💡この記事のポイント
✅AIデータセンターの電力需要が大幅に拡大
✅電力/電線関連の日米株を紹介
🔎登場する銘柄
✅日本株:住友電気工業、フジクラ
✅米国株:アンフェノール、ヴィストラ、イートン
AI関連需要は、電力から電線など電力インフラに拡大
1月下旬、中国の新興企業ディープシークの出現で、一時はエヌビディア<NVDA>などAI(人工知能)関連銘柄が日米の株式市場で急落を余儀なくされました。これについては、引き続き警戒が必要ですが、今後もAIの世界需要は拡大傾向にあり、関連銘柄の中から、テンバガー(10倍高)など大きく上昇する銘柄も現れる可能性があります。
AIにおいて、重要な役割を担っているのがサーバーなどを設置するデータセンターです。データセンターでは、AI向けGPU(画像処理半導体)などの高性能・大容量化により、電力需要が大幅に増大していることから、電力関連銘柄が注目されています。さらに、発電された電力をデータセンターに運ぶための電線といった電力インフラも必要不可欠。そこで今回は、日米の電力や電線関連の銘柄をご紹介します。
住友電気工業<5802>
電線・ケーブルの開発技術を基幹として、環境エネルギー、情報通信、自動車、エレクトロニクス、産業素材の5つの事業で製品の開発、製造、販売、サービスなどを展開しています。電線では、国内トップシェアです。
2024年4-12月期(3四半期累計)決算は、売上高が前年同期比6.8%増の3兆4,412億円、営業利益も同39.4%増の2,068億円と好調でした。2025年3月期今期予想も上方修正しています。生成AIの拡大を背景にデータセンターへの設備投資が増加し、光デバイスなどの需要が増加していることなどを理由として挙げています。
株価は、2024年8月の全体相場の急落で一時は大きく落ち込みましたが、そこからリバウンド態勢を強め、今年2月4日には一時3,145円まで上昇し上場来高値を更新しました。直近は、3,000円前後で推移しています。
フジクラ<5803>
情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産の5部門で事業を展開しており、光配線部材などの情報通信関連技術に強みを持つ、電線の大手メーカーです。
2024年4-12月期(3四半期累計)決算では、売上高が前年同期比8.7%増の7,110億円、営業利益は同87.1%増の963億円と大きく伸び、2025年3月期今期業績予想も上方修正しています。情報通信事業で生成AIの急速な普及を背景に投資が拡大するデータセンター向け需要が大幅に伸びています。
株価は、2024年の1年間で約6倍高となって投資家の注目を集めました。今年1月23日高値7,482円まで上昇したあと「DeepSeekショック」で1月29日安値5,684円まで下落しましたが、2月13日に7,620円まで上昇し上場来高値を更新しました。
アンフェノール<APH>
自動車、航空機、携帯電話、そしてAIを支えるデータセンターで使用される電気・データ用のケーブル、センサー、各種コネクタを製造する世界的企業です。
2024年12月期前期決算では、売上高が前期比21.3%増の152.2億ドル、営業利益は同23.3%増の31.6億ドルと、過去最高の業績となりました。AI関連投資の継続的な成長により、同社のAIインターコネクト技術による業績の押し上げに加え、ITデータ通信、モバイルネットワーク、民間航空、モバイルデバイス、ブロードバンド、防衛市場が堅調に推移しました。
株価は、2023年秋から概ね右肩上がりで推移しています。こちらも今年1月24日上場来高値79.39ドルの直後に「DeepSeekショック」の影響を受けましたが、直近は70ドル前後でもみ合っています。
ヴィストラ<VST>
米国内で天然ガス、原子力、石炭、太陽光、バッテリーエネルギー貯蔵施設などにより、カリフォルニア州からメイン州までの電力を供給する電力会社です。
2024年7-9月期決算では、売上高が前年同期比53.9%増の62.9億ドル、営業利益は3.1倍の25.9億ドルと大幅に増加しました。営業地域内で複数の企業がデータセンターの増設や拡張を進めていることで、電力需要の増加が見込まれています。なお、10-12月期決算および2024年12月期前期決算は2月27日に発表予定です。
株価は、2024年の1年間で約4倍高を達成。こちらも同様に今年1月23日上場来高値199.84ドルのあと急落し、直近は170ドル前後でもみ合っています。
イートン・コーポレーション<ETN>
電力管理ソリューションを提供するグローバル企業で、電気製品、航空宇宙、車両、eモビリティの4つの事業を展開しています。主力の電気製品部門の2023年の売上構成は70%を占めており、バックアップ電源(UPS)や配電機器、電線管、電源管理ソフトウェアなど幅広い製品を手掛けています。
2024年12月期前期決算では、売上高が前々期比7.3%増の248.8億ドル、純利益は同17.9%増の38億ドルと堅調に成長しています。特にAIデータセンター向けの需要拡大が業績を押し上げ、今後の成長の原動力としても見込まれています。
株価は、2023年から概ね右肩上がりが続き、2024年11月には上場来高値379.99ドルまで上昇しました。調整後、今年1月24日高値378ドルまで戻りましたが、「DeepSeekショック」で1月28日安値298.29ドルまで下落。直近は300ドル前後で推移しています。
記事作成日:2025年2月14日