💡この記事のポイント
✅「空売り」は、自分の保有株にも影響を与える可能性がある
✅ニュースで聞く「空売り残高」や「踏み上げ」の意味を解説
✅株価の背景にある投資家の心理を読み解くヒントにも
✅「空売り」は、自分の保有株にも影響を与える可能性がある
✅ニュースで聞く「空売り残高」や「踏み上げ」の意味を解説
✅株価の背景にある投資家の心理を読み解くヒントにも
「空売り」は、自分に関係ない?
「空売り」の仕組みとは
なぜ「空売り」が自分の保有株に関係あるのか
空売りの決済方法
株以外にもある「売り」からの取引
空売りは市場の「悪者」ではない?
「株は安く買って高く売る」のが基本と考えて、株の取引をされている方がほとんどだと思います。そんな方にとって「空売り(からうり)」という言葉は、自分とは直接関係ないものに聞こえるかもしれません。
しかし、この「空売り」という取引は、市場全体の株価、ひいては自分が保有している銘柄の株価にも影響を与えることがあるのです。例えば、ニュースで「あの銘柄は空売りが積み上がっている」とか、「踏み上げ相場で株価が急騰」といった言葉を聞いたことはないでしょうか。
今回は、ご自身が直接取引をしなくても、知っておくことでマーケットをより深く理解できる「空売り(カラ売り)」の仕組みと、それが株価に与える影響について分かりやすく解説します。
まず、「空売り」が市場でどのように行われているのか、その仕組みを簡単に見てみましょう。
空売りとは、株価が将来的に「下がる」と予想した投資家が、「下落で利益を狙う」ための手法です。具体的には、証券会社などから株を借りて、それを先に市場で売り、予想通りに株価が下落した時点で安く買い戻して株を返済します。この時の「売った価格」と「買い戻した価格」の差額が利益になる、という仕組みです。
このような取引は「信用取引(しんようとりひき)」という特別な方法で行われます。
信用取引は、証券会社に株式や現金などの保証金(担保)を預け入れて、株式や資金を借りて行う取引です。信用取引では一般的に預けた保証金の約3.3倍までの取引が可能で、少ない資金で大きな取引ができる「レバレッジ(てこの原理)」を効かせた取引ができます。
では、こうした空売りの動きが、なぜ株を保有している投資家に関係してくるのでしょうか。それには大きく2つのポイントがあります。
市場では「空売り残高(からうりざんだか)」というデータが定期的に公表され、多くの投資家が注目しています。これは、空売りされたままで、まだ買い戻されていない株がどれだけ残っているかを示す数字です。
ここで重要なのは、空売りされた株は、いずれ必ず「決済される」ということです。決済の方法については後ほど解説しますが、一般的には「買い戻される」ことになります。つまり、「空売り残高が多い」ということは、その銘柄に対して「将来的に発生する買い注文の予備軍が多い」と解釈することができるのです。
もちろん、短期的には「株価が下がると見ている投資家が多い」というネガティブなサインでもあります。しかし、何らかの良いニュースなどをきっかけに株価が上昇に転じると、この買い戻しのエネルギーが一気に爆発し、株価を大きく押し上げる要因になることがあります。
空売りをしている投資家たちの思惑に反して、株価が上昇してしまうと何が起こるでしょうか。株価が上がれば上がるほど、空売りをしている投資家の損失は膨らんでいきます。空売りでもっとも怖いのは、上昇が続く限り損失が膨らんでいく「リスク無限大」という点です。普通に株を買った場合、リスクは最大でも買った金額を全額失う範囲までですが、空売りには理論上は損失に限界がありません。
ですので、空売りをした投資家は、株価が上昇するとこのままでは損失がどこまでも拡大してしまうため、彼らは慌てて損失を確定させてそれ以上損が膨らまないために「買い戻し」を行います。この買い注文は「割安だから」とか「将来有望だから」といった理由ではなく、切羽詰まって「とにかく買い戻さなければならない」というものです。
この損切り(損を確定させて売ること)のための買い注文が、さらなる株価の上昇を呼び、連鎖的にさらに買い戻しが殺到することがあります。このような現象を「踏み上げ(ふみあげ)」と呼びます。
もし、ご自身が保有している銘柄でこの「踏み上げ」が起きた場合、予想外の株価の急騰という形で恩恵を受けられる可能性がある、というわけです。
空売りは「借りた株を返済する」ことで取引が終了(決済)します。この返済方法には、主に2つの種類があります。
これは、空売りした銘柄と同じ銘柄を、市場で新たに買い付けて返済する方法です。空売り決済のほとんどがこの方法で行われます。株価が売った時より安くなっていれば利益、高くなっていれば損失となります。
これは、市場で買い戻す代わりに、自分が保有している同じ銘柄の株式を渡して、借りた株の返済に充てる方法です。「現渡し(げんわたし)」とも呼ばれます。
例えば、長期保有している銘柄の一時的な値下がりが予想される際に、そのリスクを回避(ヘッジ)するために空売りを行い、最終的に手持ちの株で品渡し決済をする、といった使われ方をすることもあります。
ちなみに、こうした「売り」から入って利益を狙う取引は、株式の信用取引以外にも存在します。
日経平均株価などの株価指数や、金・原油といった商品を対象に、「将来の決められた日」に「今の時点で決めた価格」で売買することを約束する取引です。将来的に価格が下がると予想すれば、売りから取引を始めることができます。
日本語では「差金決済取引(さきんけっさいとりひき)」と言います。実際に金融資産を持つことなく、売買した時の価格差だけをやり取りする取引です。株価指数や商品など、非常に多様な資産を対象に「売り」から取引をはじめることが可能です。
PayPay証券では、日経平均やS&P500のCFDを取引する「10倍CFD」と、日本株のCFDを取引する「日本株CFD」を取り扱っています。
「空売り」と聞くと、株価を意図的に下げる動きのようで、少しネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、市場全体で見ると、空売りには大切な役割もあると言われています。例えば、実力以上に買われすぎて過熱感のある銘柄の株価を、適正な水準に戻すきっかけになることがあります。また、株価が「上がる」と考える投資家と「下がる」と考える投資家の両方が存在することで、市場の価格が一方に偏りすぎるのを防ぎ、より公正な価格形成に繋がるという側面もあるようです。
「空売り」は、たとえご自身がその取引を行わなくても、市場の動向や個別銘柄の株価を読み解く上で非常に重要なキーワードです。
ニュースなどで「空売り残高」の増減に触れられていたら、「この銘柄は、将来の買い戻し圧力が溜まっているのかもしれないな」と考えてみたり、「踏み上げ」という言葉を聞いたら、「空売りしていた人たちの買い戻しで株価が上がっているんだな」と背景を想像してみたり、市場の裏側で働いている力学を知ることで、投資の視野はぐっと広がるはずです。
ご自身の投資スタイルを大切にしながら、ぜひ今後の情報収集に役立ててみてください。
記事作成日:2025年8月13日
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