米利下げで恩恵!
米国では歴史的なインフレを沈静化させるため、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)によって金利の引き上げが行われてきました。その甲斐あって、足元ではようやくインフレが落ち着いてきた経済指標が相次いで発表されたことから、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げが行われる可能性が高まっています。
米国の金融政策が金利上昇から金利低下へ転換することで、金利低下が企業業績に恩恵を与える銘柄もあります。
そこで今回は、米金利低下メリットの米国株3銘柄をご紹介します。
ジロー・グループ<ZG>
企業紹介
ウェブ上で不動産の購入や売却、賃貸、借入のためのサービスを提供。
注目ポイント
不動産購入時に多くの人が金融機関から借入を行います。金利の上昇局面では借入の際の金利が上昇すると金利負担が大きくなるため、不動産の購入を躊躇する人が多くいます。
反対に、金利の低下局面では金利負担が軽くなるため、不動産の購入を検討する人が増えます。
2024年度の業績は、売上高は順調に増加しているようで、営業赤字も縮小傾向にあるようです。金利低下の恩恵を受けて、売上高のさらなる伸び、営業赤字が縮小するのかに注目です。
株価動向
株価は金利が上昇した影響から、2023年中は40ドルを挟んで横ばいで推移する動きが続きました。今年に入り米国のインフレが落ち着いてきたことから年内の利下げ期待が高まり、2月14日に高値59.23ドルにつけましたが、足元では全体相場急落を受け、8月1日の48ドル近辺から7日には40ドル台半ばまで下落。
しかし決算を受け8日には47ドル台を回復、その後も上昇して50ドル台半ばでの推移となっています。利下げを見込んだ上昇で高値を更新できるかに注目です。
ホームデポ<HD>
企業紹介
米国最大規模のホームセンター。建築資材、インテリア、家電、ガーデニング用品等を取り扱い、カナダやメキシコなどにも進出。
注目ポイント
金利の上昇によって高い水準のローン金利の状態が続いたことや、インフレが長引いたことによる住宅価格の上昇等から、住宅需要が減退したことが業績に影響を及ぼしました。
しかし、利下げが行われれば住宅需要が新たに発生するため、リフォームやインテリア等住宅に関連する需要が発生することが想定されるでしょう。
株価動向
株価は2023年11月頃から上昇し始め、今年3月21日には396.87ドルの高値まで上昇しました。その後は売上高が厳しい状況だったことで下落に転じ、350ドルを下回る動きになってしまいました。
ただ、5月29日に323.77ドルの安値をつけて以降は安値を切り上げる動きとなっていて、利下げ期待の高まりから8月26日には高値378.58ドルまで上昇しました。
金利低下と共に業績向上が期待できる業種でもあるので、利下げの状況次第では3月の高値越えの期待も高まります。
Direxion米国リートブル3倍<DRN>
企業紹介
不動産セレクト・セクター・インデックス指数の3倍(300%)の日々の投資成果を目指す。
注目ポイント
不動産管理や開発、不動産投資信託(REIT)に関する企業の株式・証券で構成されています。不動産セクターは、金利の上昇局面では借入コストの増加等から業績悪化への懸念が高まりやすく、株価が軟調に推移しやすくなります。
米国のインフレが落ち着いてきたことから金利低下への期待が高まり、不動産セクターにはメリットが大きくなるでしょう。不動産セレクト・セクター・インデックスを投資対象としているため、不動産セクターの個別銘柄を選ぶのが難しいという方や、短期売買を行いたい方に向いているREITです。
株価動向
価格は2022年初から金利上昇を嫌気し下落に転じ、2023年10月には5.54ドルまで下落しました。
しかし、今年春頃からは利下げへの期待から上昇傾向に転じ、8月26日には高値12.49ドルまで上昇、今年の高値を更新しました。
記事作成日:2024年8月28日
ファイナンシャルプランナー
横山利香
短大卒業後、金融専門出版社やビジネス書出版社で雑誌の記者、書籍の編集者を経て、ファイナンシャルプランナー、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)として独立。株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行う。株式や不動産への投資を中心に、為替などさまざまな金融商品への投資を行う。大学生の子どもがいる。