💡この記事のポイント
✅トランプ・トレードで株式市場は活況
✅金融関連株は今後も好業績が期待できそう
✅ゴールドマン・サックスやブラックロックなど6銘柄を紹介
好業績に期待の金融関連株
2024年は、NYダウやナスダック総合指数、S&P500といった米国の主要株価指数の史上最高値更新が続きました。特に米大統領選挙でトランプ氏が優勢になって以降、次期政権での政策を見越して株式市場や暗号資産市場が活況となり、いわゆる「トランプ・トレード」「トランプ・ラリー」と言われる取引が活発に行われています。
このように金融マーケットが活況な時にメリットを得るのは、取引所や資産運用、投資銀行業務などを手がける銀行や投資会社です。今回は、活況な米国市場を背景に今後も業績を伸ばしそうな金融関連株をピックアップしました。
ブラックロック<BLK>
ブラックロックは2023年末時点で10兆ドルの運用資産残高を持ち、「iShares」シリーズのETF(上場投資信託)などを手掛ける世界有数の金融機関です。
マーケットの活況はダイレクトに業績に繋がりそうです。ちなみに、直近で日本取引所グループ<8697>の株式を、共同保有者と共に7.26%保有しています。
10月11日に発表された2024年7-9月期(第3四半期決算)は、収益が前年同期比15%増の52億ドル、営業利益は同26%増の21億ドル、純利益は同4%増の17億ドル、一株当たり利益は11.46ドルで前年同期の10.91ドルから0.55ドル増加しました。なお、四半期ベースでの収益、営業利益は過去最高を記録しています。四半期ベースでの純流入額は過去最高の2,210億ドルとなり、運用資産残高は前年比2兆4,000億ドル増加して11兆5,000億ドルにも達しています。
アナリスト20人の投資評価の平均は「Overweight」で、目標株価の平均は1,153.56ドルです。
株価は4月19日年初来安値745.55ドルから12月11日上場来高値1,082.45ドルへ上昇。足元は1,000ドル程度で推移しています。
CMEグループ<CME>
主に先物取引やオプション取引などを手掛ける金融先物取引所・商品先物取引所グループです。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)では株価指数、為替、暗号資産など、CBOT(シカゴ商品取引所)では金利、不動産、農産物/畜産物など、NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)では原油、電力、天然ガスなど、COMEX(ニューヨーク商品取引所)では金、銀、銅などを取り扱っています。
取引所なので取引量が増えれば業績アップに繋がる銘柄です。
10月12日に発表された2024年7-9月期(第3四半期)決算は、収益が前年同期比18.4%増の16億ドル、営業利益は同24.9%増の10億ドル、純利益は同21.7%増の9億ドル、一株当たり利益は2.68ドルで前年同期の2.25ドルから0.43ドル増加しました。各項目とも四半期ベースでは過去最高を記録しています。1日平均取引高が前年同期比27%増加の2,830万件と過去最高となったことが、業績を伸ばす要因となっています。
アナリスト19人の投資評価の平均は「Overweight」で、目標株価の平均は244.88ドルです。
株価は6月18日年初来安値190.7ドルから12月5日年初来高値249.02ドルへ上昇。その後は230ドル台でのもみ合いが続いています。
USバンコープ<USB>
ミネソタ州ミネアポリスを拠点とする持ち株会社で、米国最大規模の地方銀行「U.S.バンク」を米国中西部と西海岸を中心に展開しています。一般的な銀行業務から資産運用や管理まで総合的な金融サービスを、個人、中小~大企業、政府機関などに提供しています。
派手さはありませんが米国民に密着した銀行で安定感がありそうです。
10月16日に発表された2024年7-9月期(第3四半期決算)は、収益が前年同期比2.4%減の68億ドル、純利益は同13.4%増の16億ドル、一株当たり利益は1.03ドルで前年同期の0.91ドルから0.12ドル増加しました。預金・貸出金が減少したことに加え、ATM事業から撤退したことでサービス手数料は減少しましたが、信託や住宅ローンが好調でした。
アナリスト24人の投資評価の平均は「Overweight」で、目標株価の平均は57.28ドルです。
株価は2020年以降はおよそ30~60ドル程度で推移しています。今年は6月11日年初来安値37.81ドルから11月27日年初来高値53.98ドルへ上昇。その後12月19日安値47.18ドルまで下落しました。
インターコンチネンタル・エクスチェンジ<ICE>
世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所や、デリバティブ取引所のICE Futures U.S.など12の取引所を傘下に持ち、それらの運営やデータサービスなどを提供しています。
取引所なので取引量が増えれば業績アップに繋がる銘柄で、ニューヨーク証券取引所を傘下に持つだけにNYダウに近い値動きをしがちです。
10月31日に発表した2024年7-9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比24.9%増の30億ドル、営業利益が同30.5%増の11億ドル、純利益が同21%増の6.5億ドル、一株当たり利益は1.14ドルで前年同期の0.96ドルから0.18ドル増加しました。エネルギー市場の成長が業績を押し上げる要因となり、クリーンエネルギー関連の収益が大幅に増加、全体の収益も過去最高となりました。
アナリスト20人の投資評価の平均は「Overweight」で、目標株価の平均は185.19ドルです。
株価は5月2日年初来安値124.34ドルから10月30日上場来高値167.99ドルへ上昇。翌日の決算発表以降は水準を切り下げ、12月20日安値148ドルまで下落しています。
ゴールドマン・サックス・グループ<GS>
企業や政府機関や富裕層向けに、投資銀行、証券、資産運用など様々な金融サービスを手がける世界有数の総合金融グループです。
マーケットの活況はダイレクトに業績に繋がりそうです。
10月15日に発表した2024年7-9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比7.5%増の126.9億ドル、純利益は同47.7%増の27.8億ドル、一株当たり利益は8.4ドルで前年同期の5.47ドルから2.93ドル増加しました。投資銀行部門が好調で業績を押し上げています。また、運用資産額は3.1兆ドルと過去最高を記録しました。
アナリスト25人の投資評価の平均は「Overweight」で、目標株価の平均は610.25ドルです。
株価は2023年10月安値289.36ドルから今年11月29日上場来高値612.73ドルへ上昇。その後12月18日安値544.49ドルまで下落しましたが、12月24日高値582.79ドルまで反発しています。
モルガン・スタンレー<MS>
投資銀行、証券、不動産、資産運用などの金融サービスを展開する世界有数の金融グループです。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が同社の筆頭株主です。
マーケットの活況はダイレクトに業績に繋がりそうです。
10月16日に発表した2024年7-9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比15.9%増の153.8億ドル、純利益は同33.9%増の32億ドル、一株当たり利益は1.88ドルで前年同期の1.38ドルから0.5ドル増加しました。投資銀行部門が好調で、投資銀行部門の収益は前年同期比56%増と業績を牽引しました。運用資産額は1.6兆ドルに増加しています。
アナリスト25人の投資評価の平均は「Hold」で、目標株価の平均は128.08ドルです。
株価は2月13日年初来安値83.09ドルから11月25日上場来高値136.24ドルへ上昇。その後はやや調整し、12月18日安値120.29ドルまで下落しました。
記事作成日:2024年12月26日