💡この記事のポイント
✅自民党の提言案で「海のドローン」への国の先行投資が注目
✅南鳥島沖のレアアース採取や海洋安全保障で活用期待
✅海洋無人機、防衛、造船、レアアース関連の日本株をご紹介
🔎登場する主な銘柄
✅川崎重工業、三菱重工業、NEC、名村造船所、JX金属

✅自民党の提言案で「海のドローン」への国の先行投資が注目
✅南鳥島沖のレアアース採取や海洋安全保障で活用期待
✅海洋無人機、防衛、造船、レアアース関連の日本株をご紹介
✅川崎重工業、三菱重工業、NEC、名村造船所、JX金属
川崎重工業<7012>
IHI<7013>
三菱重工業<7011>
日本電気(NEC)<6701>
三菱電機<6503>
名村造船所<7014>
三井E&S<7003>
双日<2768>
JX金属<5016>
丸紅<8002>
初心者の方へ
自民党の海洋開発特別委員会は2026年5月13日、海のドローン(無人機)の開発に関する提言案をまとめたと報じられました。国が先行投資を行い、公共調達によって初期需要をつくることで、市場拡大を後押しする内容です。
これに先立ち、同委員会は2026年3月にも、小笠原諸島・南鳥島沖でのレアアース(希土類)開発をめぐり、採掘専用船の建造を政府に求める方針を示していました。南鳥島沖では、水深6,000メートル級の海底からレアアースを含む泥の試験採掘に成功したとされ、開発を本格化するうえで専用船や港湾・空港などのインフラ整備が課題になっているようです。
海のドローンは、海中を自律的に進む自律型無人潜水機(AUV)や、遠隔操作で動く遠隔操作型無人潜水機(ROV)などを指します。人が入りにくい深海で、海底地形の調査、海洋インフラの点検、海底資源の確認などに使われる技術です。
今回の提言案では、レアアースやマンガン団塊など、海底資源の採取も視野に入っているようです。3月時点では専用船の建造が論点となっていましたが、5月の提言案では海洋ドローンの公共調達や市場拡大にも踏み込んだ形です。南鳥島沖の海底レアアース開発が念頭にあり、2027年の本格調査時に海洋ドローンの導入も見込まれているようです。
政府の日本成長戦略会議では、海洋ドローンについて2030年までに世界市場の3割の獲得をめざすとの行程表案も示されたと報じられています。海洋安全保障、海底資源開発、重要鉱物の安定確保が重なるテーマとして、関連企業への関心が高まりやすい局面といえそうです。
そこで今回は、「海のドローン」と「レアアース採取」をテーマに、関連が考えられる日本株をご紹介します。なお、今回の提言は政策案の段階であり、各社の受注や業績への影響が決まったものではありません。現時点では、国策テーマとしての連想が先行しやすい点には注意が必要です。
船舶、航空機、鉄道車両、エネルギー関連機器などを手がける総合重工メーカーです。
同社は、潜水艦技術を応用した自律型無人潜水機(AUV)を開発しています。海中設備の保守・点検を目的としたAUVで、水中ステーションへの自動ドッキング、高速データ通信、非接触充電などの技術にも取り組んでいます。
海底資源の採取では、まず海底の地形や環境を詳しく調べる必要があります。AUVは人が入りにくい海域を広く調査できるため、海底地形の把握や海中設備の点検での活用が期待されそうです。
航空エンジン、資源・エネルギー、社会インフラ、防衛関連などを手がける重工大手です。
同社は、1990年代から自律型無人潜水機(AUV)の開発に取り組んできました。AUVは「水中ドローン」とも呼ばれ、人が行くことが難しい深い海の中を無人で航走するロボットです。
海底資源の調査や海洋インフラ点検では、広い範囲を効率よく調べる技術が重要になります。海洋ドローンの活用が広がれば、同社のAUV技術にも関心が向かいそうです。
防衛、航空、宇宙、エネルギー、プラントなどを幅広く展開する総合重工メーカーです。
同社は、海底調査・観測用の遠隔操作型無人潜水機(ROV)を手がけています。ROVは、ケーブルなどを通じて人が遠隔操作する無人潜水機です。自律型無人潜水機(AUV)とは仕組みが異なりますが、深海調査や海底観測に使われる点では、海のドローン関連技術の一つといえます。
海底資源の開発では、調査、観測、作業支援などの場面で無人潜水装置の活用が考えられます。深海での作業を支える技術として、同社の関連分野にも注目が集まりそうです。
通信、ITサービス、社会インフラ、宇宙・防衛関連などを手がける電機大手です。
海中では、陸上のように電波やGPSを簡単に使うことができません。そのため、自律型無人潜水機(AUV)を遠隔から制御したり、取得したデータをやり取りしたりするには、水中音響通信などの技術が重要になります。
同社は、水中音響通信モジュールを使い、海中での双方向・長距離通信の実証を行っています。水中無人探査機を遠隔制御し、取得データを受信する技術は、AUVの社会実装に欠かせない基盤技術の一つです。
FA機器、電力、交通、宇宙、防衛、半導体などを手がける総合電機メーカーです。
同社は、衛星画像やAIを使った海洋分野の解析にも取り組んでいます。レーダー衛星画像から船舶を検出したり、自動船舶識別装置(AIS)の情報と組み合わせて船舶の動きを把握したりする技術です。
海洋安全保障では、海中の無人機だけでなく、衛星や船舶のデータを組み合わせて海の状況を把握することも重要になります。海洋状況把握(MDA)に関わる技術として、同社の取り組みも関連しそうです。
大阪市に本社を置く造船会社です。ばら積み運搬船やLNG燃料船など、さまざまな船舶の建造実績があります。
今回の提言案では、海洋ドローンの開発だけでなく、専用船の建造も盛り込まれたと報じられています。海底資源の調査や採取では、自律型無人潜水機(AUV)や遠隔操作型無人潜水機(ROV)を運用する母船、採取装置を扱う船、環境モニタリング用の設備を備えた船などが必要になる可能性があります。
名村造船所が今回の専用船を受注するという話ではありませんが、専用船建造の議論が具体化すれば、造船関連の一角として関心が向かう可能性もありそうです。
舶用エンジン、港湾クレーン、産業機械などを手がける企業です。
同社は、船舶のエンジンや周辺機器を含めた舶用推進システムを展開しています。専用船を建造する場合、船体だけでなく、エンジン、発電、ポンプ、燃料供給装置、制御システムなども重要になります。
海底資源の採取では、大型設備を海上で長期間運用することが想定されます。同社は、専用船や海洋作業を支える舶用機器関連として見ておきたい銘柄です。
自動車、航空、インフラ、エネルギー、金属資源、化学品などを展開する総合商社です。
同社は、レアアースのサプライチェーンで存在感があります。2026年3月には、豪州レアアース大手ライナスとの間で、レアアース鉱山の新規開発に向けた検討を始めると発表しました。日本向け中重希土類の取扱品目や供給量の拡大にも取り組むとしています。
今回のニュースで注目される南鳥島沖の海底レアアースとは別の案件ですが、レアアースの安定調達という大きなテーマには含まれそうです。
銅やレアメタル、半導体材料などを手がける非鉄金属メーカーです。
同社は2025年6月、豪州のミネラルサンド鉱床開発プロジェクトへの参画に向けた契約を発表しました。このプロジェクトでは、レアメタルやレアアースを含む多様な鉱物を長期にわたり確保できる可能性があるとしています。
海底レアアースの開発では、採取した資源をどう分離・精製し、産業用途に使える素材へつなげるかが重要です。JX金属は、採取後の素材化や重要鉱物の安定確保という観点から関連がありそうです。
食料、エネルギー、金属、電力、インフラなど幅広い事業を展開する総合商社です。
同社は2025年11月、豪州でレアメタル・レアアースを含む重要鉱物の原料生産プロジェクト開発調査に参加すると発表しました。事業化後には、プロジェクト製品の販売権や一部権益を取得する権利を得る内容です。
丸紅も南鳥島沖の海底レアアース採取に直接関わっているわけではありません。ただ、重要鉱物の安定調達、資源開発、海外プロジェクト投資という点では、関連銘柄の一つと言えそうです。
海のドローンは、自律型無人潜水機(AUV)や遠隔操作型無人潜水機(ROV)といった機体だけで成り立つものではありません。通信、センサー、衛星監視、母船、舶用機器、そして採取後の資源処理やサプライチェーンまで、多くの企業が関わる可能性があります。
今回の提言案はまだ政策段階です。実際に予算がつくか、どの企業が受注するか、事業化まで進むかはこれから確認する必要があります。
一方で、日本は海に囲まれた国であり、海洋安全保障や海底資源の活用は長期的なテーマになりそうです。短期的な株価の値動きだけでなく、国の予算、実証試験、企業の受注発表などを確認しながらテーマの盛り上がりを見ていくことが大切です。
記事作成日:2026年5月14日