オルカンを毎月1万円つみたて投資していたら?
NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税になるとってもお得な制度。特に2024年からは、年間投資可能額や非課税保有期間が拡大されたことで、NISA経由で株や投資信託にチャレンジする投資初心者が急増しました。
ただ、今年の株式市場は、日米ともに稀に見る乱高下で、投資のタイミングによっては、これまでの成果に大きな差が生まれているようです。すでに年初のNISA改正から9カ月が経過しましたが、実際にNISAで投資を始めた場合、どれくらい儲かったのか?損したのか?を検証してみました。
なお、NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があります。つみたて投資枠では「長期のつみたて投資に適した投資信託」、成長投資枠では、「上場株式や投資信託」が対象となっています。上場株式は銘柄によってもパフォーマンスが大きく異なるため、ここではつみたて投資枠で人気の「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))」に投資したケースでシミュレーションしてみました。毎月月初に1万円をつみたてたケースとします。
●オルカンに毎月1万円をつみたて投資
2024年 | 基準価額 | 購入金額 | 評価額 |
---|---|---|---|
1月 | 20,756円 | 10,000円 | 10,000円 |
2月 | 21,699円 | 10,000円 | 20,454円 |
3月 | 23,208円 | 10,000円 | 31,877円 |
4月 | 24,090円 | 10,000円 | 43,088円 |
5月 | 24,294円 | 10,000円 | 53,453円 |
6月 | 25,213円 | 10,000円 | 65,475円 |
7月 | 26,424円 | 10,000円 | 78,620円 |
8月 | 24,883円 | 10,000円 | 84,035円 |
9月 | 24,955円 | 10,000円 | 94,278円 |
10月 | 25,171円 | 10,000円 | 105,094円 |
※毎月月初の基準価額で購入し、購入時点での保有ファンドの評価額
最近のメディアでは、相場が急落すると、いかにもNISAで投資を行っている人たちに大きな含み損が出ていると報道することがあります。
しかし、今回のシミュレーションの結果では、すべての月で評価額はプラスとなり、投資額合計10万円に対し、10月7日時点の基準価額25,829円での評価額は107,841円と評価益になっています。
毎月定額でつみたて投資を行う場合、価格が安い時にはたくさんの数量を買えることになり、その分平均買付単価が下がるメリットがあります。ですので、長期スタンスでつみたて投資をする場合には、相場の下落はチャンスと捉えることができます。長期のつみたて投資では、時間と金額を分散することでリスクを抑えた運用が期待できるわけです。
上の表ではオルカンの基準価額のピークは7月の26,424円で、その後は下回ったままですが、このつみたて投資ではトータルでプラスになっていますから、夏場に大きく下がって、まだ高値は回復できていなかったとしても、この「年初から毎月1万円をオルカンにつみたて投資」していた場合は、NISAで儲かっていた、ということになります。
為替の影響は?
なお、海外株に投資する投資信託(為替ヘッジなし)の場合は、為替相場の動きもパフォーマンスに影響します。
為替が円安に動けば、株価の上昇に加えて為替差益も発生しますが、逆に円高に動いた場合には為替差損が発生し、株価のパフォーマンスを蝕んでしまう可能性もあります。
ただ、長期スタンスでのつみたて投資であれば、ある程度は為替の変動も平均化されますので、極端な円高が続かない限りは為替の変動よりも株価動向を重視して良いと思います。
ですので、つみたて投資を行う場合は、「円高になりそうだから海外株ファンドはやめよう」と為替を第一に投資判断するよりも、長期的に上昇が期待できる投資対象なのかどうかを基準に選ぶ、という姿勢が好ましいと思われます。
20年間運用したら?
では、長期でつみたて投資をする場合、どれくらいの期間を目安にしたらいいのでしょうか?
投資家にとって怖いのは元本割れですが、一般的に期間が長くなれば、元本割れの確率は減っていくようです。
金融庁の試算(NISA早わかりガイドブック)によると、
「5年という比較的短い期間だと、投資を始めたタイミングによっては大きな収益が得られることもあれば、元本割れになることもあります。
ところが20年という長い期間では、どの時点から始めても収益は安定し、少なくとも1989年以降のデータでは元本割れとなったケースはありませんでした」
と紹介されています。
ですので、日々の株価の値動きに一喜一憂するのではなく、できるだけ長期間に渡って続けることがつみたて投資の大切なポイントと言えそうです。
記事作成日:2024年10月8日