時には、マーケットの変動に応じて銘柄の変更を
新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートして約半年が経ちますが、ここまでの運用成績はいかがでしょうか?
順調に利益が出ていればいいのですが、もしも運用成績が芳しくない場合や、イメージしていた運用と違う場合や、投資しているマーケットが大きく動いた場合には、あらためてファンドを見直すことも必要です。
というのも、世界の金融マーケットの環境は常に変化しているからです。効率よく利益を上げていくことはもちろん、資産を防衛する意味でも、半年に一度くらいは購入している投資信託をあらためて検証してみてはいかがでしょうか。
そして、運用成績が伸び悩んでいる投資信託があれば別の投資信託に乗り換えたり、全体的なポートフォリオの比率に大きな変化が生じたりしたときには、リバランスを行うということも投資戦略のひとつです。
たとえば、みなさんの年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、「国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%」という基本ポートフォリオを掲げています。ポートフォリオの資産構成の割合は、各マーケットが動くことにより、変化していきます。そこで、相対的に値上がりした資産を売却し、相対的に値下がりした資産を購入することで基本ポートフォリオ通りの資産構成割合に戻す「リバランス」という作業が定期的に行われているのです。
そこで今回は、NISAのファンド入れ替えの選択肢を考えてみました。
ファンド入れ替え候補5選
候補1:リスクを抑え、利食いも考える
圧倒的な人気を誇る全世界株ファンドは、その名の通り全世界の株式に投資する投資信託です。
ただ、実際には米国株が60%以上を占めているため、米国株市場の値動きに連動しやすくなっています。直近では、ナスダック市場が史上最高値をつけるなど好調なこともあり、運用成績は右肩上がりですが、今後もこのような推移が続くかどうかはわかりません。
人気だから買ったけど、自分としてはもっとリスクを抑えた運用をしたい、と思っている場合などはおそらく上昇して利益になっているであろう全世界株ファンドを利食って、バランスファンドに乗り換えるのも一つです。
そこで、資産防衛の観点から幅広い資産に分散投資する「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」への入れ替えを考えてみました。
さまざまな金融資産にバランスよく投資することで、株式市場に集中して投資する投資信託などに比べて、リスクを抑えた運用が可能になります。つみたて投資枠もOKなので、長期投資にも向いています。
候補2:日経平均から出遅れ小型株ファンドへ
日経平均は、年初から3月にかけて大きく上昇後は調整局面もありましたが、再度上昇傾向となりました。
一方で、中小型株が中心の東証グロース市場指数は、5月に年初来安値をつけるなど厳しい展開が続いていますが、株式市場では、東証グロース市場指数がどこで反発するかが注目ポイントとなっています。
大型株に比べて出遅れている小型株ファンドに乗り換えることで、より大きな上昇を狙える可能性があります。
そこで、日経平均やTOPIXなどのインデックスファンドから「新光日本小型株ファンド 愛称:風物語」への乗り換えを候補に挙げました。
日経平均株価に比べ、中小型株中心の東証グロース市場指数は底値模索状態が続いています。銘柄の中には、業績が良好にもかかわらず割安に放置されている銘柄もあり、今後の上昇余地は大型株に比べて大きそうです。
候補3:日経平均から割安な好配当株ファンドへ
日本株への投資は続けたいが堅実に配当収入を得たい、下落リスクにある程度は備えたい、という場合は高配当株ファンドへの乗り換えが向いています。
高配当株は高い配当が狙えるだけではなく、相場下落時に配当利回りが下支えとなり比較的下がりにくくなることも期待できます。
ここで紹介する「みずほ好配当日本株オープン」は、配当利回りが高く相対的に割安な株に投資するファンドで、組入上位銘柄は大型株や有名企業ばかりです。
日経平均などのインデックスファンドから高配当の選りすぐりの銘柄を集めたファンドに乗り換えるイメージです。
予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄の中から、割安度やさまざまなリスク、事業内容などを検証し、銘柄を選定。高い配当利回りに加え、株価上昇による値上がり益も狙えます。
候補4:海外の成長株から下値抵抗力のある増配株ファンドに
海外の成長株ファンドは、投資先として米国株の比率が高いものが多いです。米国株には世界の株式市場を引っ張るほど高成長な企業がいくつも上場していますが、今年は大統領選挙が行われることもあり、さまざまな思惑から米国株式市場の変動が大きくなりそうです。
そこで、同じ米国株でもS&P500の構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業に投資する「米国株式配当貴族(年4回決算型)」への乗り換えを考えてみました。
増配株は値上がり益も狙えますが、配当の魅力もあるので、値下がりした場合でも株価の下支えが期待でき、安定性が増すことが考えられます。
単純に保有継続か利食い売りだけでなく、このようにファンドを入れ替えることも重要な対応策の一つになります。
組入上位には急成長しているハイテク株などは含まれず、電力、化学、小売り、保険などの業種が並びます。また組入トップの銘柄でも純資産の1.8%であり、一部の銘柄に大きく左右されるファンドではありません。
急成長で株価急上昇その後急落、といった派手な動きを避けたい場合は、こういうファンドを利用するのも一つです。
候補5:米国から新興国市場へシフト
当面、米国経済の好調は続きそうですが、長期的な視点で考えた場合、新興国の成長はもっと大きくなる可能性があります。
米国株への投資が好調な内に利食い、新興国株ファンドに乗り換えるのも一つです。
しかし、米国株と違い良く知らない企業が多いのも事実。そこで新興国株の中でも連続増配している企業に投資する「新興国連続増配成長株オープン」なら不安も和らぐのではないでしょうか。
組入上位にはインド、中国、メキシコ、台湾、韓国などの連続増配企業が並びます。運用状況により分配金を出す方針のファンドなので、投資成果をこまめに受け取りたい人にも向いています。
※詳細な商品性は目論見書をご覧ください
記事作成日:2024年6月28日