ファイザー合意とディフェンシブ性で注目の日米医薬品株12選

💡この記事のポイント

✅ファイザーと米政権の薬価交渉が妥結し、先行き不透明感が和らいだことで医薬品株が上昇

✅医薬品株は、景気に左右されにくいディフェンシブ性と、新薬開発による成長性の両面ある魅力も

✅政策動向や開発テーマを背景に、日米の医薬品株をご紹介

🔎登場する主な銘柄

✅米国株:ファイザーイーライリリーメルク
✅日本株:第一三共エーザイ武田薬品工業

 

目次

なぜ今、医薬品株が注目されるのか

ファイザーと米政権の合意が意味するもの

米国株の注目銘柄

日本株の注目銘柄

初心者の方への留意点

用語のやさしい補足

ファイザー合意とディフェンシブ性で注目の日米医薬品株12選

なぜ今、医薬品株が注目されるのか

米製薬大手ファイザー<PFE>とトランプ政権の薬価交渉が妥結したことをきっかけに、先行きの不透明感が和らぎ、医薬品株に注目が集まっています。医薬品株は、景気の動向に業績が左右されにくい「ディフェンシブ株」としての側面に加え、新薬開発という成長性も兼ね備えているのが魅力です。

 

世界的な高齢化を背景に医薬品の需要は長期的に伸びていくと見られるほか、肥満症治療薬やアルツハイマー病治療薬、がん領域のADC(抗体薬物複合体)など、新しい巨大市場を生み出す可能性のあるテーマも豊富です。

 

 

ファイザーと米政権の合意が意味するもの

今回注目されたファイザーと米政権の合意は、今後の政策の方向性を占う上で重要な意味を持つようです。

 

報道によると、ファイザーは低所得者向けの公的医療保険「メディケイド」で、他の先進国での最も安い価格(MFN価格)を適用することなどを受け入れました。その見返りとして、輸入医薬品への関税を3年間免除されると伝えられています。

 

薬価引き下げの対象が、ファイザーの米国売上高に占める割合が比較的小さいとされる「メディケイド」中心になりそうだと明らかになったことで、市場には安心感が広がりました。この「ファイザー効果」で、他の製薬株も連れ高となる動きが見られました。

 

 

米国株の注目銘柄

ファイザー<PFE>

今回の米政権との合意で、薬価を巡る不透明感が後退しました。株価は見直しの動きが期待されますが、新型コロナウイルス関連以外の収益の柱をどう強化していくかが今後の課題となりそうです。

 

イーライリリー<LLY>

肥満症治療薬「ゼップバウンド」や糖尿病治療薬「マンジャロ」が驚異的な成長を牽引しています。ファイザーに次ぐ交渉先と目されており、政策動向が注目されます。

 

メルク<MRK>

がん免疫治療薬「キイトルーダ」が収益の大きな柱です。盤石な収益基盤を背景に、特許切れを見据えたM&Aや新薬開発を着々と進めています。

 

ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>

医薬品と医療機器の二本柱で事業が安定しています。長期にわたり増配を続ける「配当王」としても知られ、ディフェンシブ株の代表格です。

 

バーテックス・ファーマシューティカルズ<VRTX>

嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)という希少疾患の治療薬で高いシェアを誇ります。安定した収益基盤を元に、次の成長分野への研究開発を進めています。

 

ゾエティス<ZTS>

ペットや家畜向けの医薬品・ワクチンを手がける動物用医薬品の世界最大手です。ペット市場の拡大などを背景に、人用の医薬品とは異なるサイクルで安定した成長が期待されます。

 

日本株の注目銘柄

第一三共<4568>

ADC(抗体薬物複合体)という、がん細胞を狙い撃ちする技術で世界をリードしています。大型製品「エンハーツ」に加え、豊富な開発パイプラインが強みです。

 

エーザイ<4523>

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が主力です。自宅で投与できる皮下注射タイプの製剤が米国で承認され、今後の普及加速が期待されています。

 

武田薬品工業<4502>

消化器系や希少疾患など幅広い領域で強みを持つ国内最大手。安定した収益基盤と後期開発パイプライン(開発の終盤フェーズにある新薬候補)の進捗が注目されます。

 

アステラス製薬<4503>

更年期障害に伴う症状を改善する「べオーザ」が新たな収益の柱として成長しています。女性の健康領域という新しい市場を切り拓いています。

 

中外製薬<4519>

スイスの製薬大手ロシュとの連携が強み。独自の抗体技術を活かした新薬開発力に定評があります。

 

小野薬品工業<4528>

がん免疫治療薬「オプジーボ」で知られます。「オプジーボ」関連の収益を基盤に、次世代のがん治療薬の育成を進めています。

 

初心者の方への留意点

医薬品株への投資では、いくつか心に留めておきたい点があります。

 

・薬価は各国の政策に大きく影響される政策リスクが挙げられます。特に世界最大の市場である米国の動向には注意が必要です。

 

開発の不確実性も考慮すべき点です。新薬開発は成功すれば大きな収益をもたらしますが、臨床試験の結果次第では株価が大きく変動するリスクもあります。

 

主力製品の特許が切れると、後発医薬品との競争で収益が大きく落ち込む可能性がある点も重要です。次の成長を担う製品が育っているかどうかが問われます。

 

こうした点を踏まえ、開発中の薬の領域や開発段階の異なる企業の銘柄を組み合わせるなど、分散投資を心がけることが有効と考えられます。

 

 

用語のやさしい補足

メディケイド(Medicaid)とは

米国の低所得者や子ども、妊産婦、高齢者、障がいのある方などを対象にした公的医療保険です。連邦政府と州が共同で運営・財源負担を行い、自己負担は原則低く抑えられます。州ごとに制度設計が異なり、近年はマネージドケア(医療費抑制を目的とする医療提供・管理システム)の活用が広がっています。

 

メディケア(Medicare)とは

65歳以上などを対象とした連邦制度の公的医療保険です。入院のパートA、外来のパートB、民間運営の包括プラン(パートC)、処方薬のパートDに区分されます。インフレ抑制法(IRA)に基づく薬価交渉が段階的に進行中です。

 

MFN(最恵国価格)とは

他の先進国での提供価格のうち最も安い価格に合わせる考え方を指します。米国での適用範囲や算定方法は政策設計次第で影響が変わります。

 

 

記事作成日:2025年10月3日

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