラム・リサーチが86.36%高と半導体株が軒並み急伸しました。
このほかAI事業の成長期待を背景に、セールスフォースが98.46%高、アドビが77.28%高となりました。
年間上昇率2位のコミュニケーションでもAI事業の成長見通しを背景にメタ・プラットフォームズが194.13%高、アルファベットが58.83%高となり、ネットフリックスもストリーミングの好調を受けて65.11%高となりました。
一般消費財ではロイヤル・カリビアン・クルーズが161.97%高、カーニバルが130.02%高とクルーズ株が急騰し、パルト・ホームズが126.71%高、D.R.ホートンが70.50%高、レナーが64.69%高と住宅株も大幅高となりました。
また、電気自動車の販売が予想を上回ったテスラが101.72%高となり、生成AIを利用したクラウドサービス開始が好感されたアマゾン・ドット・コムが80.88%高となりました。
11セクターの中で下落率トップとなった公益は、10月初旬に年初来で20%以上の下落となりましたが、その後米10年債利回りが低下したことなどで買い戻され年間下落率を10.20%に縮小しました。
2024年はダウ平均が史上最高値更新継続 S&P500も史上最高値に肉薄
2023年に大幅高となった米国株は2024年も高値圏で推移しています。
ダウ平均は年初1月2日に終値の最高値を更新し、1月11、12日は連日で取引時間中の史上最高値を更新しました。
S&P500は史上最高値を目前に足踏みとなっていますが、1月12日に一時4,802.40ポイントまで上昇し、2023年1月3日に付けた終値の過去最高値4,796.56ポイントを上回りました。取引時間中の史上最高値までは0.34%に迫っており、史上最高値更新が視野入りしました。
2021年に史上最高値を付けたナスダック総合は史上最高値まで7.19%、終値ベースでは6.75%に迫っています。
記事作成日:2024年1月16日
(DZHフィナンシャルリサーチ)