新しいNISAスタートから約半年
新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートして約半年が経過しました。2024年は、年初から日経平均株価やNYダウといった日米の株式市場がロケットスタートし、3月から4月にかけては両指数ともに史上最高値を更新するなど力強い動きとなりました。この過程で、テレビや雑誌など各メディアではNISA特集を組むなど、個人投資家に積極的な投資を促してきました。
年初からNISAを始めた投資家は、すでに保有する銘柄や投資信託に含み益が出ているのではないでしょうか。一方で、4月以降にスタートした投資家の中には、「こんなはずではなかった」と戸惑っている人もいるかもしれません。でも、ここで諦めて投資をやめてしまうのはもったいない話。というのも、投資は基本的に長期スタンスで取り組むべきものだからです。
20年間毎月1万円つみたてで690万円に!
特に「つみたて投資」をしている場合には、同じつみたて金額でも株価が下がっている時ほどたくさんの数量が買えるというメリットがあります。株価や価額が下がってしまうと、投資するのがイヤになってしまうこともあるでしょう。でも、つみたて投資の王道は、どんな相場環境でも辛抱強く続けることです。相場というものは、生き物のようなもので、常に上下動を繰り返しながらトレンドを形成していきます。
また、長い期間に渡ってつみたて投資を続けることにより、資産は大きく育ちやすくなります。金融庁の資料によると、たとえば2003年から20年間、全世界株式と日経平均株価にそれぞれ毎月1万円をつみたてた場合、元本240万円に対して全世界株は690万円、日経平均は443万円にもなりました。途中で元本割れすることもありましたが、つみたてを長く続けることがいかに大切かがわかる例でしょう。
避けたいのは「塩漬け株」
一方で、個別銘柄やアクティブ型の投資信託に比較的短期のスタンスで投資している場合には、思惑から外れ下がっている銘柄をいつまでも持ち続けるのは考えものです。含み損を抱えたまま株を持ち続けることを「塩漬け株(しおづけかぶ)」と呼びますが、これは避けたいものです。
株式市場には、常に旬のテーマや材料があり、その時々で注目される銘柄は異なります。ですので、いつまでも上がらない株を持ち続けるより、時には勇気ある撤退(損失が拡大する前に売ることを損切りやロスカットと言います)をして、上がりそうな銘柄に乗り換えることが資金効率の上でも大切なポイントとなってきます。
個別銘柄やファンドを購入する際には、その人なりの「銘柄を買う理由」があるはずです。たとえば、将来的に有望な製品を手掛けているとか、業績が安定して推移しているなどです。そして、投資した後も、買った理由に変化がないのかを定期的にチェックする必要があります。
極端な話、株価が一時的に下がっていても、その理由が変わっていなければ持ち続けるべきかもしれません。でも、当初の理由にマイナスの変化があった場合には、その銘柄を手放すタイミングとも考えられます。今一度、その銘柄に投資すべきなのかを自分自身に問いかけてみましょう。
NISAは続けるべき?
最後に、NISAを続けるべきかどうかは、自分自身の考え方次第です。ただ、現状では、安全確実な預貯金では資産を増やせないばかりか、物価の上昇が著しく、資産が目減りしかねない経済状況にあります。
そのような環境下では、投資を続けることが資産を守るためにも必要なことだと言えます。その際、税制面で大きなメリットのあるNISAが魅力的な制度であることは紛れのない事実なのです。
資産形成/資産運用は短期的に判断するものではなく、長期的な視点で考えていきたいもの。NISA自体にやめるべき理由は考えづらいので、上記のようにつみたて投資は続け、塩漬け株は避ける、などの個別判断をオススメします。
記事作成日:2024年6月19日