💡この記事のポイント
✅アノマリーとは合理的な説明ができない過去の経験則
✅2024年の「セル・イン・メイ」は当たらなかった?
✅日米のアノマリーを紹介!「ジブリの法則」とは?
アノマリーとは?
投資を行っていると、時折「アノマリー」という言葉を聞くことがあります。アノマリーとは、法則や理論から合理的な説明ができない現象のこと。投資や金融の世界では、理論的な説明がつかないにもかかわらず、なぜかそうなってしまう現象を指します。
たとえば、米国で有名なアノマリーに「セル・イン・メイ(Sell in May)」というものがあります。「株は5月に売れ」という意味で、経験則では、5月以降は相場が弱くなることを示すものです。4月の後半頃から5月にかけて相場が下落すると、日本でもさまざまなメディアで取り上げられるアノマリーです。
実は、「セル・イン・メイ」には続きがあって、全文は「Sell in May, and go away, Don’t come back until St Leger day. 」。セントレジャー・デーとは、毎年9月の第2土曜日に英国で行われる競馬の重賞レースのことで、「株は5月に売り逃げて、9月中旬頃まで相場に戻ってくるな」と訳すことができます。
2024年は通用しなかった「セル・イン・メイ」
一方、日本には「節分天井・彼岸底」や「掉尾の一振(とうびのいっしん)」といった相場格言があり、これもアノマリーの一種と言えます。「節分天井・彼岸底」は、「相場は節分の時期(2月上旬)に高値をつけ、春の彼岸の時期(3月中旬)に安値をつける」という意味。「掉尾の一振」は、「年末の大納会に向けて株価が上昇する」という相場格言です。
このように、日米の株式市場には過去の経験則に基づくさまざまなアノマリーや相場格言が存在し、投資家もそれらを意識して行動することも少なくありません。
ちなみに、2024年のNYダウは、5月から9月にかけて上昇、特に7月以降は史上最高値の更新が続きました。つまり、「セル・イン・メイ」のアノマリーは通用しなかったというわけです。このようにアノマリーや相場格言は、100%的中するわけではありません。あくまでも過去の経験則として頭の片隅に置いておくのがいいでしょう。
アノマリーの例
ここからは、そのほかの有名な日米のアノマリーをまとめています。
米大統領選挙の前年と当年は上昇しやすい
4年に一度、大統領選挙が行われる米国では、大統領選と株価の関係を示すアノマリーがあります。これによると、「大統領選挙の前年や選挙の年は株価が上昇しやすい」という経験則があります。
実際に2023年、2024年ともに米国のNYダウ、S&P500、ナスダック総合はいずれも2ケタの上昇率となりました。選挙の翌年については、株価が上昇しやすいというデータはある一方で、出身政党が変わった場合には、株価の動きが反転するといったデータもあります。
サンタクロースラリー
「クリスマスラリー」と呼ばれることもあります。米国では、12月の最後の5営業日から翌年の2営業日にかけて株価が上昇しやすいというものです。
日本の「掉尾の一振」も年末にかけて上昇しやすいという相場格言ですから、古今東西似たようなアノマリーがあることが分かります。
選挙は買い
日本において、選挙期間中は株価が上昇しやすいというもの。実際、1969年以降、17回連続で衆議院解散から投開票日までの日経平均株価は上昇しました。ただ、2024年10月の衆議院選挙では、期間中に日経平均は下落し、このアノマリーは通用しませんでした。
選挙で新しくなる政権への期待感から株式が買われやすくなるのかもしれません。
十二支のアノマリー
日本には、干支(えと)にちなんだ相場格言があります。『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。 戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』というものです。
2025年は巳年ですので、株価が天井(高値)まで駆け上がることに期待したいものです。
ジブリの法則
ジブリの法則とは、近年、個人投資家の間で話題となっているアノマリーです。これは、日本テレビの「金曜ロードショー」でスタジオジブリの作品が放送されると、週明けの株式市場や下落するというもの。「ジブリの呪い」と呼ばれることもあるようです。もちろん、根拠は何もありません。
記事作成日:2024年12月13日