株価と企業価値の関係~PBR1倍割れは買いか?三菱UFJは0.59倍→1.6倍へ:実践スキルアップ講座②

💡この記事のポイント

✅株価の割安割高を判断する指標「PBR」の基本を解説!

✅PBRは業種によって水準が異なるので、ライバル企業や同業種と比較しよう

✅人気の日米株のPBRをご紹介

🔎登場する主な銘柄

✅米国株:アップルマイクロソフト

✅日本株:ファーストリテイリング古河電気工業

 

目次

会社の資産価値と株価の比較がPBR

PBR1倍割れだった三菱UFJフィナンシャル・グループ

株価と企業価値の関係~PBR1倍割れは買いか?三菱UFJは0.59倍→1.6倍へ:実践スキルアップ講座②

会社の資産価値と株価の比較がPBR


前回の記事では、株価の割安・割高を判断するためのモノサシとして「PER(株価収益率)」をご紹介しました。PERは、企業が1年間で稼ぎ出した純利益に対して現在の株価水準を判断する株価指標でしたが、今回ご紹介するPBR(株価純資産倍率)は、企業の解散価値(純資産)と株価を比較して割安か割高かを判断するための指標です。

 

PBRの計算式は「株価÷1株当たり純資産」で求められます。1株当たり純資産とは、企業の資産から負債を差し引いた純資産を発行済み株式数で割った財務指標のこと。純資産は、会社が活動をやめて解散した場合に、理論上、株主に分配される資産のことで、解散価値とも呼ばれます。

 

このように説明すると、なんだか難しく感じてしまいますが、簡単にいうと会社が持っている資産価値に対して株価がどのように評価されているのか、を判断するものです。またPBRは、わざわざ計算しなくてもネットの株式情報サイトなどで確認することができます。

 

極端な話をすれば、1万円の現金が入っている封筒がいくらで売られているかというようなもの。1万円が入っているのに5,000円で売られていれば、当然、お買い得ですよね(この場合、PBRは0.5倍)。逆に、それが2万円で売られていたら、割高(PBRは2倍)です。

 

PBRは小さいほど株価が割安、大きいほど割高であることを示します。株価が会社の資産価値と同等の評価の場合、PBRは1倍となります。PBRが0.5倍なら、株価は会社の価値の半分しか評価されていないことになります。一方、PBRが2倍であれば、株価は会社の価値の2倍の水準であると判断できるわけです。

 

ちなみに、日米の主要株価指数も構成銘柄のPBRをもとに平均値が算出されています。

 

代表的な株価指数のPBR

日経平均:1.91倍(2026年6月4日終値時点)

S&P500:5.28倍(2026年6月3日終値時点)

※出所:QUICK

 

ただし、個別株のPBRは業種によっても一般的な水準が異なるため、比較するときはライバル企業や同業種と比較しましょう。なお、PBRはPERと同様に、IT企業など成長期待が高い業種ほど高く、公益事業や金融などの成熟企業や安定産業ほど低くなる傾向があります。

 

また、PBRが低くても、先行きの業績見通しが悪い場合などは、この先もPBRが低いまま推移したり、さらに低下する、といった場合もあります。「PBRが割安だから絶対に買い時」というわけではありません。あくまで一つの客観的な指標として目安として見るのが良いと思います。

 

ただ、PBRが割安ということはその会社の資産価値と比べて株価が割安ということですので、買収の対象として狙われる可能性もあります。その場合は買い占めにより株価が上昇するケースもあります。また、アクティビスト(物言う株主)の大量保有で、株主還元を要求され、株価が上昇するケースなどもあります。

 

 

PBR1倍割れだった三菱UFJフィナンシャル・グループ

東京証券取引所では、2023年3月31日にプライム市場とスタンダード市場の企業に対して要請した「資本コストや株価を意識した経営」のなかで、PBRの改善についても言及しました。PBRの数値を上げるためには、株価自体が上昇すること以外にもいくつかの施策があり、その一例として配当の増額や自社株買いなどの株主還元策が挙げられます。

 

東証の要請を受けて、株式市場では「PBR1倍割れ企業」が注目されることになりました。投資家としては、東証の要請を受けた「PBR1倍割れ企業」が、株主還元策の強化株価上昇のための施策を積極的に打ち出してくると考えたからです。実際、PBR1倍割れ企業だけではなく、多くの企業が自社株買いや増配などの株主還元策を積極的に行うようになってきました。

 

たとえば、国内最大の民間金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>のPBRは、東証が改善要請を行なった2023年3月末は0.59倍(2023年3月31日終値847.9円)でした。その後、同社は好業績に加え、増配や積極的な自社株買いを実施した結果、直近のPBRは1.6倍(2026年6月4日終値3,169円)まで上昇しました。

 

ちなみに、人気の日米株の直近のPBRは以下の通りです。

 

米国株

銘柄名

PBR(倍)

アップル

42.73

マイクロソフト

7.66

アルファベット

9.08

アマゾン・ドット・コム

6.08

メタ・プラットフォームズ

6.48

テスラ

18.91

エヌビディア

26.6

ボーイング

27.74

ウォルト・ディズニー

1.59

ゼネラル・モーターズ

1.17

出所:QUICK(2026年6月4日終値時点)

 

日本株

銘柄名

PBR(倍)

ファーストリテイリング

9.19

古河電気工業

8.61

トヨタ自動車

0.84

アドバンテスト

25.65

キオクシアホールディングス

30.04

ソフトバンクグループ

2.38

三菱UFJフィナンシャル・グループ

1.6

JX金属

5.13

NTT

1.22

出所:QUICK(2026年6月4日終値時点)

 

 

記事作成日:2026年6月5日