2026年「世界10大リスク」関連の日米株

💡この記事のポイント

✅ユーラシア・グループが「2026年世界10大リスク」を発表

✅世界情勢が詳細に分析されているので、動向を読み解くためのヒントになる

✅10大リスクと関連する銘柄例40選をご紹介

🔎登場する銘柄

✅米国株:テスラロッキード・マーチンウォルマートダナハー

✅日本株:三菱重工業トヨタ自動車パナソニックホールディングス東レ

 

目次

リスク1:米国の政治革命

リスク2:「電気国家」中国

リスク3:ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)

リスク4:包囲される欧州

リスク5:ロシアの第二の戦線

リスク6:米国式国家資本主義

リスク7:中国のデフレ

リスク8:ユーザーを食い尽くすAI

リスク9:USMCAのゾンビ化

リスク10:水の武器化

2026年「世界10大リスク」関連の日米株

政治や地政学リスク専門のコンサルティング会社であるユーラシア・グループが1月5日、「2026年世界10大リスク(Top Risks 2026)」を発表しました。「リスク」と聞くと身構えてしまいますが、投資においては株価が動くきっかけになる場合もあります。

 

「世界10大リスク」とは

「世界10大リスク」とはユーラシア・グループが毎年出している、「その年に起こり得る政治リスク」を10項目に整理した報告書です。世界情勢が客観的かつ詳細に分析されているので、動向を読み解くための参考となります。

ただし、大切なのは当たる・外れるではなく、「起こり得ること」として備えて観察しておくことです。

 

そこで今回は、2026年世界10大リスクを順番に確認していきます。

 

 

リスク1:米国の政治革命

〜US political revolution〜

トランプ大統領が権力に対する制度的抑制を組織的に解体し、政府機関を「武器化」して政敵への報復に利用する「政治革命」が最大のリスクです。専門職の公務員が政治的理由で追放され、司法の独立性が失われるなど、伝統的な民主主義の安全装置が崩壊しつつあります。メディアや企業は報復を恐れて自己検閲を強め、社会の分断は深刻化しています。この革命が成功しても失敗しても、米国の民主主義体制は以前の状態には戻れない不可逆的な変化を遂げると警告されており、世界最強の国が最も予測不可能で不安定な存在となっています。

 

関連銘柄例

JPモルガン・チェース<JPM>

金利・景気・政策の不透明感に反応しやすい金融

 

プロクター・アンド・ギャンブル<PG>

景気が揺れる局面で注目されやすい生活必需品

 

SUBARU<7270>

北米市場の販売比率が高く、関税や環境規制など米国政策の変化が販売計画や採算に影響しやすい

 

ソニーグループ<6758>

コンテンツ・半導体など、米国の景気・規制の揺れが波及しやすい

 

 

リスク2:「電気国家」中国

〜Overpowered〜

21世紀の経済を定義するEV(電気自動車)、蓄電池、AI(人工知能)インフラなどの「電化領域」において、中国が圧倒的な支配力を確立しつつある一方、米国は化石燃料に固執し遅れをとっています。中国は世界のリチウムイオン電池生産の約75%を支配し、安価なクリーンエネルギー技術を武器に、新興国への影響力を強めています。対照的に米国は再生可能エネルギーへの支援を撤回しており、この格差が地政学的な転換点となり得ます。AI競争においても、中国は電力供給能力と物理的システムの優位性を活かし、知能を社会に大規模展開することで実利的な覇権を狙っています。

 

関連銘柄例

テスラ<TSLA>

EV競争の中心銘柄

 

エヌビディア<NVDA>

AI・計算資源など電動化や自動化の“頭脳”側の代表格

 

パナソニックホールディングス<6752>

電池・エネルギー周辺で注目されやすい

 

村田製作所<6981>

電子部品の大手で、EVの電装化や産業の自動化が進む局面では部品需要の変化が業績の材料になりやすい

 

 

リスク3:ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)

〜The Donroe Doctrine〜

トランプ政権はアメリカ大陸での支配権を再主張するため、軍事的圧力や経済的強要を辞さない「ドンロー主義(南北アメリカ大陸での米国の絶対的な支配)」を推進しています。ベネズエラのマドゥロ大統領を急襲・連行した成功体験が政権を勢いづかせており、今後はメキシコのカルテル掃討なども標的になる可能性があります。トランプ個人の報復心や取引的な外交スタイルが地域を不安定化させ、反米感情を再燃させています。強引な手法は短期的には成果を上げますが、長期的には各国が中国へのヘッジ(危機回避)を強める結果を招き、米国の「裏庭」における影響力を自ら削いでしまうリスクを孕んでいます。

 

関連銘柄例

エクソン・モービル<XOM>

資源・エネルギーは政治リスクが価格に出やすい

 

キャタピラー<CAT>

資源開発やインフラ投資の増減に反応しやすい

 

三菱商事<8058>

資源・インフラなど、世界のルール変更の影響が波及しやすい

 

日本郵船<9101>

物流・運賃は地政学の温度で動きやすい

 

 

リスク4:包囲される欧州

〜Europe under siege〜

欧州の主要国である英仏独で政治の中道が空洞化し、政府が機能不全に陥るリスクです。英国では新興右派が躍進し、フランスではポピュリストが実権を握る勢いで、ドイツも連立政権が崩壊の危機にあります。こうした内部の麻痺に加え、EU(欧州連合)に敵対的なトランプ政権が右派勢力を公然と支援し、欧州の主権を脅かしています。経済停滞と移民への怒りがポピュリズムを加速させ、安全保障を管理するリーダーシップの欠如が懸念されています。その結果、ウクライナ支援の継続が困難になり、欧州全体がロシアの脅威やハイブリッド攻撃に対して極めて脆弱な状態となる恐れがあります。これらにより、防衛・安全保障(装備、補給)、重要インフラ保護といったテーマに注目が集まる可能性があります。

 

関連銘柄例

ロッキード・マーチン<LMT>

防衛の代表銘柄

 

アールティーエックス<RTX>

防衛・航空機関連

 

三菱重工業<7011>

防衛・エネルギーで注目されやすい

 

IHI<7013>

航空エンジン・防衛関連の文脈で材料化しやすい

 

 

リスク5:ロシアの第二の戦線

〜Russia’s second front〜

欧州における戦線が、ウクライナ国内からNATO諸国に対する「ハイブリッド戦争(サイバー攻撃やインフラ破壊工作)」へと拡大するリスクです。プーチン大統領は、NATOの集団防衛が発動しない程度のグレーゾーン攻撃を強化することで、欧州のウクライナ支援能力を削ぎ落とそうとしています。これに対し、NATO側も迎撃規定の緩和やサイバー反撃など、かつてない断固とした対抗措置を準備しており、欧州の中心部で直接的な軍事対峙が起きる危険性が高まっています。偶発的な衝突やインフラ攻撃が大量の被害や死傷者を出し、事態が制御不能な連鎖反応に発展する恐れがあります。

 

関連銘柄例

クラウドストライク・ホールディングス<CRWD>

サイバーセキュリティの代表格

 

パロアルトネットワークス<PANW>

同じくセキュリティ需要の受け皿

 

日本電気<6701>

社会インフラ・セキュリティ需要の連想が働きやすい

 

富士通<6702>

企業のIT投資・セキュリティ強化の流れで注目されやすい

 

 

リスク6:米国式国家資本主義

〜State capitalism with American characteristics〜

トランプ政権が「国家安全保障」を名目に、政府が特定企業の株式を保有したり直接的に市場へ介入したりする「国家資本主義」への転換です。半導体や重要鉱物などの戦略分野で、連邦政府が企業の筆頭株主になったり収益の一部を徴収したりする手法が常態化しています。これは中国の手法を模倣したもので、法的根拠が不透明なまま、大統領の個人的な裁量で「勝者と敗者」が決まる取引的な運営が行われています。企業は生産性よりも政治的忠誠を優先せざるを得なくなり、長期的には資本の誤配分や革新性の低下を招き、米国のビジネス環境としての信頼性を損なうことになる恐れがあります。

 

関連銘柄例

マイクロソフト<MSFT>

AI・クラウド投資の中心

 

ブロードコム<AVGO>

データセンターや半導体投資の波に敏感

 

日立製作所<6501>

インフラ・DX(デジタル化)の文脈で米国投資の流れが波及しやすい

 

東京エレクトロン<8035>

半導体製造装置の大手で、米国の産業政策や輸出規制の強弱が設備投資サイクルの先行きに影響しやすい

 

 

リスク7:中国のデフレ

〜China’s deflation trap〜

中国経済がデフレと需要低迷の悪循環に陥り、それが世界に波及するリスクです。不動産市場の崩壊により家計資産が激減し消費が冷え込む中で、政府はハイテク製造業への過剰投資で穴埋めを試みています。その結果、行き場を失った安価な中国製品が世界市場に溢れ出し、各国の産業を圧迫する「近隣窮乏化」を招く恐れがあります。習近平主席は政治的統制と技術覇権を優先し、抜本的な消費刺激策を拒んでいるため、デフレは深刻化する一方です。若者の失業と「寝そべり族(出世や成功を諦め最低限の生活で満足する生き方)」の増加は社会契約を破綻させ、無秩序な経済の分断や世界的な景気後退を引き起こす火種となり得ます。

 

関連銘柄例

アップル<AAPL>

中国景気・消費や供給網の揺れが話題になりやすい

 

ウォルマート<WMT>

インフレ・デフレ、生活防衛の流れで注目されやすい(安い商品が追い風になる局面も)

 

トヨタ自動車<7203>

世界販売・競争環境の変化が材料化しやすい

 

本田技研工業<7267>

二輪・四輪を世界で展開し、中国発の価格競争やEVシフトの速度変化が収益見通しに影響しやすい

 

 

リスク8:ユーザーを食い尽くすAI

〜AI eats its users〜

投資家からの巨額のリターン要求に直面したAI企業が、社会的弊害を度外視してユーザーを搾取するビジネスモデルに走るリスクです。依存性を高めるアルゴリズムや、広告を埋め込んだ対話、心理的な操作が横行する可能性があります。AIコンパニオンがユーザーを誘導し、プライバシーや批判的思考能力を奪うことで、特に若者の社会的・情緒的発達を阻害する恐れがあります。米国政府が規制を怠り同部門を全面的に支援する中、AIは生産性向上のツールとなる前に、情報環境の悪化や民主主義を腐食させる「精神的麻薬」となる危険性があります。

 

関連銘柄例

アルファベット<GOOGL>

AI活用と規制の両方で材料化しやすい

 

メタ・プラットフォームズ<META>

広告、生成AI、規制のニュースに反応しやすい

 

レーザーテック<6920>

半導体投資サイクルの影響を受けやすい

 

アドバンテスト<6857>

半導体テスト(検査)装置の大手で、先端半導体の増産・設備投資の強弱が業績に波及しやすい

 

 

リスク9:USMCAのゾンビ化

〜Zombie USMCA〜

北米自由貿易協定(USMCA)が延長も破棄もされない「ゾンビ状態」に陥り、貿易の不透明感が投資を阻害するリスクです。トランプ大統領は、カナダやメキシコから関税や移民対策での譲歩を引き出すため、協定をあえて宙吊りにし、二国間交渉で圧力をかけ続ける可能性があります。名目上の関税免除は維持されますが、自動車や鉄鋼などの主要産業では事実上の保護主義が横行し、大陸規模のサプライチェーンが分断される恐れがあります。ルールが恣意的に変わり続ける中で、企業は長期的な投資判断が困難になり、カナダやメキシコの経済成長を抑制する深刻な重荷となり得ます。

 

関連銘柄例

ゼネラル・モーターズ<GM>

北米通商の影響を受けやすい

 

フォード・モーター<F>

北米を主戦場とする米自動車大手で、通商条件や環境規制の変更が生産・価格戦略に影響しやすい

 

日産自動車<7201>

北米戦略のニュースに反応しやすい

 

デンソー<6902>

自動車部品はルール変更の影響が波及しやすい

 

 

リスク10:水の武器化

〜The water weapon〜

水資源の枯渇と管理体制の欠如により、水が地政学的な「兵器」として利用されるリスクです。ナイル川やインダス川など国境を越える河川で、上流国がダム建設を通じて下流国の生存権を握り、外交的な譲歩を迫る構図が鮮明になっています。アフリカのサヘル地域では武装勢力が井戸を占拠して民衆を支配するなど、非国家主体による武器化も進んでいます。気候変動が事態を悪化させる中、水共有の国際的なルールが存在しない状況が、国家間の軍事衝突や大量の難民流出を招く要因となり得ます。希少な資源を巡るゼロサムの闘争は、世界の安全保障にとって深刻な火種となっています。

 

関連銘柄例

ダナハー<DHR>

水質分析・検査の連想が働きやすい

 

サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック<TMO>

分析・計測の需要増で連想されやすい

 

荏原製作所<6361>

ポンプなどインフラ領域で連想されやすい

 

東レ<3402>

膜技術など水処理の文脈で注目されやすい

 

 

記事作成日:2026年1月6日

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