💡この記事のポイント
✅NISAの成長投資枠は日米株やさまざまな投資信託が購入できる
✅一気に使い切る?タイミングを分散する?
✅成長投資枠なら銘柄の入れ替えや買い増しもしやすい
「新NISA」は流行語大賞にノミネート
2024年1月に制度が改正され、投資初心者のみならず中上級者からも注目を集めたNISA(少額投資非課税制度)。「新NISA」という言葉は、2024年の流行語大賞にもノミネートされました。一言で説明すると、NISAは、年間360万円までの投資について、その利益に対する税金が非課税になるという投資家にとってはありがたい制度です。
年間360万円の内訳は、「つみたて投資枠」(120万円)と「成長投資枠」(240万円)の合計です。つみたて投資枠での購入は、長期・つみたて・分散投資に適した一定の投資信託に限られていますが、成長投資枠では、日米の上場株式や、多くの投資信託を購入することができます。
今回は、この成長投資枠の使い方についてご紹介します。
一気に使い切る?タイミングを分散する?
制度が改正された2024年1月には、さまざまなメディアでNISAが取り上げられました。投資家の中には、1月に一気に成長投資枠のすべてを使って、株や投資信託を購入した人もいるようです。
個別銘柄の動きは銘柄によってまちまちですが、少なくとも日経平均やNYダウ、S&P500といった日米の主要株価指数は、結果的には2024年の年初から年末にかけて大きく上昇しました。このようなケースでは年初に成長投資枠を使い切って「まとめ買い」するのが正解でした。
ただ、2024年も途中で全体相場が大きく下落した局面がありました。例えば、年初33,193.05円からスタートした日経平均は、7月11日に42,426.77円の史上最高値をつけ、その後8月5日には一時31,156.12円まで急落しました。
この8月の日経平均の急落局面では、年初に成長投資枠を使い切ってしまった多くの投資家に含み損が発生しました。中には損切りして売却損となった投資家もいるでしょう。一方で、成長投資枠に余裕のある投資家にとっては、ここが絶好の買い場となりました。株価の天井や大底はプロの投資家でも予想困難です。ですので、時間を分散して投資する「分散投資」は株式投資の王道とされています。
一方、分散投資は、時間の分散に限りません。一つの銘柄に投資していると、その銘柄が下落した場合には含み損となりますが、複数の銘柄に分散している場合には、一つが下がっても他の銘柄の上昇でトータルではプラスとなる場合もあります。
銘柄の入れ替えや買い増しも
時間の経過とともにさまざまなテーマやスター株が誕生するのも株式市場の特徴です。2024年の前半は半導体やAI(人工知能)が日米の株式市場で大きなテーマとなりました。米国株でいえば、半導体大手のエヌビディア<NVDA>が1月から6月にかけて3倍近い上昇となりました。
ただ、7月頃から半導体関連の勢いは徐々に鈍くなっていきます。その後、トランプ氏が大統領選に勝利すると、暗号資産関連銘柄のコインベース・グローバル<COIN>やロビンフッド・マーケッツ<HOOD>、自動運転車やロボタクシーの規制緩和期待でテスラ<TSLA>といった銘柄の急上昇がはじまりました。
成長投資枠に余裕を持って投資していれば、このような相場の移り変わりで銘柄を機動的に入れ替えることも可能です。
なお、成長投資枠では、つみたて投資枠で購入可能な投資信託にも投資することができます。ですので、つみたて投資枠で購入している投資信託が一時的な下落に見舞われた場合には、成長投資枠を使ってそれらの銘柄を買い増すこともできます。
このように、つみたて投資枠に比べて、成長投資枠は自由度の高い設計になっていますので、さまざまな戦略に応じて使い分けるといいでしょう。
残りの投資枠には注意
成長投資枠は好きなタイミングで利用できるので自由度が高いですが、残りの投資枠には注意しましょう。
年間240万円の枠は、株などを購入して一度使うと、売却してもその年は復活しません。
例えば、200万円分の株を購入すれば、その年の年末までに利用できる残りの投資枠は40万円です。仮に200万円分の株を売却して買い替えたいと思っても、その年の成長投資枠では足りないため、通常の特定口座で買うしかありません。
特定口座では利益に対して20.315%の税金がかかりますので、成長投資枠で銘柄の入れ替えや買い増しを検討している場合は、残りの投資枠に注意して使い方を考えましょう。
記事作成日:2025年1月6日