9月は押し目買いのチャンス?
2024年の日経平均株価は年初から7月の高値まで26.8%も上昇し、ドル/円相場も2023年末の140円台から7月の161円台にまで急速に円安が進行していました。
株価上昇に対する過熱警戒感や、円高への反転リスクなどの警戒感は強い状況でしたが、8月初めの歴史的な日経平均大暴落(3営業日で7,643円安)、株価下落のきっかけとなったドル/円相場の急落(同じ時期に154円台から一時141円台にまで下落)を経験したことで、こうした警戒感も払拭されてきています。
また、株式市場の過去の経験則では、米国株は9月のパフォーマンスが最も悪いことで知られています。
米国株安につられる形で、日本株も同様に9月のパフォーマンスは相対的に低くなっています。
今回は下落局面が8月に早めに訪れたのかもしれませんし、再度の調整局面が9月に訪れるのかもしれませんが、このあと反発相場や上昇転換となるとすれば、ここからは格好の押し目局面となるかもしれません。
今回はここから年後半での活躍が期待される、半導体株の復興から防衛関連株やディフェンシブ株、高配当株、円高メリット株など様々なテーマの銘柄をご紹介します。
ディスコ<6146>
半導体製造装置大手企業の一角で、半導体チップをシリコンウエハー上から切り出すダイシング装置、ウエハーを研削・研磨加工するグラインディング装置で世界トップと位置づけられています。
とりわけ、AI(人工知能)半導体に使用されているHBM(高帯域幅メモリ)向け装置ではシェア100%と推定され、半導体製造装置企業の中では生成AI市場拡大でメリットを最も享受し得る銘柄と言えます。
成長株物色の中ではリード役となり得る存在でしょう。
2023年から右肩上がりの上昇が続いていた株価は、2024年7月に上場来高値となる68,850円まで上昇しました。
その後は、多くの半導体関連銘柄の下落にも巻き込まれる形で調整し、日経平均大暴落翌日の8月6日には37,520円までたたき売られました。そこを起点にリバウンドに転じられるかが注目です。
三菱重工業<7011>
総合重機の最大手企業で原子力、航空機など幅広い事業領域で展開しています。
また、2027年3月期までの中期計画では防衛事業を成長分野と位置付けていますが、2023年の防衛装備品契約金額は1兆6,800億円と他の追随を許さない水準にあり、国内企業の中で防衛関連銘柄として圧倒的な存在といえます。
台湾有事の表面化リスクが意識される中、米大統領選、日本の総裁選などに向け、折に触れ防衛関連銘柄としての活躍余地が広がりそうです。
2024年6月初旬から上昇を開始し、7月8日に2,087円の高値を付けました。
その後は、一進一退の動きとなり、8月5日には全体相場の急落に連れ安し、1,250円まで下落。しかし、翌6日からは大きなリバウンドとなり、8月16日には2,000円台目前まで値を戻しています。
武田薬品工業<4502>
国内製薬業界のトップ企業で、がん、希少疾患、血漿分画製剤、神経精神疾患、消化器系疾患、ワクチンの6ビジネス領域に注力中です。
これまで10年以上配当金は据え置いてきましたが、2024年3月期には増配を実施し、毎年の年間配当⾦を増額または維持する累進配当の⽅針も掲げています。
2025年3月期配当金196円は配当利回り4.46%(8月23日現在)の水準です。累進配当の高配当利回り銘柄はNISA(少額投資非課税制度)での長期保有とも相性がいいでしょう。
ディフェンシブ銘柄といわれる同社も、日経平均急落の翌日8月6日には3,852円まで大きく値を下げてしまいました。
ただ、その後は切り返し、8月23日には一時4,400円台まで回復しました。
ゆうちょ銀行<7182>
日本郵政グループの大手リテール銀行です。日銀の利上げの影響として、短期金利の上昇は短期運用資産の利回りが改善する要因となり、長期金利の上昇は新規投資利回りの改善が見込めます。今後の株主還元強化も期待できるでしょう。
さらに、米国の利下げも外貨調達コストの減少に伴い収益増要因となります。日本の金利上昇、米国の金利低下がそれぞれメリットになる金融関連株として注目できます。
年初から3月22日年初来高値1,747.5円まで上昇が続いていましたが、その後ジリ安となり8月5日の日経平均暴落局面では、年初の水準を割り込み、1,200円台まで下落しました。
その後は、ややリバウンドしていますが、ほかの銘柄に比べて戻りは鈍く、8月23日の終値は1,402円でした。
積水ハウス<1928>
住宅メーカーのトップ企業です。戸建・賃貸住宅事業が主力で、リフォームや不動産フィーなどストック型事業、マンションや都市開発なども手がけています。
米国や豪州、中国など海外にも展開しています。米国金利低下は今後の米国での住宅需要の回復期待を高めます。
一方、国内金利は上昇に向かいますが、未曽有の低金利状態からの脱却場面と考えれば、目先的には、駆け込み的な住宅需要の拡大局面が到来する可能性も考えられるでしょう。
7月18日に3,900円の上場来高値をつけた後、8月5日の日経平均暴落で2,843円まで売られました。
ただ、その後はジワジワと上昇し、8月23日現在では3,600円台を回復しています。この水準を固めてくれば、上場来高値更新も視野に入りそうです。
ニトリホールディングス<9843>
国内外約1,000店舗で展開する家具・インテリア専門店の大手企業です。PB商品が取扱商品の9割を占め、インドネシアやベトナムを中心とする自社および協力工場から調達しています。
海外生産比率が高く円高メリットの代表銘柄と位置付けられ、円安基調一服により先行き収益悪化懸念は大きく後退の方向です。上場企業最長の36年連続増益記録は途絶えましたが、そのプレッシャーから解放された分、積極的な事業展開が行いやすくもなったとも考えます。
株価は7月10日の安値16,355円を起点にリバウンドが続いています。8月5日の日経平均大暴落でも株価は底堅く推移し、大きな影響はありませんでした。
8月23日には21,500円台を回復し、上場来高値24,420円を目指す動きとなっています。
記事作成日:2024年8月26日