今週のNY市場は米8月雇用統計に注目。先週はダウ平均が0.19%安、S&P500が0.10%安とともに4週ぶりに反落し、ナスダック総合は0.19%安と2週続落となった。9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待が引き続き支援となる中、エヌビディアが予想を上回る決算を発表したことなどでダウ平均が終値の最高値を更新し、S&P500が取引時間中と終値の史上最高値を更新したが、高値警戒感が意識されたことや、3連休や月末を控えた利益確定売りも強まった。利下げ見通しを巡って注目された7月個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPCE価格指数が予想通りの伸びとなり、インフレの根強さが意識されたものの、8月シカゴ地区購買部協会景気指数などが予想を下回り、8月ミシガン大期待インフレ率確報値が下方修正されたことなどで9月利下げ期待は維持された。8月月間ではダウ平均が3.20%高、S&P500が1.91%高とともに4カ月続伸し、ナスダック総合は1.58%高と5カ月続伸。例年パフォーマンスが低調な8月としては異例の好調となった。
今週は利下げ見通しを巡り金曜日に発表される8月雇用統計に注目が集まる。7月雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を下回り、過去2カ月分も大幅に下方修正された。8月の非農業部門雇用者数は7.5万人増と7月の7.3万人増からわずかに増加すると予想されているが、引き続き弱い結果となれば利下げ期待が強まる一方、関税による景気悪化懸念が強まりそうだ。このほか、8月ISM製造業PMI、7月JOLTS求人件数、8月ISM非製造業PMIなど注目度の高い経済指標の発表も多く、指標結果を受けた利下げ見通しや景況感をにらんだ展開となりそうだ。また、トランプ米大統領がリサ・クック米連邦準備理事会(FRB)理事を解雇するとした問題などFRBの独立性を巡る懸念も最高値圏で推移する米国株の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは8月ISM製造業PMI、8月S&Pグローバル製造業PMI確定値、7月建設支出など。主要な企業の決算発表はなし。(執筆:9月1日、14:00)