世界最大級の投資会社を率いるバフェット
証券、銀行、生損保などの金融機関や年金基金などの機関投資家、一般企業や個人などさまざまな投資家が株式に投資をしています。そんな株式投資の世界で、「投資の神様」と呼ばれているのが、米国の著名投資家ウォーレン・バフェットです。バフェットが率いる世界最大級の投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRKB)は、米国の株式市場にも上場しています。
同社はもともと1888年に創業した綿紡績会社でしたが、1965年にバフェットが同社を買収、その後、自動車保険で全米2位のGEICOの株式投資などで成功を収め、投資会社へと転身していきました。現在のバークシャー・ハサウェイは、保険業、鉄道事業、エネルギー事業、食品事業などさまざまな企業を傘下に持つ持ち株会社ですが、投資会社と紹介されることが多いようです。これは、バフェットが投資によってバークシャー・ハサウェイの事業を拡大していることによるものでしょう。
バリュー投資で高い成長率を達成
バークシャー・ハサウェイの1965年から2022年までの株価の年平均上昇率を見ると、米国の代表的な株価指数であるS&P500が9.9%だったのに対して、同社の株価は19.8%と2倍となっています。このように、長期間にわたり、高い成長率を保ってきたことで、バフェットの評価は高まりました。
ちなみに、バークシャー・ハサウェイの本社は米国ネブラスカ州オマハにあり、バフェットがオマハに生まれ、現在もオマハに住んでいることから、バフェットは「オマハの賢人」とも呼ばれています。
バフェットが綿紡績業を営んでいたバークシャー・ハサウェイ株に投資を始めたのは、同社の株価が、本来の価値よりも低く評価されていると確信したからでした。この当時からバフェットの投資手法は割安な株式に投資し、長期保有を行う「バリュー投資」で、それは現在も変わりません。
横道に逸れますが、1920年代にバリュー投資手法を生み出したのは、米国コロンビア大学で教鞭を取っていたベンジャミン・グレアムで、バフェットはその教え子です。
バフェットの投資手法は、多くの個人投資家も参考になるはずです。基本的には、「良い銘柄を安く買って、長期間保有する」という投資手法になります。後述しますが、バフェットは日本の商社株にも積極的に投資しています。商社の株価は、ここ数年でかなり上昇しましたが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といったポピュラーな株価指標で見ても、なお割安に評価されています。
日本の商社に追加投資で、日本株にもバフェット効果
バフェットの発言や投資方針、バークシャー・ハサウェイの投資は株式市場に大きな影響を与えています。
たとえば、バークシャー・ハサウェイは2020年8月にかけて日本の伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5大商社株を5%超取得していました。さらに、2023年4月に来日したバフェットは5大商社株の追加取得を明らかにしたのです。これがきっかけとなって、日本の商社株のみならず、外国人投資家の日本株買いが活発化しました。
このように、バフェット氏の動向により、株価の上昇や株式投資が活発化することは「バフェット効果」とも呼ばれています。
現在、バークシャー・ハサウェイはアップル、バンク・オブ・アメリカ、シェブロン、コカ・コーラなど多くの企業の株式に投資をしています。バフェット氏とバークシャー・ハサウェイの投資動向は大きな影響を持っており、注目材料のひとつになっています。
記事作成日:2023年10月3日