💡この記事のポイント
✅トランプ新政権発足と米国金融政策がポイント
✅テスラやブロードコムなど巨大IT企業が牽引
✅1月の日経平均は過去2年間上昇
✅ホンダ、日産、三菱自動車の経営統合などで自動車株に注目
米国株
トランプ新政権発足、年間利下げ回数が焦点に
11月下旬から上昇に転じた米国株市場は、米国経済の堅調さが好感される中、巨大IT企業が買い進まれ、NYダウは12月4日に取引時間中に45,073ドル(終値で45,014ドル)と史上最高値を更新しました。
ナスダック総合指数も12月16日に20,204ポイント(終値で20,173ポイント)の史上最高値を記録しています。
しかし、その後は上昇の反動による利益確定売りの広がりや、米国の金融政策を受けて調整に転じました。12月18日にNYダウはFOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受けて、前日比1,123ドル安と今年最大の下落幅を記録しました。
2025年1月の米国株市場は引き続き、米国の金融政策に左右されることが想定されます。12月のFOMCでは3会合連続での政策金利引き下げが決定しましたが、政策金利の見通しは、2025年の利下げ回数が従来の4回の想定から2回に減る計算となり、利下げのペース鈍化の見通しが示されたことが嫌気されています。
1月のFOMCに向けて、10日の米国雇用統計、15日の消費者物価指数(CPI)など重要経済指標の発表を睨んだ不安定な相場展開が続く可能性があります。
一方、1月20日には、米国大統領就任式が開催され、トランプ新政権が発足します。トランプ氏が掲げる関税政策などは米国にとどまらず世界のインフレ・経済動向に影響を及ぼすことから、日米の金融政策の先行きにも不透明感が漂っています。
ただ、新大統領の就任から3カ月間程度は、各種メディアが批判的な報道を控える「ハネムーン期間」に入ることが一般的です。米国大統領就任式を境にNYダウは新政権発足の歓迎ムードから底堅さを増し、上値を追う展開も期待できそうです。
参考銘柄:テスラなど「BATMMAAN」が上昇
12月の米国株市場では、「マグニフィセント・セブン」にブロードコム<AVGO>を足した「BATMMAAN」と呼ばれる米国の巨大IT企業の株価が急上昇しました。特に、人気化したのはテスラ<TSLA>で、11月上旬まで200ドル台で推移していた株価が、12月18日には上場来高値となる488.54ドル台まで上昇しています。
参考銘柄 | 株価(ドル) |
---|---|
アマゾン・ドット・コム | 227.05 |
アップル | 259.02 |
アルファベット | 195.6 |
エヌビディア | 139.93 |
テスラ | 454.13 |
マイクロソフト | 438.11 |
メタ・プラットフォームズ | 603.35 |
ブロードコム | 245.36 |
※2024年12月26日時点
<1月:米国の主要スケジュール>
・1/1:新年で米国株市場休場
・1/2:購買担当者景気指数(製造業PMI)確報値
・1/3:ISM製造業景気指数
・1/6:購買担当者景況指数(非製造業PMI)確報値
・1/7:ISM非製造業景気指数
・1/9:FOMC議事録(12月開催分)
・1/10:米国雇用統計
・1/14:生産者物価指数(PPI)
・1/15:消費者物価指数(CPI)
・1/20:米国大統領就任式、米国株市場休場(キング牧師の日)、世界経済フォーラム(ダボス会議/24日まで)
・1/28:FOMC(連邦公開市場委員会/29日まで)
・1/30:政策金利発表、パウエルFRB議長会見
・1/31:個人消費支出(PCE)
日本株
日銀金融政策決定会合での利上げ可能性など焦点
12月の日経平均株価は、12日に一時10月以来、約2カ月ぶりとなる40,000万円台回復の場面があったものの、上値は重い展開が続きました。ただ、38,000円割れの局面では押し目買いも働き、27日高値40,398.23円まで上昇し、月間では2カ月ぶりの上昇に転じました。注目された12月の日銀金融政策決定会合では、3カ月連続で利上げ見送りが決定しました。
2025年1月の日本株市場は、日銀金融政策決定会合(23~24日)で2024年7月以来となる利上げに踏み切るかが焦点となります。利上げを見送った場合、日米金利差から為替の円安が加速し、輸入物価の上昇など円安リスクが強まる可能性があります。
この日銀金融政策決定会合を前に、14日には氷見野日銀副総裁が横浜で開催される金融経済懇談会に出席し、午後に記者会見を行う予定です。また、スイスで20日から開催される世界経済フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)での国内外関係者の発言も関心を集めることが予想されます。
一方、例年1月は海外のファンド勢などの運用開始月でもあることから、日経平均は上昇する傾向があり、過去2年間は上昇しています。日米金融政策と為替動向、トランプ新政権の発足と政策、24日召集が見込まれる通常国会での予算審議の動向などを睨み、日経平均は下値の底堅さを確認しつつ、上値も試す相場展開が想定されます。
1月上旬は企業から発信されるリリースも少なく、物色面では手掛かり難となる傾向があります。まずは、1月第2週(6日~10日)の週央から始まる決算発表が最初の手掛かりとなりそうです。
このほか、トピックスとして、4月13日から開幕する「大阪・関西万博」の鉄道駅の玄関として、大阪メトロ中央線「夢洲駅」が1月19日に開業する予定です。物色テーマとして万博関連が浮上する期待もあります。
参考銘柄:ホンダ、日産、三菱自動車の経営統合で注目の自動車株
12月の日本株市場では、本田技研工業<7267>、日産自動車<7201>、三菱自動車工業<7211>の経営統合に向けた報道などから、自動車株が注目を集めました。トヨタ自動車はROE(自己資本利益率)の目標を2倍の20%とするとの報道で3連騰し3日間で12.5%上昇しました。自動車業界再編や自動運転車やロボタクシーなど、新年相場でも注目を集めそうです。
参考銘柄 | 株価(円) |
---|---|
日産自動車 | 509.2 |
本田技研工業 | 1,531 |
三菱自動車工業 | 550.1 |
トヨタ自動車 | 3,188 |
いすゞ自動車 | 2,158 |
マツダ | 1,090 |
SUBARU | 2,823 |
スズキ | 1,794 |
※2024年12月27日時点
<1月:日本の主要スケジュール>
・1/6:東証大発会
・1/8:消費者態度指数
・1/10:景気動向指数(速報値)
・1/13:日本株市場休場(成人の日)
・1/14:景気ウォッチャー調査
・1/16:国内企業物価指数
・1/23:日銀金融政策決定会合(24日まで)
・1/24:政策金利発表、植田日銀総裁会見、日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)、全国消費者物価指数(CPI)
・1/29:日銀金融政策決定会合議事要旨(12月開催分)、消費者態度指数
・1/31:東京消費者物価指数
記事作成日:2024年12月27日