💡この記事のポイント
✅2025年はトランプ次期政権の「米国第一主義」で不透明感も
✅米国株の注目テーマは「インフラ」「エネルギー」「暗号資産」など
✅日本株の注目テーマは「半導体」「データセンター」「大阪万博」など
✅紹介銘柄はテスラ、コインベース、レゾナック、セコムなど
2025年に注目したいテーマ
2025年の株式市場は、米国のみならず日本を含め世界各国において、トランプ次期政権の経済政策が大きく影響を及ぼすことになりそうです。「米国第一主義」を掲げていることで、米国株市場にとってのプラス政策は多く表面化する可能性がありますが、対中半導体規制、関税の大幅引き上げ策、さらには地政学的リスクの高まりなど、他国にとってはマイナス要素となる政策などが多い印象です。少なくとも年前半は不透明感が優勢となる地合いが想定されます。
さて、2025年の株式市場における注目テーマですが、米国株を考える上では、トランプ政権の政策如何で大きく明暗が分かれる可能性が高く、この点を意識しないわけにはいかないでしょう。インフラ関連、エネルギー関連のほか、関税引き上げによるメリットが強まりそうな鉄鋼セクター、長期金利上昇が見込まれる銀行セクター、暗号資産(仮想通貨)関連などが注目されます。一方、対中半導体規制がマイナスに影響しそうな半導体関連、再生エネルギーやEV(電気自動車)関連などは先行きの不透明感が残るところです。
日本株においても、トランプ政権の政策は無視できませんが、今回は日本固有の物色テーマを探っています。まずは、日本の新首相である石破氏が掲げている「地方創生」が挙げられます。この点で言うと、地方銀行の役割が重要になると見られるほか、子育て支援関連、地方自治体向けに強みを持つIT関連銘柄なども有望となりそうです。
他では、大阪万博の開催、日本銀行による追加利上げ、人手不足対策、多発する凶悪犯罪への対応、親子上場解消の動き継続などが注目テーマとして挙げられるでしょう。
これらのテーマの中から注目の日米有望株を取り上げます。
テスラ<TSLA>
EV(電気自動車)の世界最大手企業です。2023年の世界シェアは19.3%と推定されています。創業者で最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏はトランプ政権の「政府効率化省」トップに起用される見通しです。
また、トランプ政権では自動運転の規制緩和を検討するなど、早くも同社にとってポジティブな動きが表面化しています。EV補助金打ち切りなど、トランプ氏は反EVと見られていましたが、想定より逆風は小さくなる可能性も出てきた印象です。
2024年前半は調整局面にあった株価ですが、トランプ氏再選を受けて大きく上昇し、12月6日年初来高値389.49ドルまで上昇しました。
コインベース・グローバル<COIN>
暗号資産取引プラットフォームを運営、暗号資産の取引手数料が主な収益源です。2023年末時点の月間取引ユーザー数は700万人、取引高は4,680億ドルに上ります。
トランプ氏は過去に、「米国を暗号資産の首都にする」とコメントしており、暗号資産市場の拡大に向けた規制緩和が進むとの期待が高まりそうです。一部では、米国政府のバランスシートにビットコインを取り入れる可能性も指摘されているようです。
なお、財務長官には暗号資産支持派のヘッジファンドマネージャーであるスコット・ベッセント氏を指名しています。また、暗号資産関連の許認可権限も有している証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、トランプ氏の大統領就任前の2025年1月20日に退任予定で、後任には暗号資産肯定派の着任が期待されています。
ビットコイン価格の上昇を追い風に、11月以降は人気化しています。12月5日には349.49ドルをつけ、年初来高値を更新しています。同社は2021年の上場銘柄で、上場来高値は上場直後につけた429.54ドルです。
エクソンモービル<XOM>
世界最大規模の石油会社で、探査・開発などの川上から精製・販売などの川下まで手がける垂直統合型企業です。脱炭素政策に後ろ向きのトランプ氏は石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大方針を表明しており、同社などの石油開発会社には恩恵が大きくなると見られます。
また、トランプ氏はEVの普及を目指したEV補助金の廃止なども示唆していることで、当面はガソリン販売の急速な減少リスクなども低下することになります。
年初に100ドル近辺だった株価は、10月7日年初来高値126.34ドルまで上昇し、足元はおよそ115~120ドル程度での推移となっています。トランプ氏の政策は大手石油会社にとってプラス要因と考えられており、今後の株価上昇に期待がかかります。
レゾナック・ホールディングス<4004>
総合化学大手の一角で幅広く事業展開。HD(ハードディスク)メディアや電炉用黒鉛電極などで世界トップシェアを持ちます。米国の対中半導体規制など、戦略物資としての半導体の重要性が高まっています。
2025年にかけて、半導体産業囲い込みの動きはM&Aなど含めて一段と強まる可能性もあるでしょう。日本は半導体材料の分野では世界トップの実績を持ち、同社でもダイボンディングフィルムや銅張積層板など世界1位、2位の製品を多く抱えています。
全体相場が急落した8月5日年初来安値2,533円を底に12月5日年初来高値4,257円まで上昇してきました。半導体関連は、日米の株式市場にとって息の長いテーマとなりそうで、今後の値動きに期待したいところです。
九州電力<9508>
九州地方を供給区域とする電力会社で、販売電力量は業界第4位の水準となります。以前は原子力発電への依存が高い状況でした。経済産業省では12月にも「エネルギー基本計画」の素案を取りまとめる予定です。
原発の新設や増設検討などが盛り込まれた場合、台湾セミコンダクター(TSMC)工場の稼働、周辺でのデータセンター需要の高まりが想定される中、先行きの期待感が最も高まる可能性のある電力会社と言えるでしょう。
株価は8月5日安値1,269円から10月17日高値1,751.5円まで上昇しました。直近では、株価が調整局面に入り1,400円程度で推移しており、押し目買いのチャンスと捉えることもできそうです。
セコム<9735>
国内最大手の警備保障会社です。事業所向けや家庭向けに、警報機器等を設置して遠隔監視するオンラインシステムなどが中心です。最近では高齢者を狙った強盗事件が多発するなど、家庭のセキュリティ強化の必要性が高まっており、同社など警備会社には商機となってくるでしょう。
また、2025年には大阪万博が開催され警備の需要増につながるほか、その後に控える大阪IRの整備もはじまるため、同関連銘柄として関心が向かう余地もあるでしょう。
8月5日年初来安値4,327円から9月19日高値5,615円まで上昇しましたが、足元ではやや上値が重く5,200円程度で推移しています。2025年は大阪万博なども控えており、国内最大手の警備保障会社である同社には追い風も吹きそうです。
記事作成日:2024年12月9日