新しいNISAとライフプラン・資金フロー編

新しいNISAとライフプラン・資金フロー編

目次

現行NISAが意識したのは金融商品選び

新しいNISAの投資上限額について

新しいNISAは一生付き合う投資資産管理口座に

資金計画は、家庭ごとに最適な形が違う

年間非課税投資枠の拡大」は、2023年までの現行NISA(少額投資非課税制度)と、2024年からの新しいNISAの相違点の1つ。多くの投資家から歓迎され、注目が集まっています。ですが、単純に「非課税で投資できる金額が増えた」と考えるだけでは不十分ではないでしょうか。

 

現行NISAが意識したのは金融商品選び

2023年までの制度では、一般NISA投資元本は年間120万円が上限。つみたてNISA投資元本は、年間40万円までです。

時々売買しながら株式投資をする人の中には、120万円では年間投資額の一部分という人もいらっしゃるでしょう。また、ある程度の収入があれば、1年間に40万円を超える積立投資は珍しくないと思います。さらに、老後の生活資金を作り上げるならば、2,000万円ほどの長期投資も視野に入ってくるでしょう。

このように、2023年までのNISAは、どちらかといえば投資や資産形成の一部と考えられます。どのような金融商品・銘柄が非課税投資に適しているかを考え、厳選するところに意識が向いていました。

なぜなら、NISAは利益に対して税金がかからないのがメリットだからです。リスクが大きすぎてマイナスになりそうな投資は、どちらかというとNISAには不向き。かといって、利益が薄すぎれば本来かかる税額も少ないので、せっかくの非課税メリットが小さくなってしまいます。理想を言えば、「利益の幅はそれなりに大きくなりそうで、値下がりしそうにない」といったタイプの金融商品がNISAと相性が良いといえます。

限られていた枠を有効に活用するためには、金融商品を厳選する必要がありました。

 

新しいNISAの投資上限額について

2024年からの新しいNISAは、年間投資枠が拡大し、さらに成長投資枠つみたて投資枠併用できます。

非課税になる年間投資上限額は、成長投資枠240万円つみたて投資枠120万円。どちらも最大限利用できる人なら、年に元本360万円の非課税投資ができます。1ヵ月あたり30万円ですから、もはや「投資の一部」どころか、手取り月収ほどの金額です。

毎年コンスタントに年間360万円を投資に充てられる人は別として、一般的な個人投資家の場合、臨時収入や課税口座の売却代金をNISAに移す場合などでなければ、年間投資上限額に達することはめったにないでしょう。

新しいNISAでは、年間の投資上限額のほかに「非課税保有限度額1,800万円」が設けられました。NISAが恒久化されたため、保有するNISAに上限が設けられたのです。ただしNISAの金融商品を現金化して非課税保有額が減った場合、その翌年非課税枠が復活します。

 

新しいNISAは一生付き合う投資資産管理口座に

新しいNISAは、現行NISAと違う使い方になっていくのではないでしょうか。数年経って使い慣れれば、「一生付き合う投資資産管理口座」という存在になるような気がしています。

NISAを使って資産づくりをし、必要に応じて解約して使い、また積み上げながら殖やし、まとまった額になったらまた使い、を繰り返しながら一生の付き合いになると思うのです。

そうなると、「いかに殖やすか」「どんな金融商品が有利か」というよりも、使い道や使う時期に応じて、縦に横に1,800万円自由設計する力が大切になります。

とは時間軸。何年積立投資をして、何年かけて取り崩すかという観点です。は、同時に保有する金融商品の使い分け老後の生活資金づくりのための金融商品と、10年程度先に使う子どもの学費と、余裕資金の運用、といった目的に、それぞれ使い道に適した金融商品を同時に保有しているイメージです。

 

資金計画は、家庭ごとに最適な形が違う

「月々いくらぐらい積立投資をしたら良いですか?」「70歳でどのぐらい金融資産があったら良いですか?」「金融資産のうち、リスク資産は何割が良いですか?」

全部、あなたの状況次第です。あなたが送りたい人生によります。

たとえば、「子どもの教育費をNISAで積立投資しても良いか?」と聞かれることがあります。お子さんが高校生で進学を控えているならば、定期預金の方が無難です。お子さんが乳幼児で、教育費が重くなる時期まで長い月日があるのなら、つみたて投資枠資産作りは向いているといえます。

一口に教育費といっても、このように状況次第です。

新しいNISAが「一生付き合う投資資産管理口座」として有効に機能するには、ご自身のライフプランを立て、それに応じた資産作りや資産配分を考えるマネープランが大切になります。縦横自由に設計できる非課税枠だからこそ、ご自身のお金の流れと向き合う必要性が高まるのではないかと思うのです。

 

(DZHフィナンシャルリサーチ)

公開日:2023.11.6

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