皆さま、こんにちは。PayPay証券オウンドメディア「資産運用の1st STEP」編集長の臼田琢美です。今回は初心者の方のご質問です。このテレビ番組を観て資産運用をはじめようと思った方が多かったようですね。
Q<初心者>:テレビで「オルカンとS&P500が良い」って話がありましたが、これって鵜呑みにしていいんですか?
「評判の良い人気ファンド」ということは間違いない
A:2024年からの「新しいNISA」のスタートで、マスコミでも資産運用に関する話題が増えてきました。専門家や個人投資家の体験談など、多くの参考になる話がありますのでありがたいですね。
「オルカン」とはオール・カントリーの略で、世界中の株式に幅広く分散投資するインデックスファンドのことです。「S&P500」は米国株の株価指数の一種で、それに連動するインデックスファンドのことです。
ご相談の「オルカンとS&P500が良い」という話は今に始まった話ではありません。オルカンの代表的なファンドである「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、投信ブロガーが選ぶファンドオブザイヤーで5年連続1位を受賞しています。純資産総額も2020年1月は約116億円だったのが、2024年1月29日時点で約2兆2,500億円にまで増えています。ちなみにeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の純資産総額は約3兆4,000億円です。
ですので、「評判の良い人気ファンド」ということは間違いないと思います。
ただし、だからといってそれが貴方にとっても良いかというと別の話です。この2つのファンドは株式に投資するファンドですから、大きく損をするリスクもあります。もし、「大きなリターンを目指すよりも、大きな損失は避けたい」という投資方針なら、あまり合っているとは言えません。より安定的な債券に投資する割合の大きいファンドの方が向いています。
株式に投資するファンドでリターンを目指したい人にとっては、オルカンとS&P500は代表的な選択肢と言えます。同種のファンドは他にもいくつかありますので、見比べて選ぶことをオススメします。誰かが良いと言っていたからと鵜呑みにするのは何事においても良くはないですね。
オルカンとS&P500の組み合わせは…
最後に、オルカンとS&P500はそれぞれ良い選択肢ではありますが、この2つを組み合わせて持つことはあまりオススメできません。S&P500はまるごと米国株ですが、オルカンも現状で中身の約6割は米国株です。どちらのファンドも組み入れ上位はアップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラと、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるお馴染みの銘柄が並んでいます。
仮にオルカンとS&P500を半分ずつ持っている場合、世界の株式と米国株に半々投資しているつもりでも、実際は米国株が約8割を占めます。それを理解した上ならば問題ありませんが、世界と米国に分散しているつもりなら、それはやりたいこととやっていることにギャップがあります。
もっと分散して世界中の株式に投資したいなら、新興国ファンドと先進国ファンドを組み合わせれば米国株の比率も下がりバランスが良くなります。
「何が良いか?」の前に、自分が「やりたいこと」と「やっていること」を理解することからはじめましょう!
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