日中関係の緊張で注目の「中国関連」日本株12選

💡この記事のポイント

✅ 日中関係の緊張が株価の変動要因に

✅ 中国市場との貿易や現地での店舗展開や工場などで影響を受ける企業も

✅ 中国との関わりが深い、注目の日本株をご紹介します

🔎登場する主な銘柄

ファーストリテイリング資生堂FOOD&LIFE COMPANIESトヨタ自動車小松製作所東京エレクトロン

 

目次

(1)消費・サービス:中国人消費とインバウンドの影響が大きい銘柄

(2)自動車・建機:中国市場が大きい製造業

(3)電子部品・半導体製造装置:中国の製造業と深く結びつく銘柄

日中関係の緊張で注目の「中国関連」日本株12選

2025年秋以降、台湾有事への対応をめぐる高市早苗首相の国会答弁などをきっかけに、中国が日本に対して強い姿勢を示し、訪日旅行の自粛や日本産水産物の輸入停止など「経済的な圧力」とも受け取れる措置が相次いでいると報じられています。

 

一方で、中国は米国との関係悪化は避けたい思惑もあり、トランプ米大統領との首脳電話協議などを通じて、自国の立場への理解を求める動きも見られます。台湾問題をめぐる米中・日中・日米の微妙な駆け引きが続いている状況です。

 

こうした地政学リスクの高まりに加え、中国経済そのものの減速や消費マインドの冷え込みも重なり、中国依存度の高い日本企業の業績や株価には逆風が吹いています。実際、化粧品大手の資生堂は中国向け不振で利益予想を下方修正するなど、ここ数年の業績や株価は低迷しています。

 

一方で、市場では「悪材料をどこまで織り込んだか」「関係改善に向けたニュースが出たときの戻り余地」といった観点で、中国との関係が深い銘柄の動きが注目されます。

 

今回は、そうした値動きの振れ幅が大きくなりやすいとみられる「中国関連」日本株をピックアップし、それぞれの中国との結びつきの度合いやポイントを整理します。

 

 

(1)消費・サービス:中国人消費とインバウンドの影響が大きい銘柄

ファーストリテイリング<9983>

「ユニクロ」を世界展開するアパレル大手です。中国大陸・香港・台湾を含む「グレーターチャイナ」地域は、店舗数・売上ともに日本国内に匹敵する規模を持ち、同社の成長をけん引してきた重要エリアとされています。

 

中国は同社にとって最大級の生産拠点であり、同時に巨大な消費市場でもあります。そのため、サプライチェーン(供給網)の混乱や、現地消費の冷え込みに関するニュースは、業績や株価の変動要因となりやすいようです。日中関係の悪化が長期化すれば、店舗運営やブランディングにも影響を与える可能性がありますが、逆に緊張緩和や中国景気の持ち直しが明確になれば、見直しの動きも出やすい銘柄と考えられます。

 

資生堂<4911>

日本を代表する化粧品メーカーです。海外売上比率が高く、特に中国市場ではプレステージ(高価格帯)ブランドを中心に存在感を高めてきました。中国や香港の百貨店・専門店、EC(ネット通販)などを通じて化粧品を販売しており、中国関連の売上は同社の収益構造に大きな影響を与えます。

 

過去には、処理水放出の問題などをきっかけに、中国の一部消費者による日本ブランドの買い控えが報じられたこともあります。中国関連度が特に高い銘柄だけに、日中関係の悪化局面では売上・利益ともに下押し要因となりやすく、逆に中国市場の回復や関係改善のニュースが出ると、株価が敏感に反応しやすい傾向があります。

 

FOOD&LIFE COMPANIES<3563>

回転寿司チェーン「スシロー」などを展開しています。同社は海外展開を加速しており、中国大陸や香港・台湾などの中華圏にも多くの店舗を出店しています。中期経営計画でも海外市場の拡大を掲げており、中国での事業成否は成長シナリオの鍵を握っています。

 

日中関係の悪化に伴い、現地での客足減少や、日本国内店舗におけるインバウンド需要の落ち込みといったリスクが懸念されます。一方で、中華圏での出店余地自体は大きいと見られており、情勢が安定すれば成長株として再評価される期待もありそうです。

 

三越伊勢丹ホールディングス<3099>

国内百貨店最大手グループです。かつては上海などに複数の店舗を展開していましたが、2024年に上海梅龍鎮伊勢丹を閉店するなど、中国本土での店舗展開は縮小傾向にあります。

 

しかし、日本国内の百貨店における中国人観光客の免税売上や、富裕層向けラグジュアリーブランドの販売において、中国からの需要は依然として大きなウェイトを占めています。ビザ発給制限などのニュースには敏感ですが、関係改善でインバウンド客が戻れば恩恵を受けやすい銘柄です。

 

ANAホールディングス<9202>

国内航空大手です。羽田・成田と中国主要都市を結ぶ路線を多数運航しており、日中間のビジネス・観光需要を取り込んでいます。

 

仮に中国が日本への団体旅行を制限したり、人的往来が滞るような事態になれば、搭乗率の低下などを通じて収益に影響が出る可能性があります。一方で、コロナ禍からの回復局面で中国路線の再開が業績に寄与したように、日中関係が落ち着き往来が活発化すれば、プラス材料として好感されそうです。

 

サンリオ<8136>

「ハローキティ」などで知られるエンタメ企業です。近年、中国市場でのライセンス事業が好調で、海外成長を牽引しています。アリババグループ傘下の「アリフィッシュ」とマスターライセンス契約を結び、中国本土での商品展開を強化しています。

 

中国の消費動向やコンテンツ規制、日中関係の悪化はリスク要因ですが、キャラクタービジネスはファン層が世界に分散している強みもあります。中国市場の成長を取り込みつつ、他地域でリスクをカバーできるかがポイントになりそうです。

 

(2)自動車・建機:中国市場が大きい製造業

トヨタ自動車<7203>

日本を代表する自動車メーカーであり、世界最大級の自動車グループです。中国は世界最大の自動車市場であり、トヨタにとっても重要な収益源です。現地メーカーとの合弁事業を通じて、多くの車種を販売しています。

 

一方で、中国メーカーとの価格競争が激化しており、販売面で苦戦する局面も見られます。中国でのシェア維持は同社にとって重要な課題です。加えて、米国による対中関税や中国政府のEV(電気自動車)支援策など、各国の政策動向が業績に与える影響は無視できません。

 

日中関係の悪化により、対日感情が悪化した場合、販売面で逆風になる可能性もありますが、同社は北米・欧州・アジアなど世界各地に販売先を持っており、中国以外の地域でどこまで補えるかもポイントとなりそうです。それ以外にも為替や米国の政策の影響なども株価に影響します。

 

本田技研工業<7267>

四輪・二輪ともに中国での事業規模が大きいメーカーです。特に四輪車生産においては中国が重要な拠点の一つですが、急速なEVシフトと現地メーカーの台頭を受け、生産調整や人員削減といった構造改革を余儀なくされています。

 

日中関係の悪化による販売不振リスクはありますが、二輪車事業の新興国での強みなど、中国以外の収益源も持っています。中国事業の立て直しと、グローバルな事業バランスが評価の鍵となりそうです。それ以外にも為替や米国の政策の影響なども株価に影響します。

 

小松製作所<6301>

建設機械・鉱山機械の大手です。かつては中国での売上が大きいイメージがありましたが、現在は地域分散が進み、売上高に占める中国の割合は2%程度に過ぎないようです。

 

しかし株式市場では、依然として「中国の景気動向を映す鏡」のような存在として意識されることが少なくありません。実際の業績への影響度は低下しているものの、中国政府による景気刺激策や経済指標のニュースが出ると、イメージ先行で株価が反応しやすい「中国関連株」の代表格として注目されることもあります。それも今後は徐々に変化していくかもしれません。

 

(3)電子部品・半導体製造装置:中国の製造業と深く結びつく銘柄

村田製作所<6981>

スマートフォンなどに不可欠な「積層セラミックコンデンサ(MLCC)」で世界トップシェアを誇ります。中華圏の顧客への売上比率が50%前後まで高まる局面もあるとされており、中国で生産される電子機器の需要動向が業績に直結しやすい構造です。

 

中国・無錫に大型工場を持つなど現地生産も進めていますが、日中関係や米中対立の影響でサプライチェーンの見直しが議論されると、株価の変動要因となることがあります。

 

東京エレクトロン<8035>

半導体製造装置の世界的大手メーカーです。中国は半導体産業の育成を国家戦略として進めており、同社にとっても売上高の一定割合を占める重要な市場となっています。中国の半導体メーカーに向けた装置販売は、直近の業績を支える柱の一つとされています。

 

一方で、同社は米国による対中輸出規制の影響を受けやすい立場にもあります。トランプ政権以降、米中間の技術摩擦が続いており、先端半導体向け装置の輸出管理や規制強化のニュースが出るたびに、需要見通しへの懸念から株価が動く場面もありました。

 

中国の設備投資動向だけでなく、米国や日本などによる対中技術規制の方針も、同社の業績と株価を左右しやすい要因となりそうです。それ以外にもAI(人工知能)や半導体関連株としての影響も大きい銘柄です。

 

ファナック<6954>

工場の自動化に使われる産業用ロボットなどの大手です。中国は「世界の工場」として同社製品の主要な納入先であり、現地製造業の設備投資意欲が業績に反映されやすい特徴があります。

 

日中関係の悪化により、中国企業が日本製品の調達を控えたり、日系企業が中国での投資を手控えたりすると、受注への影響が懸念されます。一方で、人手不足解消のための自動化ニーズは根強く、中長期的には底堅い需要も期待されています。

 

記事作成日:2025年11月26日

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