注目セクターは?
米国株市場も8月初めから大きく下落し、その後は乱高下を繰り返す展開となりましたが、NYダウは徐々に落ち着きを取り戻し、回復基調にあります。
大きな下落を経た後の銘柄選びのポイントとしては、先行していて大きく下げた半導体関連株の戻りを狙う方法などもありますが、相場との連動性が低い銘柄や景気の影響を受けにくいディフェンシブ(守り)銘柄も注目したいところです。
また、米国では、今後の利下げが予想されていますので、それによって恩恵を受ける銘柄なども注目されそうです。
そこで、今年後半に活躍が期待できそうなスター候補銘柄を取り上げてみました。
過去の経験則では、相場の大きな下落の後は、不安定な相場展開が続きます。そんな時には、相場との連動性が低い銘柄に注目するのも一つの方法です。
例えば、生活必需品や医薬品の関連が挙げられます。代表的な銘柄としては、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>やジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>などがあります。
また、最近の米国では、景気減速懸念が台頭しています。そこで、景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄に注目するのも一つの方法です。ディフェンシブ銘柄としては、公益性の高い銘柄があります。たとえば、ネクステラ・エナジー<NEE>やサザン・カンパニー<SO>、ユニオン・パシフィック<UNP>などです。
一方、利下げの局面では、金融業や不動産業などが恩恵を受けます。米国の不動産業の多くは優遇税制のあるREIT(不動産投資信託)ですが、オンラインで不動産関連サービスを提供するジロー・グループ<ZG>なども台頭しています。
プロクター・アンド・ギャンブル<PG>
ブランド化された消費者向けの日用必需品などを世界180カ国以上で販売しています。
7月30日に発表した2024年4-6月期(第4四半期)決算は、売上高が前年同期比0.1%減の205億ドル、1株当たり利益は1.40ドルでした。通期の売上高は前期比2%増の840億ドル、1株当たり利益も前期比2%増の6.02ドルとなりました。
直近の株価は7月30日に170ドルから158ドルに急落しましたが、その後は順調に株価を回復しており、急落前の水準に戻しています。
ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>
世界各地で医薬品や医療機器、消費者向けヘルスケア製品などの開発・生産・販売を手がけています。主力の医薬品部門では、免疫疾患、感染症、神経疾患、がん、循環器疾患、肺高血圧症などの分野で各種医薬品の開発を行っています。
7月17日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)決算は、売上高は前年同期比4.3%増の224億ドル、1株利益は1.93ドルでした。2024年通期の売上高を従来予想の887億-891億ドルから892億-896億ドルに引き上げました。
直近の株価は、全体相場急落の影響は小幅にとどまりました。8月5日高値165ドルから8月13日安値156ドルまで下げましたが、その後は160ドル付近まで戻しました。
ネクステラ・エナジー<NEE>
米国49州に拠点を置く北米最大規模の電力・エネルギーインフラ企業で、再生可能エネルギーの分野ではトップクラスです。子会社を通じ商業用原子力発電所も運営しています。
7月24日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比17.4%減の60億6,900万ドル、1株当たり利益は0.96ドルでした。純利益を含めた利益が減少しているものの、一時的な損益を除いた調整後利益では増加しており、再生可能エネルギーと蓄電プロジェクトの拡大が着実に業績に寄与しています。
直近の株価は、全体相場の急落の影響をあまり受けず、8月2日高値80.56ドルから76ドル台まで下げましたが、79ドル前後まで戻しています。
サザン・カンパニー<SO>
米国の南東部を中心に事業展開する電力・ガス供給会社で、原子力発電所の運営も行っています。
8月1日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比12.4%増の64億6,300万ドル、1株当たり利益は1.09ドルでした。四半期配当を前年同期から0.02ドル増の 0.72ドルへ増配しています。
直近の株価は、全体相場急落の中、83ドル台から8月5日高値89.68ドルに上昇しました。その後は87ドル前後でのもみ合いが続いています。
ユニオン・パシフィック<UNP>
米国最大の民間鉄道会社で総営業距離は3万マイル(約4万8,000km)を超え、全米の23州を結ぶほか、国境を越えてカナダやメキシコに接続しています。
7月25日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比0.7%増の60億700万ドル、1株当たり利益は2.74ドルでした。
直近の株価は、全体相場急落の中で上下していますが、おおむね235ドル~250ドルでのもみ合いとなっています。
ジロー・グループ<ZG>
住宅購入・販売、賃貸に関するWebサイトやモバイルアプリを運営。ネット上で不動産取引と金融取引が一体となったワンストップサービスを提供しています。
8月7日に発表した2024年4-6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比13.0%増の5億7,200万ドル、1株当たり損失は前年同期の0.15ドルから0.07ドルに改善してきています。
直近の株価は、全体相場急落を受け、8月1日の48ドル近辺から7日には40ドル台半ばまで下落しましたが、7日の決算発表を受け、8日には47ドル台を回復、その後も上昇して50ドル台での推移となっています。
記事作成日:2024年8月21日