量子コンピューター関連の日米株10選+27銘柄

💡この記事のポイント

✅AIに続くトレンドとして注目されている量子コンピューター

✅実現すればテクノロジー分野以外にもさまざまな恩恵が期待できる

✅量子コンピューター関連の日米株10選+27銘柄をご紹介

🔎登場する主な銘柄

✅日本株:NTT富士通NEC日立

✅米国株:アルファベットIBMエヌビディアAMD

 

目次

AIに続くトレンドの可能性!量子コンピューターとは

ハードウェアや技術を開発する日本企業

インフラ・周辺技術を提供する米国企業

恩恵が期待できる分野

量子コンピューター関連の日米株10選+27銘柄

AIに続くトレンドの可能性!量子コンピューターとは

最近、ニュースなどで「量子コンピューター」という言葉を耳にする機会が増えてきたかもしれません。これは、従来のコンピューターとはまったく異なる原理で動く、次世代の計算機です。

 

現在のコンピューターが「0か1か」のどちらかで情報を処理するのに対し、量子コンピューターは「0であり、かつ1でもある」という、量子の世界ならではの不思議な状態を同時に計算に使うことができます。これにより、従来のコンピューターでは何億年もかかるような複雑な計算を、わずかな時間で解ける可能性があると期待されています。

 

この技術が実用化されれば、AI(人工知能)の進化を加速させたり、画期的な新薬や新しい素材を開発したり、金融市場の予測精度を飛躍的に向上させたりと、私たちの社会に大きな変革をもたらすかもしれません。市場調査会社によると、量子コンピューティングの市場規模は2037年までに582.2億ドルに達すると予測されており、その成長性に大きな注目が集まっているようです。

 

なお、「量子コンピューター」は、量子力学の原理を応用して計算を行う「コンピューター/ハードウェア」そのものを指し、「量子コンピューティング」は、量子コンピューターを用いて計算を実行する「技術や分野」を指します。従って「量子コンピューティングの市場規模」は、ハードウェアや技術を含めたこの分野の市場規模のことになります。

 

そこで今回は、注目を集める日米の量子コンピューター関連銘柄をご紹介します。

 

 

ハードウェアや技術を開発する日本企業

NTT<9432>

NTTは、他社とは異なる「光」を利用した量子コンピューターの開発を進めているのが大きな特徴です。この「光量子コンピューター」は、室温で動作させることができ、通信技術との相性も良いとされています。2024年11月には理化学研究所などと共同で、世界に先駆けて汎用型の光量子計算プラットフォームを開発したと発表しました。次世代の通信基盤「IOWN(アイオン)」構想の中核技術としても位置づけられており、NTTグループ全体の強みを生かした展開が期待されます。

 

富士通<6702>

富士通は、理化学研究所と共同で国産の超伝導量子コンピューターを開発しており、日本の量子技術開発を牽引する中心的な企業です。2025年5月には、外部から利用できるものとしては世界最大級となる256量子ビットの超伝導量子コンピューターを開発したと発表しました。企業や研究機関向けに、自社の量子技術を活用できるプラットフォームの提供も始めており、今後の事業拡大が期待されます。

 

日本電気<6701>

NECは、「アニーリングマシン」と呼ばれる、特定の計算(組み合わせ最適化問題)に特化した量子コンピューターの一種で高い技術力を持っています。この技術は、工場の生産ラインの効率化や、物流における最適な配送ルートの探索など、実社会の課題解決への応用が進められています。すでに自社グループの工場で活用し、生産計画の立案時間を大幅に短縮するなどの成果を上げており、実用化で一歩リードしているようです。

 

日立製作所<6501>

日立は、現在の主流である超伝導方式とは異なる、「シリコン量子コンピューター」と呼ばれるタイプの開発に力を入れています。この方式は、既存の半導体技術を応用できるため、将来的に大規模な集積化がしやすいという利点があるとされています。2024年6月には、量子ビットの寿命を100倍以上に延ばす技術を開発したと発表しており、独自のアプローチで実用化を目指す動きが注目されます。

 

インフラ・周辺技術を提供する米国企業

アルファベット<GOOGL>

アルファベットは、量子コンピューターのハードウェア開発で世界をリードする一社として知られています。2019年には、当時の最先端スーパーコンピューターが1万年かかる計算を約200秒で完了したと発表し、「量子超越性」を実証したことで世界を驚かせました。AI開発でも最先端を走る同社にとって、量子コンピューターは将来の成長を支える重要な技術となりそうです。

 

インターナショナル・ビジネス・マシーンズ<IBM>

IBMは、量子コンピューティングの分野で確固たる地位を築いており、2000年には世界で初めて稼働する量子コンピューターを実証するなど、その歴史は長いです。最近では、金融大手HSBCと共同で、量子コンピューターを債券取引に活用する研究結果を発表し、大きな注目を集めました。この研究では、取引が成立するかどうかの予測精度が従来の方法に比べて大幅に向上したとのことで、量子コンピューターの実用化が金融という実社会の分野で一歩前進したとの見方から、株価も大きく上昇しました。

 

マイクロソフト<MSFT>

マイクロソフトは、クラウド上で利用できる量子コンピューティングサービス「Azure Quantum」を提供しています。世界中の開発者や企業が、マイクロソフトのプラットフォームを通じて量子コンピューターの性能を試せるようにすることで、量子技術のエコシステム構築をリードしている存在と言えそうです。ハードウェアとソフトウェアの両面から開発を進めており、この分野での影響力は非常に大きいようです。

 

ハネウェル・インターナショナル<HON>

ハネウェルは、非常に高性能な量子コンピューターを開発しています。2021年には量子コンピューター部門を、ソフトウェア開発のスタートアップ企業と統合させ、「クオンティニュアム」という新会社を設立しました。このクオンティニュアムは、世界最高クラスの性能を持つ量子コンピューターを開発・提供しており、ハネウェルは主要株主としてその成長から恩恵を受けることが期待されます。

 

エヌビディア<NVDA>

エヌビディアは、量子コンピューターそのものを製造しているわけではありませんが、その開発に不可欠な「量子コンピューターのシミュレーション」の分野で重要な役割を担っています。同社が提供するソフトウェア開発キット「cuQuantum」は、GPU(画像処理半導体)の並列処理能力を使い、古典コンピューター上で量子コンピューターの動きを極めて高速に模擬できます。これにより、研究者は実際の量子コンピューターがなくても、新しいアルゴリズムの開発や検証を効率的に進めることができるようです。

 

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>

AMDもまた、自社の高性能なGPU「Instinct」シリーズなどを通じて、量子コンピューティングの研究を支えています。同社のハードウェアは、世界トップクラスのスーパーコンピューターに数多く採用されており、それらの計算能力は量子化学シミュレーションなど、量子コンピューターが得意とする領域の研究に活用されています。2025年8月にはIBMと提携し、量子コンピューターとスーパーコンピューターを融合させる次世代アーキテクチャの開発に取り組むことを発表しており、今後の展開が注目されます。

 

恩恵が期待できる分野

創薬分野

新薬開発には膨大な分子の組み合わせを計算する必要があるため、量子コンピューターの超高速計算能力によって開発期間の短縮などが期待されます。

 

主な関連銘柄:

武田薬品工業

エーザイ

メルク

モデルナ

 

金融分野

膨大なデータの解析によるリスク管理やアルゴリズム取引(自動売買システムが設定されたルールに基づいて自動的に株式やその他の金融商品の売買を行うこと)の高度化や、不正検知を早く正確に見つけ出すなどの活用が期待できます。

 

主な関連銘柄:

三菱UFJフィナンシャル・グループ

東京海上ホールディングス

JPモルガン・チェース

ゴールドマン・サックス・グループ

 

物流分野

量子コンピューターは、膨大な組み合わせの中から最適な解を導き出す「最適化問題」が得意なため、配送ルートの最適化やサプライチェーン(原材料の調達から製造、流通、販売までの一連の流れ)の効率化といった場面での活用が期待できます。

 

主な関連銘柄:

日本郵船

ヤマトホールディングス 

ユナイテッド・パーセル・サービス

フェデックス

 

化学・素材分野

化学や素材開発では、分子の構造や反応をシミュレーションする複雑な計算が必要なため、量子コンピューターの活用で新素材の開発や、高性能なバッテリー、触媒の開発の効率化が期待されます。

 

主な関連銘柄:

旭化成

東レ

三菱ケミカルグループ

ダウ

 

航空宇宙分野

航空機の機体設計や、衛星の軌道計算、ロケットの最適な打ち上げタイミングなど、膨大な計算が必要なため、量子コンピューターの活用により安全で効率的な開発・運用が期待されます。

 

主な銘柄:

三菱重工業

IHI

ロッキード・マーチン

パランティア・テクノロジーズ

 

セキュリティ・IT分野

演算能力の高い量子コンピューターの活用により、次世代の強固な暗号技術の開発や、AI開発への寄与が期待されます。

 

主な銘柄:

シスコシステムズ

アクセンチュア

クラウドフレア

クラウドストライク・ホールディングス

パロアルトネットワークス

ゼットスケーラー

トレンドマイクロ
 

 

記事作成日:2025年9月26日

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