日本では、株式市場の動向を示す指標として「日経平均株価」「TOPIX(東証株価指数)」がポピュラーです。テレビやネットのニュースなどでも頻繁に取り上げられているため、みなさんも一度は耳にしたことがあるはずです。このように株式市場全体の値動きを示す指数を「株価指数」と呼びます。
一方、米国では「NYダウ」「S&P500」「ナスダック指数」が主要3指数と呼ばれる代表的な株価指数です。それぞれに特徴が異なりますので、解説していきましょう。
NYダウ
「NYダウ」は、世界で最も有名な株価指数です。正式名称は「ダウ工業株30種平均」で、米ダウ・ジョーンズ社が選んだ30銘柄で構成されています。これら30銘柄は、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している米国を代表する企業群です。ただ、構成銘柄が30銘柄で、カバーしている業種も9業種と少ないため、個別銘柄、特に株価の高い銘柄の値動きに大きな影響を受けてしまいがちです。
「ダウ工業株30種平均」という名称から、工業関連株だけで構成されていると勘違いされるかも知れませんが、アップル(AAPL)やコカ・コーラ(KO)、アメリカン・エキスプレス(AXP)やウォルト・ディズニー(DIS)といった銘柄も採用されており、近年では、米国の主要産業の変化とともにIT産業やサービス産業も加わっています。
S&P500
NYダウが30銘柄で構成されているのに対して、「S&P500」はニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している米国を代表する500銘柄で構成される株価指数で、米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが算出しています。
指数は、NYダウが「株価の平均」だったのに対して、S&P500は500銘柄の「時価総額を加重平均(平均値を出す項目それぞれの重みを加味して割り出す平均値のこと)」したものとなっています。構成銘柄が500銘柄と多く、NYダウに比べて米国株市場全体の動きを反映している指数といえます。実際、米国株式市場の時価総額の8割をカバーしているとされています。採用基準として、時価総額が61億ドル以上、4四半期連続で黒字を維持していることなどハードルが高いのも特徴のひとつです。
ナスダック指数
ナスダック市場の動きを示す株価指数としては、「ナスダック総合指数」と「ナスダック100指数」があります。ナスダックが新興企業向けの株式市場として開設されたこともあり、ナスダック指数はNYダウやS&P500に比べて、ITやハイテク関連企業の動向が反映されやすくなっています。
「ナスダック総合指数」は、ナスダック市場に上場している全銘柄を対象に、時価総額を加重平均して算出される指数です。
一方、「ナスダック100指数」は、ナスダック市場に上場している企業のうち、時価総額と流動性の大きい上位100銘柄(金融業除く)を対象に、時価総額を加重平均して算出される指数で、よりナスダック総合指数に比べてよりハイテク企業の影響が強まる指数とされています。
ちなみに、2023年8月上旬現在、米国株全体の時価総額ランキングでは、上位8社がナスダック市場の銘柄となっています。
ご参考までに、日本の株式市場の動向指数についても解説します。
日経平均株価
「日経平均株価」は、東京証券取引所のプライム市場に上場している銘柄の中から、日本経済新聞社が選んだ225銘柄の平均株価指数で、「日経225」とも呼ばれています。日本を代表する銘柄で構成されていますが、指数の算出方法から株価の高い銘柄の影響を受けやすいといった特徴があります。
TOPIX(東証株価指数)
一方、「TOPIX(東証株価指数)」は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場するすべての銘柄が対象で、その時価総額は「浮動株数」(発行済み株式の中で、大株主などの安定株主に保有されておらず、市場に流通する可能性が高い株式)を元に計算されています。日経平均株価に比べて、日本株市場全体の値動きを反映している指数とされています。
まとめ
日本の有名なことわざに「木を見て森を見ず」というものがあります。同じようなことが、株式投資の世界でも言われています。
つまり、個別銘柄の業績などをチェックすることはとても重要ですが、それだけでは投資では勝てないというもの。紹介した株価指数などで市場全体の流れを把握し、投資すべきタイミングを把握することが重要なのです。
記事作成日:2023年8月14日