インデックスファンド、基本のキ
若い世代を中心に積立投資が支持される中、特にインデックスファンドに資金が集まっています。「投資ビギナーは、まずインデックスファンドから」という声をよく見聞きしますが、何のインデックスに投資をしているのか、いまひとつ理解ができていないご様子の方もいらっしゃるようです。
今回は、インデックスファンドの運用について、簡単に説明しましょう。
一口にインデックスといっても、タイプはさまざま
「インデックス」は「指標」のことです。金融市場におけるインデックスは、その市場全体の値動きを示すものさしのような値です。日本の株式市場では、「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」がよく知られています。
インデックスは、株式市場の指標だけではありません。債券市場や不動産投資信託(REIT)の市場全体を示すインデックスもあります。もちろん、日本だけではなく、海外の株式市場、債券市場、REITの市場それぞれに、値動き全体を示すインデックスがあります。
また、1つの国や地域だけでなく、世界の株式市場全体を示すインデックスや、先進国だけ、新興国だけ、さらには、米国や欧州など特定の国や地域の市場の値動きを示したインデックスが、数多くあります(=表)。
上の表では代表的なインデックスをご紹介しましたが、ほかに特徴的なインデックスもあります。たとえば、銘柄の時価総額に応じた規模別指数や、業種ごとにグループ分けした業種別指数、配当利回りの高い銘柄を集めた「高配当利回りインデックス」、資本効率の良い銘柄を集めた「JPX日経400」など。ある特徴を持った銘柄群をひとまとめにしたインデックスです。
これらのインデックスは、金融情報を取り扱う業者が、市場全体を数値化する条件や計算方法を工夫して作成しています。業者とは、東京証券取引所、ニューヨーク証券取引所、日本経済新聞社、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)、FTSE(FinancialTime社とロンドン証券取引所の合弁会社)といった、金融取引所や金融情報提供サービスなどです。
インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、特定のインデックスにほぼ連動するように設計された投資信託です。例えば「日経225インデックスオープン」という名前の投信は、基準価額が日経平均株価の動きに連動するように運用されています。
そのため、ニュースなどで日経平均株価の値を知れば、「日経225インデックスオープン」の動きが想像つくようになっています。日経平均株価に連動するためには、そのファンドの運用資金で、日経平均株価と同じ銘柄を同じ比率になるように購入すれば良いので、それほど難しい運用ではありません。
この運用をするには、莫大な資金が必要です。個人投資家ひとりのお金では到底無理な話です。しかし、多くの投資家から資金を集める「ファンド(投資信託)」なら可能です。
投資信託は、小口の資金を大勢から集めて一つの大きな財産にまとめ、その財産で複数の投資対象に分散投資をするというものです。集めたファンドの資金を何で運用するか、その投資方針として「日経平均株価に連動することを目標に」「TOPIXに連動することを目標に」とパンフレットや目論見書に記載されていれば、それらは各指標に連動するインデックスファンドです。
なお、「TOPIXの値動きを上回ることを運用目標に」と書かれていたら、アクティブファンドです。あくまでもインデックスファンドは、インデックスに連動することが使命なのです。
インデックスと同じ動きをするのが目標
では、インデックスファンドの「良い運用」とは何でしょうか。
多くの人は、運用するからには買った時より値上がりすれば「良い運用」と思うことでしょう。しかし、インデックスファンドの運用は、連動するインデックスと同じ比率で上がったり下がったりすることが最大の目的です。つまり、インデックスが値下がりしたら、インデックスファンドもちゃんと値下がりしないと良い運用とは言えないのです。
日経平均株価の採用銘柄は、日本を代表する225社です。仮に、今後の株式市場は日経平均に採用される大型株よりも、中小型株の方が値上がり期待が大きいと予測できたとしても、日経平均連動型のインデックスファンドの運用では、中小型株を買うことはできません。ファンドの目的と異なる運用はできないのです。
なので、インデックスファンドを買う場合は、何のインデックスを選ぶかが重要になってきます。同じ日本株のインデックスでも、日経平均株価とTOPIXはやや特徴が異なります。「海外株式」となれば、先進国、新興国、その両方の全世界、といったように、カテゴリが違えば値動きも全く違うものになってしまう可能性もあります。
逆に言えば、同じインデックスに連動する投信同士であれば、運用会社が違ったとしても、ほぼ同じ運用成績になります。「ものさし」が同じだからです。運用会社が異なる、同じインデックスに連動するファンド同士でどちらを買おうかと迷ったら、販売手数料や運用管理費用(信託報酬)が低い方を選ぶと良いでしょう。運用成績の若干の違いは、これらのコストの違いと言えます。
(DZHフィナンシャルリサーチ)