注目高まるM&A関連日米株6選

注目高まるM&A関連日米株6選

目次

日米でM&A活発化の流れ

セブン&アイ・ホールディングス<3382>

KADOKAWA<9468>

キリンホールディングス<2503>

インテル<INTC>

ラルフローレン<RL>

JPモルガン・チェース<JPM>

💡この記事のポイント

✅海外企業による日本企業の買収も

✅トランプ次期政権の規制緩和でM&Aの活発化に期待

キリンインテルなど6銘柄を紹介


 

 

日米でM&A活発化の流れ

カナダのコンビニ大手クシュタール社がセブン&アイ・ホールディングス<3382>に買収提案を行うなど、M&A(企業の合併・買収)への関心があらためて高まっています。仮に買収が実現すれば、海外企業による過去最大の大型買収となります。

創業者によるMBO(経営者による自社買収)などの対抗策も検討されていますが、結果次第では、これから海外企業による国内大企業のM&Aが増加するきっかけとなってくる可能性もありそうです。

 

また、米国ではトランプ政権の発足に伴って、M&Aが活発化する可能性が高まっています。バイデン政権は企業の独占禁止に向けてM&Aの審査に厳しい姿勢で臨み、大型買収が複数破談になっていました。

トランプ氏は、こうしたバイデン政権の政策が「企業活動を不当に阻害している」と批判しており、これからは司法省やFTC(連邦取引委員会)などを通じた規制が緩和されていくと見られています。

資本規制の緩和も想定される銀行業界を筆頭に、小売業テクノロジー産業ヘルスケア石油業界など、2025年以降はM&A件数の大幅な増加が予想されます。

 

企業がM&Aを行うメリットとしては、販路拡大など営業基盤の拡充、スケールメリットに伴う仕入価格の低減、技術やノウハウの獲得、ブランドの獲得、研究開発コストなどの低減などが挙げられます。

これらの効果を得られる企業がM&Aの対象となりますが、とりわけ、PBR(株価純資産倍率)など株価指標が割安な銘柄、ROE(株主資本利益率)など利益率が高い銘柄などがより注目されやすいでしょう。

また、最近では親子上場解消の必要性が唱えられており、上場子会社の完全子会社化、子会社株の売却などといった動きも増加していきそうです。

 

そこで今回は、M&A関連の日米6銘柄をご紹介します。

 

セブン&アイ・ホールディングス<3382>

日本、米国においてコンビニ業界トップの総合小売業です。スーパー売却などの事業再編を進めています。今年8月にカナダのコンビニ大手「クシュタール」から、およそ390億ドル(約5兆8000億円)で買収提案を受け、その後、買収金額は約7兆円程度にまで引き上げられています。

一方、対抗策として創業家ではMBO(経営陣が参加する買収)を検討しており、国内大手5銀行がMBO実現に向けた融資の検討を現在行っているようです。

 

株価は8月の買収報道を受けて8月5日年初来安値1,600円から8月19日高値2,161円まで大きく上昇しました。その後も11月20日には一時2,703円まで上昇し上場来高値を更新しましたが、足元は2,400円程度まで弱含んでいます。

 

KADOKAWA<9468>

角川書店を前身とする出版大手企業で、「ニコニコ」動画を運営するドワンゴも擁しています。今年11月、ソニーグループ<6758>から「株式取得の初期的な提案を受領」と発表しています。

アニメやゲームの原作に活用できる宝の山となる人気小説・マンガを多数抱えており、買収対象としての魅力が高まっていたようです。

ソニーGは発行済み株式数の約10%を保有する筆頭株主となるものの、追加取得の予定はなく子会社化を期待していた投資家や、今回の株式取得は既存株主からは株式を買わない形となるため、高値での買い取り思惑で買っていた投資家から失望売りが出て売られました。

 

11月19日のソニーGによる買収報道を受けて株価はストップ高となり、12月13日上場来高値4,552円まで上昇。その後、12月20日に上記失望売りからストップ安となり、翌23日も前日比-15.58%の続落となりました。

 

キリンホールディングス<2503>

ビール「一番搾り」、発泡酒「淡麗」などを主力ブランドとするビール系飲料大手の一角です。バイオ・抗体医薬を強みとする協和キリン<4151>を子会社に抱え、現在53.75%の株式を保有しています。

協和キリンの時価総額は1兆2,500億円(12月20日現在)程度あり、一時同社の時価総額を上回っていたこともありました。親子上場解消の要求が強まる中、今後は保有株売却の可能性があり、その際には売却資金が自社株買いなど株主還元強化に繋がる可能性もあります。

 

株価は8月5日年初来安値1,896円から10月28日年初来高値2,310円へ上昇。その後11月27日安値2,033.5円まで下落しました。その後およそ2,050~2,140円程度で推移しています。

 

インテル<INTC>

世界最大規模の半導体メーカーで、パソコン向け中央演算処理装置(CPU)市場で強みを持っています。AI(人工知能)革命の波に乗り切れず業績は不振、2024年7-9月期決算では過去最大となる約2兆5,000億円の最終赤字を計上し、株価も低迷状態が続いています。

2024年9月には、同業のクアルコム<QCOM>がインテルにアプローチし、買収の可能性について協議していると一部で報じられました。その後、クアルコムの関心が後退したとの報道もありましたが、株価低迷長期化で今後も買収観測が盛り上がる可能性はありそうです。

 

株価は、2024年に入って1月25日年初来高値50.3ドルから下落傾向にあり、9月10日年初来安値18.51ドルまで売られました。その後はおよそ19~26ドル程度で推移しています。

 

ラルフローレン<RL>

「ラルフローレン」「ポロ」などを主要ブランドとするアパレル企業です。自社で生産設備は持たず、世界各国のメーカー300社超に製造委託しています。

過去には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ・ヴィトンが買収の可能性について数年にわたって対話を重ねていると報道されています。買収観測はいったん立ち消えになっていますが、ブランド自体に価値が高いアパレル業界ではM&Aが盛んに行われており、買収観測が再燃する余地は残っているでしょう。

 

1月18日年初来安値134.9ドルから11月7日上場来高値237.16ドルまで上昇し、その後も高値圏で堅調に推移しています。

 

JPモルガン・チェース<JPM>

グローバル総合金融グループ、総資産、収益力、時価総額などで世界屈指の規模を誇っています。

トランプ次期政権規制緩和によって、多くの業界でM&Aが活発になると予想されますが、とりわけ、資本規制や独占禁止法の規制が緩和されると見られる米銀は、今後経営統合が活発化する可能性が高いでしょう。

過去にベア・スターンズ、ファースト・リパブリック・バンクなどを買収している同行も、M&Aによる一段の業容拡大が期待されます。

 

株価は2022年10月安値101.28ドルからおおむね右肩上がりの上昇が続いています。今年11月25日には上場来高値254.31ドルまで上昇し、その後12月18日安値229.53ドルまで調整しています。

 

記事作成日:2024年12月23日

公開日:2024.12.23

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