京都といえば、伝統文化のイメージや町並みの美しさを連想する方は多いのではないでしょうか。
京都府は日本有数の観光地でありながら、製造業に強く京セラ株式会社や任天堂株式会社など国内の大手メーカーの本社が所在しています。
京都といえば観光地のイメージを抱く方が多いかもしれません。
しかし、京都府総合政策環境部 企画統計課が公表した「経済活動別府(国)内総生産(名目)構成比の推移」を見ると製造業に強いことが分かります。
出典:京都府総合政策環境部 企画統計課「経済活動別府(国)内総生産(名目)構成比の推移」
2020年の国内総生産における製造業の割合は20%ですが、京都府内総生産の製造業の割合は25.7%です。
京都府には、日本有数のメーカーの本社があります。
京都府に本社がある製造業の銘柄3つを紹介
1.京セラ株式会社
京セラ株式会社はスマートフォンやIoTデバイスなど情報通信機器、複合機・プリンター・半導体関連部品、さらには医療機器などの製造、蓄電池や関連製品の拡充に加え、電力エネルギーサービス事業などを展開しています。本社は京都府京都市伏見区にあります。
2023年の売上高は約2兆253億円で近年順調に伸びていますが、営業利益は利益率が2022年の8.1%から2023年は6.3%に下降しました。
コロナ禍を機にデジタル化が加速したことから、設備・研究開発に積極的な投資を行っており国内外で新工場棟を建設中です。
2022年8月には創業者で名誉会長の稲盛和夫氏が亡くなりましたが、氏の実体験や経験則から導き出した経営哲学「京セラフィロソフィ」は今でも社員に受け継がれていることでしょう。
2023年の1株当たり配当金は200円で、2024年も200円を予定しています。
2024年3月期の第2四半期決算短信によると、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスになっていることから引き続き設備投資に力を入れていることが分かります。
営業活動(企業の本来の事業活動)によるキャッシュ・フローは前年の同じ期間と比べると1.85倍に伸びている点が注目のポイントです。
出典:TradingView
株価も上昇傾向にあります。
2.株式会社村田製作所
京都府長岡京市に本社がある村田製作所は、1954年に村田昭氏が創設した企業です。
ファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスの研究開発・生産・販売を手がけており、2023年3月期連結の売上高は1兆6,867億9,600万円に上ります。スマートフォン向けの表面波フィルタ、積層セラミックコンデンサなどが主力製品です。
2024年3月期第2四半期決算短信によると、売上収益・営業利益は前年の第2四半期と比べマイナスですが、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間に比べ359億1,600万円増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスで、生産能力増強・生産棟の建設を中心とした固定資産の取得など設備投資に力を入れていることが分かります。
設備投資により業績が上がるのか、今後の動向に要注目の銘柄といえるでしょう。
出典:TradingView
3.任天堂株式会社
任天堂株式会社は、家庭用のゲーム機器などを製造・販売する企業で、ゲームソフト「スーパーマリオブラザース」ゲーム機器「Nintendo Switch」などが国内外で人気です。
2023年3月の連結売上高は1兆6,016億7,700万円に上ります。
同社の株価の推移を見ていきましょう。
出典:TradingView
コロナ禍に「Nintendo Switch」の人気に火が着き株価は上昇し、2022年10月には発行済普通株式を1株につき10株に分割したことからさらに上昇しています。株式分割後に個人株主が急増し2023年3月末には株主が18万7023人で4倍近くに増えました。
2023年上半期には、映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が世界的にヒットしました。
2024年3月期第2四半期決算短信によると、売上高は前年の第2四半期と比べ21.2%上昇、営業利益は27%上昇しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは前年の第2四半期に比べおよそ8.3倍増加し、フリーキャッシュフローも増えていることから今後も注目すべき企業と言えるでしょう。
※上記は「関連銘柄」の紹介であり、購入を推奨するものではありません。企業や財務の分析は筆者個人の見解に基づくものであり、筆者が所属する組織・団体の公式見解ではありません。
まとめ
京都府に本社のある製造業の銘柄3つを解説してきました。
観光地として人気があるだけではなく製造業に強い京都府の企業の今後に注目していきましょう。
記事作成日:2023年12月6日
(DZHフィナンシャルリサーチ)