親子上場解消関連の日本株3選/JX金属、ソフトバンクG、キリンHD

💡この記事のポイント

✅東証が問題視していることなどを背景に「親子上場」の解消が進んでいる

✅親子上場の解消には、親会社が子会社をTOBする方法などがある

✅親子上場を解消する可能性がありそうな日本株3銘柄をご紹介

🔎登場する銘柄

JX金属、ソフトバンクグループ、キリンホールディングス

 

目次

親子上場の解消が進む日本の株式市場

JX金属<5016>

ソフトバンクグループ<9984>

キリンホールディングス<2503>

親子上場解消関連の日本株3選/JX金属、ソフトバンクG、キリンHD

親子上場の解消が進む日本の株式市場

日本の株式市場では、親会社と子会社がそれぞれ株式市場に上場する、「親子上場」の企業が存在しています。しかし、親会社が子会社の経営に影響を与えて子会社の株主の利益が損なわれる可能性があるなどの弊害があることから、海外では一般的ではありません。

 

東京証券取引所も少数株主の保護の観点などから親子上場を問題視していて、最近は親会社が子会社をTOB(株式公開買い付け)するなどして、子会社が上場廃止になる例が増えてきています。

 

買い付け価格は通常、発表時の終値に対して上乗せ幅となるプレミアムがあるため、子会社の株価は上昇する場合が多いです。今月に入り、日本電信電話<7974>が子会社のNTTデータグループ<9613>をTOBで完全子会社化するとの報道を受け、NTTデータグループの株価が急騰しストップ高となりました。

 

そこで今回は、親子上場をしている企業のなかから、親子上場を解消する可能性がありそうな日本株3銘柄をご紹介します。

 

 

JX金属<5016>

企業紹介

非鉄金属製品の製造、販売などを手掛ける。旧新日鉱ホールディングス。

 

注目ポイント

JX金属は半導体材料や情報通信材料などの製造や販売、資源開発、金属製錬などを手掛けている非鉄金属大手です。今年3月に上場するまでENEOSホールディングス<5020>がJX金属の株式を100%保有している完全子会社でした。上場による売り出しで保有比率を50%未満とし親子関係を解消。4月時点で約42%まで減少しています。

 

一方でJX金属は、東邦チタニウム<5727>の持ち株比率が50%を超える大株主で、親子上場となっています。

 

東邦チタニウムは、JX金属系のチタン製錬大手です。チタンは航空宇宙産業で幅広く利用されていて、地政学リスクの高まりで世界的な国防費拡大の流れを背景に、需要増大に期待が高まっています。

JX金属の社長はメディアとのインタビューで「親子上場は非常に問題ではあるので、近い将来、何かしらの方向性は示さないといけない。」と述べています。

 

株価動向

JX金属は今年3月19日に新規上場し、初値は公開価格820円を2.8%上回る843円でした。株価は3月24日高値1,040円から4月7日安値650円へ下落。株式市場の落ち着きとともに反転上昇に転じ、800円を挟んでの推移が続いています。

 

東邦チタニウムの株価は、3月28日年初来高値1,223円から4月7日年初来安値801円へ下落。直近は1,000円前後で推移しています。

 

ソフトバンクグループ<9984>

企業紹介

傘下にビジョンファンドを持つ投資持株会社で、携帯電話会社のソフトバンクを中核に、グローバルに投資を行う。

 

注目ポイント

ソフトバンクグループは、携帯・固定通信ネットワークを提供し、「ソフトバンク」や「ワイモバイル」などのサービスを展開しているソフトバンク<9434>の持ち株比率が40%を超える大株主です。

 

ソフトバンクは同社のウェブサイトで、親子上場について以下の記載があります。両社のビジネスモデルが異なるため、独立して上場することで、各々の成長戦略を明確化し、投資家に適切な投資機会を提供する狙いがあること。意思決定の迅速化と透明性の向上、公開企業として市場の評価を受けながら、自律的に経営を行うことで、より迅速な意思決定が可能になるとしています。今のところ、両社の上場を維持する考えのようです。

 

また、ソフトバンクはNAVERと折半出資した持株会社Aホールディングスを通じてLINEヤフー<4689>に出資しており、持ち株比率が60%を超える大株主です。またAホールディングス傘下のZホールディングスは、ZOZO<3092>の持ち株比率が50%を超える大株主です。

 

株価動向

ソフトバンクグループの株価は2024年8月安値6,368円から今年1月23日年初来高値10,890円へ上昇。その後は株式市場の急落で、4月7日年初来安値5,730円まで下落しましたが、株式市場の落ち着きとともに反転上昇に転じ8,000円台まで回復しました。

 

ソフトバンクの株価は2024年8月安値173.9円から上昇傾向です。今年4月7日安値192.5円から5月9日年初来高値230.9円まで上昇しました。

 

キリンホールディングス<2503>

企業紹介

ビール大手、医薬品を強化して多角化を推進。オーストラリアやアジアに展開。

 

注目ポイント

キリンホールディングスは、ビール等のアルコール飲料をはじめとした飲料事業をはじめ、サプリメント等のヘルスサイエンス事業や医薬事業のグローバル化等を図っています。

 

キリンホールディングスは、医薬品事業や新薬開発を行う協和キリン<4151>の持ち株比率が50%を超える大株主です。協和キリンはアジア太平洋地域の事業再編や薬価改定、研究開発費の増加等により、2025年1-3月期の連結最終利益は前年同期比で減収減益となりました。

 

キリンホールディングスはアクティビスト(物言う株主)から親子上場の解消を求められたり、かつては一時、協和キリンが時価総額で上回る「親子逆転」となるなど注目を集めています(現在の時価総額はキリンホールディングスが約1兆9,100億円、協和キリンが1兆1,300億円)。

 

株価動向

キリンホールディングスの株価は1月17日年初来安値1,902円から5月9日年初来高値2,190円まで上昇。その後は2,100前後で推移しています。

 

協和キリンの株価は2月20日年初来安値以降は、およそ2,100~2,250円程度でのもみ合いとなっています。

 

記事作成日:2025年5月14日

ファイナンシャルプランナー
横山利香

短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。

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