どうなる?「米雇用統計」シナリオ別日米株8選

💡この記事のポイント

✅米雇用統計が日本時間9月5日(金)21時30分に発表

✅FRBの金融政策の方向性を占う上で最も重要な経済指標のひとつ

✅雇用統計のシナリオ別で参考となる日米銘柄をご紹介

🔎登場する主な銘柄

✅米国株:コカ・コーラJPモルガン・チェースなど

✅日本株:武田薬品工業トヨタ自動車など

 

目次

今夜の見るべきポイントは?

シナリオ別の相場イメージ

どうなる?「米雇用統計」シナリオ別日米株8選

金融市場が固唾を飲んで見守る米雇用統計が今夜、日本時間2025年9月5日(金)21時30分に発表されます。この統計は、世界経済の舵取り役である米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の方向性を占う上で、最も重要な経済指標のひとつです。


前回8月1日の発表時のように、市場の予想と結果が大きく乖離した際には、株価や為替が大きく変動する「雇用統計ショック」が起きることもあり、投資家の注目度は非常に高まっています。



今夜の見るべきポイントは?

今夜の雇用統計は、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の3点が焦点となります。


非農業部門雇用者数

農業を除く企業や公共部門で働く人の増減を示す数字のことです。景気の勢いを反映するため、金融政策や市場が強く反応しやすい指標とされています。


失業率

労働市場の需給バランスを示し、上昇が続くと景気減速懸念に結びつきやすいという特徴があります。


平均時給

物価(インフレ)に波及しやすく、賃金上昇が強いと利下げが遠のくとの見方が出やすいです。


なお、市場予想では非農業部門雇用者数が7.5万人増(前回:7.3万人増)、失業率が4.3%(同:4.2%)、平均時給が前月比+0.3%(同:0.3%)、前年比+3.7%(同:3.9%)となっています。



シナリオ別の相場イメージ

(1)弱い雇用

就業者数の大きな下振れ、失業率上振れ、賃金伸びの減速といった場合、金利低下が意識されやすく、金利低下で買われやすいハイテク中心のグロース株や、景気悪化に強いディフェンシブ株が相対的に堅調となる可能性があります。雇用統計が弱いとドル安となる可能性があり、ドル建て資産の円換算に悪影響が出る点にも注意が必要です。


【参考銘柄】

マイクロソフト<MSFT>

世界的なソフトウェア企業であり、近年はクラウドサービス「Azure」の成長が著しいです。ハイテク株は、将来の成長への期待から株価が評価される傾向があり、金利が上昇すると、将来の利益の価値が相対的に下がると見なされ、株価にはマイナスに働くことがあります。逆に、金利が低下する局面では、株価が上昇しやすくなるようです。また、同社のクラウド事業は企業のIT投資に支えられており、景気の動向にも影響を受けます。

 

コカ・コーラ<KO>

世界中の消費者に愛される飲料ブランドです。生活に密着した製品であるため、景気動向に業績が左右されにくいディフェンシブ株の代表格と言えるでしょう。また、60年以上にわたり連続増配を続けており、安定的な配当収入を期待する投資家にとって魅力的な銘柄の一つです。

 

東京エレクトロン <8035>

日本の半導体製造装置の最大手メーカーです。半導体業界は景気敏感な側面もありますが、弱い雇用の結果を受けて金利が低下するような局面では、日本のハイテク・グロース株を代表する銘柄として注目される可能性があります。

 

武田薬品工業<4502>

国内製薬会社の最大手です。医薬品もまた、景気に関わらず需要が安定しているため、代表的なディフェンシブ株とされています。安定した配当を出す企業も多く、相場が不安定な時に強みを発揮することが期待されます。

 

(2)強い雇用

逆に就業者数の上振れ、失業率低下、賃金加速といった場合、利下げ観測が後退し、長期金利は上昇方向に傾きやすく、株式市場にはマイナスとなりやすいです。バリュー色の強い金融や景気敏感が相対的に強く、ハイテクなどグロース株は上値が重くなる展開が想定されます。

 

【参考銘柄】

JPモルガン・チェース<JPM>

米国を代表する総合金融サービス会社です。金利が上がると、銀行が貸し出しの際に得る利息と、預金者に支払う利息の差である「利ざや」が改善し、収益の増加が期待されるため、一般的に銀行株は金利が上昇する局面で恩恵を受けるとされています。米国の金融政策の方向性を示す雇用統計の結果には、株価が敏感に反応する可能性があります。

 

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

国内最大の金融グループ。長期金利が上昇するようなら、日本でも同社をはじめとする銀行株に注目が集まるかもしれません。

 

トヨタ自動車<7203>

日本を代表する自動車メーカーであり、世界経済の動向を映す鏡のような存在です。自動車のような高額な商品は、景気が良い時には販売が伸び、悪くなると落ち込む傾向があるため、「景気敏感株」の代表格とされています。強い雇用統計は景気の底堅さを示し、同社のような輸出企業にはプラスに働く可能性があります。一方で、弱い結果を受けて円高が進行すると、業績へのマイナス影響が懸念されます。

 

(3)まちまち

就業者数は弱めだが賃金が高い、あるいはその逆など、市場が「物価と成長のどちらを重視するか」で揺れやすく、初動が乱高下することがあります。パニックにならずに賃金の前年比・前月比、改定値を落ち着いて確認するのが大切です。また、雇用統計の結果が株式市場に大きな影響を与えない場合は、他のニュースや材料に注目が向かう可能性があります。

 

【参考銘柄】

SPDRゴールド・シェア<GLD>

前回のショック時のように初動が乱高下した場合、リスク資産から債券や金(ゴールド)など安全資産へ資金シフトする動きが急拡大することがあります。経済の先行き懸念が続くようなら、金が買われる展開が続く可能性もあります。

 

 

雇用統計のように重要なイベント前後は価格の振れが大きくなる可能性があります。事前にシナリオを想定しておき、どうなれば何が買われ売られそうかなどをイメージしておくと、慌てずに対応しやすくなります。

 

 

記事作成日:2025年9月5日

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