iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、資産運用しながら老後資金を自分で準備するための年金制度です。節税効果もあり、おトクに資産形成ができます。この記事では、具体的にどんなメリットがあり、加入したほうがいいのかなど、iDeCoについてご紹介します。
iDeCoの3つのメリット
まずは、iDeCoの3つのメリットを見てみましょう。
メリット1:所得税/住民税の節税効果
最大のメリットは、税金が安くなることです。
iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象になります。年末調整や確定申告を行い、課税対象になる所得から、iDeCoの掛金を差し引く(控除する)ことで、所得税や住民税が軽減される仕組みになっています。
どれくらい税金が安くなるかは、適用される税率や掛金額などによって変わります。例えば、税率30%(所得税率20%・住民税率10%)の人が年間14万4,000円(月1万2,000円)の掛金を出した場合、4万3,000円も税金が安くなる可能性があります。この節税効果は、税率の高い人や掛金の多い人ほど大きくなります。
メリット2:利息や運用益が非課税
利息や投資で得た利益には、通常20.315%の税金がかかります。もし100万円の運用益を得たとすれば、約20万円が税金です。
しかし、iDeCoを利用して得た利息や運用益は非課税になります。税金が全くかからないので、運用成果によっては数十万円や数百万円以上の差になることもあり、より効率的に老後資金を準備できる可能性があります。
※運用中の年金資産に課税される年1.173%の特別法人税は、2026年3月31日まで課税が凍結されており、課税停止の延長措置が繰り返されています
メリット3:受け取り時の税制優遇も
iDeCoで準備した年金資産を受け取るときも大きな控除の対象になります。一度にまとめて受け取るときは「退職所得控除」、年金で分割して受け取るときは「公的年金等控除」の対象となり、一定額まで非課税で受け取れる税制優遇があります。
iDeCoはどんな制度?
自分で運用して老後資金を準備するための年金制度
iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用し、老後資金を準備するための年金制度です。20歳以上の公的年金の被保険者ならほとんどの人が加入でき、65歳になるまで掛金をつみたてることができます。
iDeCoの年金資産を受け取れるのは60歳以降の任意のタイミングで、年金または一時金で受け取れます。それまでは原則として引き出すことはできません。受取額はつみたてたお金と運用損益の合計となり、運用成果によって変動します。
掛金の上限額は人によって違う
iDeCoの掛金の最低額は、月額5,000円です。上限額は職業などによって、上図のように人それぞれで違います。この上限額の範囲内で無理のない掛金を設定しましょう。
iDeCoと公的年金の違い
iDeCoは任意で加入する私的な年金制度です。それに対して、公的年金は国が運営する年金制度で、20歳以上になると原則としてすべての人が加入しなければなりません。
公的年金は現役世代が支払った保険料を高齢者などの年金給付に充てる仕組みですが、iDeCoでは自分専用の口座が作られ、商品も自分で選んで運用を行っていきます。その運用結果によって将来の受取金額が変動します。
iDeCoへの加入は自由ですが、公的年金に上乗せして老後資金づくりができるので活用を検討してみましょう。
iDeCoはやるべき?やったほうがいい人は?
iDeCoに加入すれば、公的年金にプラスして老後資金づくりができるため、少額からでも利用したほうがいいでしょう。ここでは、特にiDeCoの加入をおすすめしたい人をご紹介します。
1.老後資金が不安な人
iDeCoは老後資金準備が目的の制度なので、公的年金や貯金だけでは将来が不安という人は利用しましょう。60歳以上にならないと受け取りができないので、途中で引き出して使ってしまう心配もなく、強制的に老後資金を準備できます。所得控除で節税もでき、単にお金を貯めるだけよりもメリットがあります。
2.20~30代などの若い世代
iDeCoは、長期のつみたてが前提の制度なので、若い世代に向いています。投資を若いうちからスタートすれば、時間を味方につけて資産が大きく育つ可能性がありますし、つみたてなら購入タイミングを分散して価格変動リスクを抑えることも期待できます。
3.自営業者やフリーランス
自営業者やフリーランスは、厚生年金がなく、会社員などと比べると将来の年金額が十分とは言えませんが、iDeCoを利用すれば老後の備えを補強できるでしょう。また、自営業者やフリーランスは、iDeCoの掛金の上限が月額6万8,000円と会社員などよりも大きいので、所得の高い人は節税効果も大きくなります。
記事作成日:2024年4月11日